VOICE

Vol.03

アメリカン大学スタッフによる
アメリカン大学紹介〜AUについて〜

立命館大学のJDPプログラムコーディネーターである秋山 肇 嘱託講師(写真 右)がアメリカン大学のスタッフに大学の魅力やワシントンD.C.での生活についてインタビューしました。

マリアンヌ・ノーマン氏(写真 真ん中) アメリカン大学 SIS(School of International Service)のアカデミック・アドバイザー。アドバイジングチームの責任者。一部の授業科目も担当している。

エイミー・マリオン氏(写真 左)
アメリカン大学 SIS(School of International Service)の国際プログラム責任者。

AUの特徴

秋山

RU(立命館大学)にお越しいただき、ありがとうございます。
米国の大学の中でのAU(アメリカン大学)の特徴はどこにあるのでしょうか。

マリアンヌ・
ノーマン

AU、特にJDPの学生が所属するSIS(School of International Service)の特徴は「研究を重視したリベラル・アーツ大学」であることです。学生は3~4回生の1年をかけて自身のテーマに関わる研究を行い、最終段階にキャップストーンプロジェクト(卒業研究)に取り組みます。SISはこのプロジェクトを特に重要視しています。

もうひとつの特徴は、ワシントンDCにあるというロケーションです。私たちのキャンパスは大学の敷地内だけでなく、ワシントンDCにも広がっていると捉えています。90%程度の学生が在学中に少なくとも1つ以上のインターンシップに参加しており、教室だけでなく学外の環境を積極的に活用して学んでいます。また、ワシントンD.C.というロケーションから実務経験を持った教員が多数在籍しており、こうした教員の実務経験が教育に生かされていることも大きな特徴です。

インタビューの様子
エイミー・
マリオン

AUは伝統的な緑の多いキャンパスを持ちつつ、都市部にも容易にアクセスすることができる大学です。ワシントンDCの市街地の中でも住宅街にあり、心地いいキャンパスです。キャンパス内では、猫やリスなど動物を見つけることができます。キャンパスのロケーションと心地よさはワシントンD.C.にある他の大学や、他の大都市にある大学とは異なる特徴ですね。

マリアンヌ・
ノーマン

SIS(School of International Service)は他大学の類似学部と異なった特徴があります。国際研究や国際関係学の学部は多くありますが、「service(貢献)」がSISでは重要な要素・特徴となります。多くの学生が政府で働く公務の仕事についたり、海外のNPOで働いたり、国際機関で働いています。「service(貢献)」は学生や多くの教職員が共有する価値観であり、SISに入学する学生にとっても重要です。私たちは、奉仕・貢献のために働いています。ローカルレベルであるか、グローバルレベルであるかということは関係ありません。

エイミー・
マリオン

SISでは特に顕著ですが、AUはグローバルな学びにコミットしています。約75%の学生が海外への留学プログラムに参加しており、多くの留学プログラムを有しています。
また、AUは多くの留学生をキャンパスに受け入れています。JDPのRU Homeの学生が立命館大学から2年間学びに来るように、世界中の留学生がAUで学位を取得するために学んでいます(1,000人以上の留学生が在籍)。

この多様性がAUの特徴です。キャンパスは多様性にあふれており、授業やクラブ活動ではダイナミックな議論や多くの視点を得ることができます。教員も国際的な活動をしており、幅広いグローバルな視点から授業が行われる点もAUの特徴です。学生が多様な国・地域から集まっていることに加え、考え方や将来の目標も多様であるため、AUはすばらしいコミュニティが形成されています。

  • アメリカン大学
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01 インターンシップ 02

インターンシップ

秋山

SIS(School of International Service)は「service(貢献)」の要素が強調されているとのことでした。これは、SISが実践を重要視していることを示していますよね。多くの学生が在学中にインターンシップを経験しているとのことですが、学生はワシントンD.C.でどのようなインターンシップをしているのでしょうか?

マリアンヌ・
ノーマン

あらゆる分野でのインターンが可能です。例えばキャピトル・ヒル(米国議会議事堂)で上院議員の下でインターンをしている学生、世界銀行でインターンをしている学生、教育省や、領事館などの連邦政府や、私立のセクターでインターンをしている学生など、ワシントンD.C.の「特徴」を存分に生かして学んでいる学生が多くいます。

エイミー・
マリオン

卒業生もワシントンD.C.にある企業や世界銀行、大使館などで働くケースが多く、こうした卒業生のネットワークもAUの学生にとってインターンシップや就職活動のために重要な価値を有しています。学生はインターンの経験を通して更にネットワークを広げることができます。

