生体分子構造学研究室

タンパク質の謎を独自の手法で解明し ALSなど神経難病の治療につなげたい

北村 奎時さん

薬学研究科(薬科学専攻)
博士課程後期課程 3回生

Profile

愛知県出身。立命館大学生命科学部に入学後、3回生で薬学部北原研究室にて研究活動を行い、卒業後、薬学研究科に進学。高校と博士前期課程ではキャストとして演劇活動に取り組む。明瞭な話しぶりは当時の訓練の賜物。学部時代は科学普及に関するボランティア活動も。休日の楽しみは釣りや自宅での映画鑑賞など。好きな監督・俳優はベン・スティラー。

タンパク質の不思議を解明したくて
生命科学部から薬学部の研究室へ

高校生の時、生命と非生命の境界に関心を持っていた私は、立命館の生命科学部に入学し、生物工学を学んでいました。3回生で研究室を選ぶにあたり、自分の興味の対象はタンパク質の不思議、中でもフォールディング(折りたたみ)構造にあると思うようになりました。うまく折りたたまれなかった場合、異常なタンパク質が蓄積して神経系の病気が起こることがあります。私は、この異常タンパク質をもたらす現象を研究したくて、タンパク質の構造や機能の異常と病気のメカニズムの解明をテーマに掲げておられる、薬学部の北原亮先生の研究室に入りました。

研究室では、チームで研究を進めているので、博士後期課程の私は、後輩の研究内容や課題についても把握し、話し合いながらサポートをしています。その中で新しい視点に気づいたり、多角的にものを見たり、私にとっても多くの学びがあります。薬学科の学生にとっての国家試験など、その時々で自分のやるべきことに集中しながら研究できる環境がある研究室です。

北村先輩に聞いてみました。

石崎 愛奈さん

石崎 愛奈さん

薬学部 創薬科学科 4回生

Profile

好きな実験ができて、周囲の人を助けられる知識を身につけられることから薬学部を志望。研究室に入って驚いたのは、わからないことを先生に聞くのではなく、先輩同士で意見を出し合い、解決していること。好きな休日の過ごし方は劇場での映画鑑賞。無計画にふらっと行けるので一人で行くことが多い。卒業後は大学院に進学し、修了後は製薬業界への就職を志望。

  • 海外留学には明確な目標を決めて行っていますか?

  • きっかけを求めて行く場合も。試行錯誤しながら研究を進めることが大切

    大学の制度を利用して、これまでに2回海外留学を経験しました。目標を決めて行く場合もあれば「この先生からこんなことか学べるかも」と、きっかけづくりの意識で行く場合もあります。また来週から、カナダのトロント大学に2か月間留学します。今研究している液液相分離という現象と、タンパクと核酸が結合する現象との関連性について、何らかの研究を打ち立てたいという目標を持っています。

  • リフレッシュしたい時はどうしていますか?

  • キャンパス周辺の散歩で考えを整理しています

    散歩が好きで、自宅から大学へも毎日30分かけて歩いています。びわこくさつキャンパス周辺の豊かな自然にふれながら歩くのは、自分の考えを整理できる時間にもなっています。最近はお茶にもはまっていて、京都などでいろんなお茶を買い込んでは、湯温や抽出時間を変えながら味の違いを楽しんだりしています。

画像のキャプション

病気を起こすタンパク質特有の現象に
新手法でアプローチし、
難病治療につなげたい

筋肉を動かす神経が徐々に失われる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)には、タンパク質の相分離という現象が関わっていることが、近年明らかにされてきました。細胞の中でタンパク質が集まり水玉のような構造(液滴)をつくる現象で、この液滴が異常な構造を持ってしまうことが発症に繋がると考えられています。私は、この現象をコントロールすることによってこの難病の治療につなげたいと考えています。現在は、この現象がどのように起こり、制御されているのかを明らかにする研究を行っています。

