思いを馳せる
2024年1月1日。突然に起きた能登半島地震。
阪神淡路大震災のこと、東日本大震災や熊本地震のボランティアに行ったことなど、様々なことが思い出され、とにかく正しい情報を把握できるように努めた年明けでした。
そんな中、6月頃に立命館大学の増田梨花先生から、「チャリティー講演会でいただいた義援金で輪島の小学校に絵本を贈りたい。その際、児童のメッセージなども一緒に届けたい」という申し出を受け、本校の児童に趣旨を説明し、呼びかけをしました。
東日本大震災のボランティアに行った際に、こんな話を聴きました。「『頑張って』って言われても、どう頑張っていいかわからない」と。だから、児童には「『頑張って』というメッセージより、『この本のここがおもしろいよ』『一緒に読めたらいいね』などと友達にこの本を紹介するという視点でメッセージをお願いします」と伝えました。
児童からは、本当に多くのメッセージをいただき、そのすべてを絵本と一緒に10月7日に輪島の小学校に届けにいきました。
訪問した小学校は、6つの小学校が集まって仮設校舎で授業を行っています。被害を受けたこの6つの小学校は、2月上旬に輪島高校を間借りして授業を再開し、4月からは輪島中学校に移っていましたが、2学期からは仮設の校舎で授業を行うことになったとのことで、この半年で3回も学校を移転しました。それでも、「やっと小学生だけが集まる場所になって、どこかで遠慮しながら過ごしていたのがようやく居場所ができたように思います」と先生が言われていたのが印象に残っています。
小学校では1年生と2年生に対して、絵本と音楽の授業を行いました。絵本にあわせた音楽を弾きながら、絵本を読み聞かせるスタイル。子どもたちは笑顔で授業を受けてくれていました。そして絵本とメッセージをとっても嬉しそうに受け取ってくれて、読むのを楽しみにしてくれていました。
東日本大震災でボランティアをした際に、自分自身のちっぽけさを感じ、「何かをしてあげる」という奢った見方・思い違いに気づかされました。そして、そこで立ち上がろうとされている皆さんから、こちらが生き方を学ぶ場になっていて、大きな力をもらっていることに気づきました。
今回もそうでした。震災地の方々、そして子どもたちからたくさんのエネルギーをいただきました。そんな経験を、メッセージの御礼とともに、本校の児童にも伝えていきたいと思います。
そして、いつか児童が大きくなったときに、震災地を訪れ、自分の五感でたくさんのことを感じてほしいと思います。いろんなことに思いを馳せながら…。
校長 小笹大道