AUには学生がインターンの募集情報をメールで受信するオンラインシステムがあり、多くのインターンの機会の中から自分にあったものを見つけるためにこのシステムは便利です。応募者が多く、インターンに選ばれるのが困難なケースもありますが、何度でもトライできます。私は多くの学生の履歴書を読みますが、ほとんどの学生は2年ほどの間に3~4のインターンを経験しています。

マリアンヌ・
ノーマン

AUではインターンシップの経験で単位を取得することもできます。実践的なスキルを積むためには、プロフェッショナルな経験が必要です。AUの学生は高校卒業後、就業経験がなく進学してきた学生も多いので、インターンの経験は貴重なものになります。

秋山

JDPの学生もインターンシッププログラムに参加することができますか

マリアンヌ・
ノーマン

もちろんです!初年度はアカデミックな学びに集中してほしいですが、2年目からはJDPの学生にもワシントンD.C.でのインターンシップを是非経験してほしいと思います。

  • エイミー・マリオン氏
  • マリアンヌ・ノーマン氏
秋山

インターンシップは大学が機会を提供するものが多いですか?それとも自分自身で見つけてくるケースが多いですか?

エイミー・
マリオン

多くの場合、大学にインターンシップの機会が紹介されますが、必ずしも希望する全てのインターンシップに参加できるわけではありません。学生自身がインターンシップの選考を通過する必要や自身で情報を集める必要があります。
AUでは学生がいつでもキャリアについて相談できる「キャリア・アドバイザー」制度が整備されています。 「私の履歴書を見ていただけますか」など、自分の状況を説明し、書類作成の指導を受けることができます。大学を卒業する時には就職活動のためのカバーレターを作成し、履歴書などを作成しなければなりませんので、そのサポートも行っています。また、面接の練習や、学生が短時間で自己紹介できるようなトレーニングの機会を提供するなど、あらゆるサポートを行っています。
ただし、インターンシップの機会を手にできるか否かは最終的には学生次第です。時に希望するインターンシップに参加できない、何度も面接に行かなければいけない、といった状況に陥るかもしれません。しかしこれは重要な経験です。インターンシップは与えられるものであってはならないと思います。卒業後に就職をするためにも自分から動かなければなりません。

マリアンヌ・
ノーマン

AUのキャリアセンターでは毎学期、ワシントンD.C.の100人以上の採用担当者が参加する就職・インターンシップフェアを開催しており、関心のある学生はフェアで採用担当者と話すことができます。
またSIS(School of International Service)独自のキャリア開発センターもあります。SISに特化したものですので、小さなオフィスですが、JDPの学生にはSISのキャリア・アドバイザーおよびAUキャリアセンターのキャリア・アドバイザーがそれぞれ割り当てられます。この環境を利用するかは学生次第ですが、私たちはJDPの学生がAUにおいて得られる多くのリソースを活用できるようにサポートします。

  • アメリカン大学
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01 AUの特徴 02 アカデミック・アドバイジング 03

アカデミック・アドバイジング

秋山

キャリアセンターのサポートシステムについてお話がありましたが、AUのウェブサイトではアドバイジングについても記載があり、驚きました。日本の大学でアドバイジング制度を強調することは本当にまれです。おそらくAUはアドバイジングを重要視しているのだと思います。AUのアドバイジングシステムについて教えていただけますか?

マリアンヌ・
ノーマン

AUでは、すべての学生が専任のアカデミック・アドバイザーに割り当てられます。(学生の専攻ごとにその分野のアドバイザーがひとり割り当てられます)。担当のアカデミック・アドバイザーは学生一人ひとりの大学での学びをサポートします。
また、学生に新しい視点を示し、チャレンジを与えることも目標の1つです。大学の科目の多くは高校で教えられていないので、例えば「人類学が何か」を分からないで大学に進学しているかもしれません。そこで人類学の学びのおもしろさや重要性を示すのがアドバイザーの役割の一つといえます。
私たちは幅広い視野をもって物事を批判的に考えることができる学生を育てたいと願っています。AUの学生が全員必ず履修する「Core科目」では、さまざまな分野の授業科目を提供しています。例えば必修の「HOM(ハビッツ・オブ・マインド)」の授業は、専門以外の多様な分野の科目を学び、国際関係学に焦点を当てるだけではなく、さまざま分野の多くの知識を習得することを目標としています。多くの分野の学びに触れてもらうことが「AU Core科目」の本質です。
もう1つのアカデミック・アドバイジングの目的は、学生をキャンパス内のリソースと結び付けることです。AUのキャンパスには学生が使えるリソースが非常に多くありますので、アカデミック・アドバイザーの仕事は学生とサポートを受けられる部署をつなぐことです。キャリアについて質問がある学生がいれば、キャリア・アドバイザーとのミーティングを調整します。時間管理に問題を抱えている学生がいれば、カウンセラーとのミーティングを調整して、ソーシャルライフやインターンシップなどとのバランスをとって、勉強するのに十分な時間を取れるようにアドバイスします。キャンパスには学生をサポートできる人が多くいるので、私たちアカデミック・アドバイザーの仕事は、そういった人々と学生をつなげることです。

