国際交流とトランスランゲージング、その後
2021年の11月、アメリカシアトルにある日本語補習校の四つ葉学院とのオンライン交流を受けて、以下のブログを書きました。
海外とのオンライン交流は英語を使って行う実践が多いですが、本校での四つ葉学院との交流では、日本語と英語(つまりお互いの母語と学習言語)を双方うまく活用し、工夫しながらコミュニケーションをとることで、トランスランゲージングのスキルを高めることも意図しています。
それから2年。今回、5年生が四つ葉学院とのオンライン交流を行いました。四つ葉学院の西尾校長先生のご尽力により、新たにアメリカ、カナダ、パラグライ、メキシコ、コスタリカ、ペルーなどの日本語補習校・日本人学校にもお声かけし、より多様な場所で育つ日本にゆかりのある子どもたちとつながることができました。
日本語と英語をうまく活用しながら、京都文化の紹介として、プレゼンや日舞やお琴の演奏を行いました。全体でつながる場面とブレイクアウトルームで少人数でつながる場面があるのですが、今回の発見は、少人数でのブレイクアウトルームでのやりとりでの、子どもたちの振る舞いです。
ZOOM越し、しかも日英両語でのコミュニケーションには、やりにくさがあって当然です。しかし、子どもたちは、画面をはさんでのコミュニケーション空間を何とか成立させようと、相手の様子をよく見ながら、自主的に工夫をしていました。意味あるコミュニケーションとは、環境や相手にまかせるのではなく、自分で成り立たせるもの。さまざまな実践を通して、そんな意識をもって行動しようとしている姿が増えているように見えました。
もちろん、うまくいっているケースとそうでないケースはありますが、「失敗から学ぶ」という観点も、こういった体験を通した学びには不可欠です。とにかく最善を尽くして挑戦してみること、そしてその経験をしっかり振り返り、気づきを深め、学び取ること。自分が最善を尽くせていなかったと思うなら、そこを反省して次につなげること。子どもたちには、そういった学びのあり方を経験から学び、どんどん成長してほしいと思っています。
ところで、この同じ時期に、1年生もオンライン交流に挑戦していました。こちらの交流先は、オーストラリアのReynella East Collegeで学ぶ小学生。画面越しに元気な様子が見えます。
Reynella East Collegeでは日本語を教えていますので、こちらもやはり日英両語を使います。立命館小学校の子どもたちは英語で自己紹介、Reynella East Collegeの子どもたちは日本語で自己紹介。お互いに好きなものを聞き合ったりして、上手にそれぞれのコミュニケーション空間を成立させていました。
Reynella East Collegeの児童からは、「初めて外国に住んでいる人とこうやって出会えて面白かった」という感想がありました。本校児童からは、「相手の好きなものが聞けて嬉しかった」「日本語が上手でびっくりした」といった感想もありました。きっと向こうでも、みんなの英語も上手だったよといってくれてるような気がします。
外国語を学ぶということにゴールはありません。私自身、どこまでがんばってもまだまだ先が見えない感覚を持ちつつ、間違えながら、助けてもらいながら、それでも外国語を使いながら生きています。上手下手を気にするのではなく、誰もが同じ外国語習得のプロセスの途上にいるととらえて、そのときに持ちうるコミュニケーション力を最大限に活用しながら、それぞれの学びを助け合っていくこと。そのプロセスを通じて、単なる英語力に終わらない、グローバルでユニバーサルなコミュニケーション能力を身につけていくこと。そんな学び方を、小学校時代に身につけておいてほしいなと思います。
校長 堀江未来