- 肥喜里 志門助教
- Simon Hikiri
- 生命情報学科
- 研究室計算構造生物学研究室
- 専門分野生物物理学
- 担当科目分子シミュレーション実験、細胞・システムシミュレーション実験、ゲノムシミュレーション実験
- Q1研究の内容を教えてください。
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理科の実験で顕微鏡を使って細胞を観察したことがあると思います。それよりももっと小さなスケールの生体分子の動きやその周りを取り囲む溶媒分子の影響や構造を観察する手段として、コンピュータを用いた分子シミュレーションと溶液理論の方法があります。私は分子レベルでの生命現象の起源を解明するため、これら2つを組み合わせたハイブリッド手法を用いて研究を展開しています。具体例として「近年発見されたペプチドMIPはいかにして 癌抑制蛋白質p53よりも強く癌蛋白質MDM2と結合できるのか?」という課題に、開発した手法を用いて取り組みました。コンピュータを用いますので対象とする生体分子現象はバラエティに富んでいますが、現在はより難解な課題に取り組んでいます。
- Q2研究に興味を持ったきっかけを教えてください。
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子供の頃から科学が好きでした。ですが高校を卒業するまで将来に関しての考えはほとんどなかったと思います。漠然とバイオテクノロジーに興味があって、大学では生物工学科に進学しました。が、2年目の後半で専門の授業や実習がつまらなくなってしまい、それに気づいた先生に声をかけて頂き、相談したのがきっかけです。その先生は理論化学の専門家で、研究の話を聞きながら「コンピュータで分子の動きを観察できるのか!」と印象に残ったのを強く覚えています。それからはなんだか楽しくなってしまって、興味の向くまま計算科学の研究分野へと突き進みました。
勿論、背景にある数式等の理解にはかなり苦労します。対象とする生命現象の背景の理解も難しい事が多いです。ですが「これ分かったら、もっと面白くなりそう!」というのが楽しかったりします。 - Q3高校生へメッセージをお願いします。
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意外に思われるかもしれませんが「国語」に力を入れて頂きたいと思います。皆さんがどの様な進路を選択するのであれ、必ず誰かに発信する時がいずれ来ます。世間一般にはいわゆる、理系の分野にいる私ですが「国語力」の大切さを、今でも痛感しています。なぜなら、発信する相手を生命科学の研究者に限ってでさえも、各々が様々なバックグラウンドを持っており、専門が少し違うだけで話の内容がうまく伝わらないことがあるからです。
さて、ここでの「国語力」とは一体何でしょう? これは大学院時代の指導教員の受け売りではありますが「国語力=思いやり」と私は考えています。また、失敗や挫折を恐れず色んなことにチャレンジして欲しいと思います。その過程で色んなバックグラウンドを持った方々と出会うはずです。いろんな出会いを通して「国語力」はどんどんついていくと思いますので頑張って下さい。 - おすすめの書籍
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「ライト、ついてますか―問題発見の人間学」/D.C.ゴース、 G.M.ワインバーグ