  • 授業の様子
  • 授業の様子
秋山

先ほどRU-AU両大学のアドバイザーの会議に出席しましたが、とても興味深かったです。JDPのアドバイザーや教員・スタッフは学生一人一人の学修状況について議論し、どのように学生をサポートできるかについて話し合っています。これはJDPの大きな特徴であると感じています。

エイミー・
マリオン

ちょうど、両大学でのプログラムへのサポートの量と、アドバイジングについて話していたところです。アドバイジングに関しては現在、RUの方がきめ細やかなサポート体制となっていますね。学生の英語力の向上の支援にも取り組んでいます。

02 インターンシップ 03 ワシントンD.C.での生活・寮について 04

ワシントンD.C.での生活・寮について

秋山

AUの特徴はワシントンD.C.にキャンパスがあることであるとおっしゃっていました。DCでの生活はどうですか? また、JDPの学生は寮に住むとのことですが、どのようなサポートがありますか?

エイミー・
マリオン

AUはワシントンD.C.北西部の住宅街に位置しています。バス、地下鉄、共有の自転車など、たくさんの交通手段があります。街の中心部である米国議会議事堂、ホワイトハウス、さまざまな記念館、スミソニアンミュージアムから約5〜6キロメートルです。
20あるスミソニアンミュージアムは、すべて無料です。学生は週末、休日、または授業を受けていないときに見学に行くことができます。動物園や宇宙博物館など、オススメのポイントが多数ありますがすべて無料です。一部有料のものもありますが素晴らしい美術館や博物館もあります。こうした施設は、AUの学生を含むワシントンDCにいるすべての人にとって本当に良い機会を提供しています。

街の様子
マリアンヌ・
ノーマン

ワシントンD.C.は本当に多様な都市です。いくつかのエリアがあり、それぞれ異なる独自性を持っています。例えばイースタンマーケットには、週末に素晴らしい市場ができます。50年の歴史を持つドラムサークルがあり、あらゆる年代のコミュニティメンバーがドラムを演奏しています。大きな公園であるロック・クリーク・パークもあり、暖かいときはいいですね。ジョージタウン・ウォータフロント・エリアでは、カヤックや、最近人気があるパドルボーディングができます。キャンパスのすぐ近くには、ハイキングコースもあります。このように授業がないときは、街を探索していろいろなことをすることができます。

秋山

立命館(RU)の衣笠キャンパスと似た環境ですね!

マリアンヌ・
ノーマン

実は、AUとRUのキャンパスはとても似ています!学生が探索をするのに最適な街です。京都とワシントンD.C.はさまざまな機会を提供している街ですので、学生には時々キャンパスから離れてさまざまな経験をしてほしいと考えています。

  • 街の様子
  • 街の様子
  • 街の様子
エイミー・
マリオン

ワシントンD.C.には多くのスポーツチームがあります。ワシントンD.C.の南東にはワシントン・ナショナルズという野球チームがあり、地下鉄で観戦にいくことができます。アメリカンフットボールのワシントン・レッドスキンズもあります。また、バスケットボールチームのワシントン・ウィザーズ、アイスホッケーチームのワシントン・キャピタルズもあり、これらのチームはワシントンDCのチャイナタウンにある同じアリーナでプレーしています。また、ちょうど新しいスタジアムができたサッカーチーム、DCユナイテッドもあります。時々、クラブや大学の組織が野球の試合のチケットを持っていることがあり、学生は先着順で無料チケットをもらって観戦にでかけることができます。

秋山

寮はどのような感じですか?

