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RBSセミナー・シンポジウム等

第11回RBSセミナー「未来をどう見るか、どう創るか」

日時
2020年11月7日(土) 13:30~16:30
場所
立命館大阪梅田キャンパス
ゲスト講師

北野 宏明氏

株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼CEO兼所長、ソニー株式会社常務、株式会社ソニーAI CEO、特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構会長、沖縄科学技術大学院大学教授

ゲスト講師

安宅 和人氏

ヤフー株式会社CSO(チーフストラテジーオフィサー)、慶應義塾大学環境情報学部教授、データサイエンティスト協会理事

コーディネーター
立命館大学ビジネススクール 
鳥山 正博教授

レポート

2020年11月7日(土)「未来をどう見るか、どう創るか」をテーマに第11回RBSセミナーが開催された。
コロナ禍に直撃されそれまで予想もしない事態となったこの一年、まさにVUCAの時代だが、大きくは世界の環境問題がのっぴきならないところまで来ていることだけは確かな中で未来をどう見通せば良いのか、あるいはどう創ってゆくべきなのか。未来について不連続であるが故に誰も十分に語り得ていない中で、我が国では政府の委員や経団連の委員として誰よりも真剣に考えている二人に未来について語ってもらおう、というのが今回のテーマの背後にあった問題意識である。

まず、北野氏からは「文明の転換点:パンデミックが覚醒させたパラダイム転換」と題し、普段我々がなかなか考えない文明レベルの視点の講演がなされた。ポストコロナというとコロナが収束してしまえば元に戻るイメージだが、これからいくらでも色々なパンデミックは起こり得ること、また地球温暖化問題が文明を壊す一歩手前まで来ているという未来についてのショッキングな問題提起がなされた。話は変幻自在でインドが推進するAadhaarというインド版マイナンバー制度の先進性と秀逸な普及戦略、グローバル環境問題は共有地の悲劇そのものであること、しかし環境負荷軽減だけを行っても不十分で環境創生こそが必要なこと、共生農法によるバイオダイバーシティこそが解になり得ること、サステナブルなオープンエネルギーシステム、宇宙におけるレーザー通信、湿った空気から水を取り出すナノテクノロジー、AIが再定義する「科学的発見」、ノーベルチューリングチャレンジ・・・と膨大な情報量に聴く側はただただ圧倒された。

安宅和人氏

次に、安宅和人氏からの講演「”残すに値する未来”を考える」では、いかにコロナ以前と以降では世界が変わってしまったかが示され、大統領選とコロナの集団免疫を例にあらゆることを数理分析的にみること、微積分マインドを持ち、指数関数的な現象を正しくとらえることこそ大事であることが語られた。テスラの時価総額がトヨタを超え、あっという間に倍の40兆円となり3大メーカーが買えてしまうような時代、富を生むのはマーケットキャップであること、次の世界の大企業を創らねばならないこと、例えば東電をディスラプトするのはテスラであること、妄想し形にすることこそが富を生むこと、普通の人とは明かに違う「異人」こそが求められること、を語られ、未来=夢(技術)x 技術(Tech)xデザイン(構想力)であり構想力こそが重要であることを強調された。最後にこれまでのやり方の延長では成長の前に地球がもたないと言う認識からSociety 5.0とSDGsの交点こそを目指すべきと言う認識を示された。

安宅和人氏

会場からもオンライン参加者からも質問が溢れパネルディスカッションは「大質問大会」に終始した。当日の会場アンケートでは 「これまでの概念を根底から見直すべきと考えるに至った」「非常に刺激的なセミナーだった」「変わりたいと思わさせられた」「ロジカルに今を見て、そこにビジョンを立てられる人間を目指します」等強烈な刺激を受けた様子が現れていた。

さて、コーディネーターとしての感想は以下の通りである。

  • 北野氏は膨大な分野をカバーする碩学であり、どの分野も誰よりも深く先読みをしていること、それら全てをアクションにまで繋げる構想を持っていることに改めて感心させられた。/li>
  • 参加者はおそらく気付いていなかったろうが、安宅氏は実は会場で渡した事前関心事・質問リストと私との立ち話を見事にその場で講演に盛り込むという凄技を披露してくれたのであった。その集中力とサービス精神にいたく感心させられた。
  • 北野氏と安宅氏のやりとりからは相互へ深い理解とお互いへのリスペクトが感じられた。