「話しあって決める」を学ぶ
立命館小学校では,今年度よりオランダ発祥のピースフルスクールプログラムを,低学年を中心に段階的にスタートしています。オランダでも様々な教育上の課題がありますが,対処療法ではなく,根源的なアプローチとしてピースフルスクールプログラムが開発され,2020年には「先進国の子どもの幸福度」調査 (ユニセフ イノチェンティ研究所) で1位となっています。
2024年度には,年10回の教員研修を行い,私たち自身が学ぶこと,そして児童にどのように還元していくかを考えてきました。その研修の第1回目の様子は,2024年4月の校長ブログに載せていますので,よろしければこちらも合わせてお読みください。
ピースフルスクールプログラムの目的は,「民主的な社会とは、多様な人々が安心して幸せに共生できる社会と位置づけ,民主的な社会を実現する市民に求められる自立と共生の2つの力を身につけること」です。そして学習目標として,①民主的な意思決定,②対立の解消,③社会的責任,④多様性の受容,⑤民主制のリテラシーを挙げています。これらは,ラーニング・コミュニティを形成する5つのコンピテンシー,挑戦・発見・創造・対話・協働とも結びつき,グローバル・シティズンシップ教育の中核となるものだと考えています。
意見の違いは決して悪いものではありません。むしろ,その違いがあるからこそ,様々な発想が豊かになっていきます。しかし,その違いによって対立が生まれ,けんかになってしまうと,その違いが受け入れにくくなります。また,そのときには意見だけではなく感情がついてきますので,その感情もその後に引きずってしまうことが多くあります。
ピースフルスクールプログラムでは,その感情を知ることを大切にします。怒ることが悪いのではなく,怒っている状態であることを自分自身が知ること,そして相手に知らせることができれば,対応は変わります。それを言語化できにくい低学年の児童には,色で表現することができることを学びました。
大人の世界でも意見の対立が起こり,感情がつきまといます。子どもたちには,こうした対話の原点となる感情を知り,相手の気持ちの裏側も理解しようとする姿勢,まさに自立と共生を目指しながら,自分たちの世界を変えていく人に育ってほしいと願っています。
校長 小笹大道
※この取組みは,2025年11月16日に,朝日新聞GLOBE+に取り上げていただきました。デジタル版も現在,準備いただいています。