この現象の解明には、これまでは顕微鏡をのぞいて観察する生物学的なアプローチが中心でした。しかし私は、熱力学のメソッドを使ってこの現象にアプローチしています。熱と圧力というパラメータを使い、タンパク質が集まるエネルギーを数値として定量化しました。分かりにくい現象を物理学に基づくシンプルな数値に置き換えることができれば、誰もが使い、応用できる有効なツールとなります。これを、創薬を含むさまざまな挑戦のために提供できればと考えています。

研究室に入った当初はタンパク質を作ることにも苦労しましたが、トライアンドエラーの中で学び続けた結果、今の研究につなげることができました。さまざまな方法でこの現象を定式化・定量化することにおいて、この研究室は最先端を走っています。それを可能としてくれる装置が学内にあることも私たちの強みだと思います。

考える。伝える。現場で活きる。立命館の学び。

RARA学生フェローとして
さまざまな研究支援を受けています

博士後期課程に進学する際には迷いもありました。学費の負担も理由の一つです。しかし、大学のRARA学生フェローに応募し、採択されたことで、研究活動支援金を受給しながら、自分にしかできない研究を続けられることになりました。他の研究科のRARA学生フェローとの交流からも、知的好奇心を刺激されています。

人文科学や社会科学をふくむ他分野の研究内容を知ることだけでなく、各分野からの世界の見え方を伝え合うことによって、自然や人間社会の複雑さ、面白さに改めて気づくことのできる貴重な機会になっています。最近、薬学研究科と生命科学研究科のRARA学生フェローの間で、研究交流会が立ち上がりました。知識や知恵を共有しながら、研究をより楽しく感じるきっかけになることを期待しています。

薬学部を目指すみなさんへ

北村 奎時さん

薬学研究科(薬科学専攻) 博士課程後期課程 3回生

AIの時代だからこそ、人間にしかできないこと、自分でなければできないことを考えることが重要だと思うようになりました。AIの外側の世界をどれだけ生み出せるかが、社会とつながり、貢献するための重要な能力になると思います。だから、興味があることに躊躇なくチャレンジしてほしい。思い通りにいかないことがたくさん起こり得るからこそ、より積極的にいろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。人を頼ること、応援してもらうことも大切です。私は内気な人間でしたが、さまざまなことをするうちに、他分野の先生や学外の機関などにも質問や相談ができるようになりました。立命館大学には、研究したい人、起業したい人を支援してくれる制度もたくさんあるので、ぜひ利用してみてください。

石崎 愛奈さん

薬学部 創薬科学科 4回生

立命館大学薬学部では、医師や薬剤師、研究者など多様なバックグラウンドを持つ先生方から学ぶことができ、さらに低回生のうちから多くの実験経験を積むことができます。多様な実験手法を学び、実験器具の扱いに慣れることは、将来技術者を目指す上で大きな糧となるでしょう。また、授業をサポートしてくださる先輩方がいるため、疑問点をすぐに相談できる環境が整っています。私自身も授業についていけるか不安がありましたが、こうしたサポートによって理解を深めていくことができました。このような環境の中で、自ら学び続ける姿勢を大切にし、共に成長していきましょう。薬学は人の健康や命に関わる分野であり、決して簡単ではありませんが、その分大きなやりがいがあります。ぜひ、自分が将来どのように人の役に立ちたいのかを考えながら、進路選択に向き合ってみてください。

北原 亮教授

生体分子構造学研究室

教員紹介へ

薬学部は、病気のメカニズム、それを抑える分子の探索、効果的な剤形の追究、人に対する安全性など、物理・化学・生物を含んだ総合学問です。創薬科学科でも、薬学科でも、医薬品開発という観点ではこれらを全て学べるのが薬学部だということを、高校生の皆さんにも知ってほしいと思います。研究者にとっては、博士学位の取得がスタートラインです。北村君も、学位取得後は、世界中のいろんなラボでさまざまなことを吸収し、自立した研究者として自分なりの道を切り開いていってほしいと思います。

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