小学校4年生が展望する人生
ちょっと遡ることになりますが、3月11日に行われた「立志式」にかかわる取り組みについて書いておきたいと思います。
この「立志式」、立命館小学校では、ファーストステージ(1年〜4年)からセカンドステージ(5・6年)への切り替えとして行われる儀式です。立志式では、「将来の自分はこうありたい」ということを一人一人が舞台の上で宣言します。みんなとても堂々と、清々しく、発表することができました(残念ながら、私の手元に写真がありません・・・)。好きなことやなりたい職業、こうありたい自分について一人一人が考え抜いた結果として、それぞれの個性が光っていました。
「将来の自分はこうありたい」というテーマについて考えること、小学校4年生の子どもたちにとってはなかなか奥深いテーマです。まさに、正解のない、探究的な問いですから。実際、人生のあり方については、限りなく多様な選択肢があるのですが、子どもの世界ではまだまだそんな広い世界はみえていないはずです(大人もそうかもしれませんね)。
「立志式」に向けての探究学習として、今年度は学年の先生方の企画で「身近な人の人生の話を聞く」ということをシリーズで取り組み、多様な人生のあり方に触れることを目指しました。そして、そのシリーズ第一弾として、私が小学校時代から今までのことを赤裸々に語る、という機会をもらいました。1月12日のことです。
私は小学校1年生から4年生まで、周りの子どもよりも幼く、いろいろと不器用だったこともあって、学校にいまいち馴染めず、毎日忘れ物をして先生に怒られたり、隣の子にいやがらせをされたり、今となってはそんなことばかり思い出してしまうような時期(自分では暗黒期と呼んでいます・・・)がありました。5年生からはなぜか突然視野が開け、積極的に手を挙げて発表できたり、友達と出し物の企画をしたり、そんなことが急にできるようになったのでした。今思えば、それは、周りの先生方のサポートがあり、自分自身の頭と心と体が一定育ったからであり、大変不思議なものですが、人にはやっぱりいろんな成長段階があるのだなと、つくづく思います。4年生の自分からみたら、その後の人生の形は全く思いもよらない展開でした。
講演では、その後の人生(中学でもう一度暗黒期があり、その後のびのびとした高校時代があり、大学では自分のやりたいことに邁進し、中国に留学し、アメリカで博士課程に進学し、大学で国際教育の研究と実践をし・・・)についても聞いてもらいました。そして、その中で私が大事にしてきた考え方を三つ紹介しました。
・勧められたことを素直にやってみる
・気になる方を、未知の方を選ぶ
・一度決めたら真剣に取り組む
全員におすすめする方法ではないけど、こんなやり方もあるよ、ということで伝えました。
講演後、子どもたちはたくさん質問してくれました。後日もらった全員の感想を読んで、私を対等な人間として尊重してくれる気持ちを感じ、とてもうれしかったです。感想の中で「堀江先生は努力の人だ」と書いてあったことは驚きでした。私は自分のことをそう思ったことが全くなかったからからです。でも、言われてみたら、一度決めたことは、とにかくもがいてでもやり抜くようにはしてきました。うまくいったこともいかなかったことも、楽しかったことももがき苦しんだことも、全部自分の大切な一部になっていること、子どもたちの言葉を通して感じ取ることができて、とてもありがたい気持ちになりました。
4年生の子どもたちが展望する未来の自分にはいろいろな形がありました。無限の可能性があること、そして、自分の強みを活かす道は必ずあることを信じて、これからもどんどん成長してほしいと思います。
校長 堀江未来