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学部長挨拶

生命科学部長若山 守

 現代社会は、特定の国や地域に限定されることなく、地球規模において、かつ、様々な分野において解決しなければならない様々な課題に直面しています。そのなかでも資源・エネルギー問題、環境問題、食糧問題ならびに医療問題は、世界の四大問題とも言える課題ではないでしょうか。私たち人類が、より豊かな社会を希求、実現し、持続していくためには、これらの課題に果敢に挑んでいかねばなりません。これらの課題を解決するためには、工学、理学、農学、医学、薬学などの基盤となる学問に加えて、これら互いの境界から、あるいは融合することで発展してきた生命科学がさらに発展し、その発展から生まれてくる研究成果を社会実装していくことが必要です。すなわち、生命科学を構成する各分野の協奏的発展と協同が、こうした課題解決には不可欠です。例えば、医療問題として、優れた医療機器の開発には、医学上のデータに加え、物理学、機械工学、電気・電子工学、化学、生物学、情報工学などの各分野の発展とその融合と新展開が必要です。また、食糧問題として、作物の増産には、作物の特性を研究する理学分野の基礎研究、土壌や肥料の開発に関わる農学や工学(化学)、圃場管理等の農業工学や農業機器の開発などには機械工学や情報工学が必要です。まさに、生命科学は、工学、理学、農学、医学、薬学などの個々の学問を礎にした総合・複合的な科学と言えるでしょう。

 生命科学部の特色は、応用化学科、生物工学科、生命情報学科、および生命医科学科の4学科で構成されていることです。この4学科は、工学、理学、農学、医学、薬学を基盤とする、あるいは基盤として発展した学問分野で構成されており、上述した四大問題に対応するうえで必要となる学問領域を概ねカバーしています。しかも、学生の皆さんが、学科の垣根を超えて総合的に学ぶことができる仕組みを取っている点が大きな特徴であり、かつ優位性であります。すなわち、生命科学部では、「物質・生体分子の機能解明から新物質の創製まで幅広く、最新の研究と技術開発を目指す応用化学」、「食料、環境と生物資源に関わる先端研究と技術開発を目指す生物工学」、「情報科学・技術を基盤とした生体機能の解析を通じて生命の理解を目指す生命情報学」、および「最先端の基礎医学研究を通じて生命現象の解明と医療への応用を目指す生命医科学」について、横断的に学べ、生命科学全般に亘って総合的に理解することができます。

 生命科学部では、独自の海外留学プログラムを開発し、全学共通の海外留学プログラムと合わせて海外の大学で研鑽を積む機会を設けております。すでに多くの学生がこれらのプログラムに参加し、その経験を学習、研究および就職に活かしています。このようなグローバルな視点と活動を支える基盤として、自ら課題を設定し、それを英語で周りに伝えていく能力を養う発信型英語教育に力を入れており、生命科学分野におけるグローバル人材の育成を実践しています。生命科学部では、アジア圏を中心とした留学生を積極的に受け入れており、日本人学生と留学生がとともに学ぶことを通じて異文化理解の素地が養われています。生命科学部の卒業生の多くは、化学、食品、情報、医療を中心とした様々な分野で活躍し、私たちが抱えている様々な課題の解決に挑んでいます。

 生命科学部での学びは、現代社会が抱える様々な課題にチャレンジし、より豊かな社会を創出したいと望んでいる学生の皆さんの期待に十分に応えることができると自負しています。生命科学部において、幅広い教養、基礎学力、専門的能力ならびに異文化コミュニケーション力を身につけて頂き、グローバルな視点を持って大いに活躍して頂きたいと思います。