さて、次は「図書館」へ。私たちの事前調査では、図書館にある貴重書庫に学内外に知られる特殊文庫が大切に保管されているとのこと。今日は図書館の方にお願いして、貴重資料を特別に見せていただけることになりました。
私たちが最初に手に取ったのは、フランス語の書籍。聞けば、西園寺公望の旧蔵書や書簡を中心とする『西園寺文庫』から、1885年頃にフランスで出版された『蜻蛉集』とのこと。保存状態がよく、挿し絵の色も鮮明です。
西園寺公望の留学経験から、『西園寺文庫』にはフランス語書籍が多く、他にも漢学・国文学から漢籍・儒学・古今集・新古今集・地誌・西園寺家の行事に関するものまで、さらに文学だけでなく宗教や芸術も含めた書籍・文書などが幅広く保管されています。約7千冊に上るコレクションのなかには、西園寺公望の朱書き批判文が見られる井上毅著『梧陰存稿』もあり、政治家としての顔がしのばれました。
「これはすごい!」。
2人揃って思わず声を上げてしまったのは、与謝野晶子が鳳晶子名で執筆している『みだれ髪』の初版本。教科書でしか見たことがなかった本の実物に、信藤、感激!です。これが、立命館大学文学部教授だった小泉苳三先生(1894年〜1957年)収集の、歌集・歌書と関連資料(新聞・雑誌等)約8千冊から成る『白楊荘文庫』の一部。有名な『明星』は丁寧にファイリングされていて、ちょうど1世紀前の1900年の発行になる第1号。他にも『小扇』『ほととぎす』『スバル』など、貴重な文学資料がいっぱいです。
「ポトナム短歌会の創設者で歌人でもあった小泉先生ですから、短歌資料をこれだけ組織的・体系的に収集した例は全国的にも見あたりません。それだけに、マスコミなどの各方面から閲覧利用の申し込みが後を絶ちませんね」。という図書館の方のお話にも納得してしまいました。
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