JDPの学生は最初の1年間、必ずAUのキャンパス内にある寮に住みます。AUには10から12の異なるタイプの寮があります。一般的な部屋は2人部屋で1つの部屋に2台のベッドと2つの机があり、ルームメイトがいます。各階はジェンダーで区切られています。各階にキッチンもあるので、学生が自分で料理をすることもできます。また大学の近くにはアメリカでの一般的な食品だけでなく、多くの地域の食料品を扱うお店もあります。

マリアンヌ・
ノーマン

AUの近くには、「ハナマル」をはじめとして、充実した日本食材店が二つほどあります。日本をはじめとした多くの国々の食材を売っているお店があるので、自分のなじみのある食事をつくることができます。

エイミー・
マリオン

寮は個別のトイレと共有キッチンをもつスイートスタイルの寮もあります。キャンパスから近距離にあるアパートメントスタイルの寮もあるなど、JDPの学生がAUに来るときにはたくさんの寮の選択肢があります。

  • 寮
  • 寮

学生は入寮の前に住みたい寮を申請することができ、ランダムにルームメイトが割り当てられます(JDPの学生はJDP以外の学生がルームメイトになります)。学生はルームメイトが決まると、連絡先情報を交換し、AUに到着する前に連絡を取ることができます。
入寮の際は多くの在学生やスタッフが入居をサポートします。寮には寮生活をサポートしてくれる学生が各階に2、3人常駐しています。彼らサポートスタッフは寮内のソーシャルイベントを計画することや、寮で問題があったときに対処にあたってくれます。通常、彼らは3回生もしくは4回生です。

03 アカデミック・アドバイジング 04 受験生へのメッセージ 05

受験生へのメッセージ

秋山

JDPに興味を持っている方にコメントをお願いします。どのような方が、JDPに向いていると考えますか?

エイミー・
マリオン

私たちはさまざまなバックグラウンドを持つ学生を求めています。現時点での知識は問いませんが、アメリカや日本のことを学ぶので、好奇心旺盛でアメリカや東アジアに関心をもっていることが非常に重要です。
また、AUで充実した学びを経験するためにもある程度の実用的な英語スキルを身に付け、英語能力の要件を満たしておくことも必要です。

マリアンヌ・
ノーマン

自分がいる場所だけではなく、本当に世界を見たいと願っている、グローバルな経験を真に求めている学生がこのプログラムに向いていると思います。

エイミー・
マリオン

異なる文化や新しい経験、多様なバックグラウンドを持つ人々にオープンな学生が望ましいと思います。現在JDPには本当に多様な学生が入学してきていると思いますし、今後ますます多様になっていくと思います。
グローバルな経験と多様な人々との交流を積極的に捉えられる学生を私たちは求めていますし、JDPではそのような経験を得られます。

マリアンヌ・
ノーマン

オープンマインドで多様な意見を受け入れられること、他人へチャレンジする意欲を持っていることが重要だと思います。さまざまなレンズを通して物事を見る経験につながるので、他の学生や教員にチャレンジしていくことができる学生を望んでいます。

エイミー・
マリオン

今は1つの学生像の例を語りましたが、私達はJDPの学生たちが皆同じ個性であることを望んではいません。

マリアンヌ・
ノーマン

もちろんです!

アメリカン大学
エイミー・
マリオン

私たちは多様性やそれぞれの意見、視点を大切にし、「現実の世界」を考えるために本当に有益な議論を行います。JDPにはキャンパスを移動する要素があり、初めて住む国で生活する経験を得る学生も多いと思います。そのため、家族から離れて生活ができるようなタイプの方がJDPに向いていると思います。さまざまな困難があると思いますが、私たちは学生を支援します。

秋山

AUに行く前に学生が準備できることはありますか。

マリアンヌ・
ノーマン

もちろん語学力要件を満たすために英語力を伸ばすことは必要です。それ以外に、学生へのアドバイジングでRU Homeの学生に伝えたのは、他のJDP生を知り、コミュニティを構築することです。学生だけではなく、教員や職員ともコミュニティを作ることが重要です。AUのオフィス、RUのオフィス、それぞれの大学のアドバイザーや教職員と関係を築き、自分自身の学びだけに取り組むのではなく、 「サクラ・スカラーズ」 のコミュニティを作ってほしいと思います。特にJDPのようなプログラムでは、自分が快適に感じる「コンフォートゾーン」から離れる経験をする必要があります。そのコミュニティはあなたをサポートするとともに、チャレンジもする存在になると思います。

エイミー・
マリオン

JDPのカリキュラムはAUとRUが共同で設計しており、非常にユニークで、他のどこにも見られないことは念頭に置いてほしいと思います。ただし、学位を取得するためには厳しい基準もあります。入学前に学びたいことが100%決まっていないことはOKですが、入学希望者は自分にJDPが向いているかをよく確認していただきたいと思います。JDPがアメリカで2年、日本で2年学ぶプログラムであるという以上に「どのようなことを学ぶのか」をよく確認して入学してきてほしいと思います。

秋山

私にとっても勉強になるインタビューでした。ありがとうございました。

04 ワシントンD.C.での生活・寮について 05