『現代韓国の軌跡』刊行のお知らせ
この度『現代韓国の軌跡』が刊行されました。本書は、現代韓国社会・政治・経済・文化の多面的な動向を、東アジア地域の平和と協力という広い視座から再考することを目的として編集したものです。韓国研究を専門とする研究者・学生のみならず、現代東アジアに関心を持つ幅広い読者にとっても有益な一冊となっています。ぜひご一読ください。
目次
はしがき
第Ⅰ部 韓国の政治・社会
第1章 現代韓国政治の転換
――分断の政治から熟議の政治へ―― 文京洙
はじめに
1 「検察国家」への道のり
2 弾劾政局の背景と展開
3 李在明政権の誕生
おわりに
第2章 金鍾泌のいた韓国いない韓国,そして日韓関係
生駒智一
はじめに
1 日韓関係と金鍾泌
2 韓国政治と金鍾泌
おわりに
第3章 韓国政治における「世代論」とその政治効果
――「老害」「コンデ」をめぐる比較・実証分析から―― 徐聖鉉
はじめに
1 日韓における世代間対立研究の現状と「コンデ」「老害」言説の位置付け
2 韓国・日本メディアに見る「コンデ」「老害」言説の展開と比較分析
3 確証バイアスと情報環境
――日韓社会における世代間対立激化の背景――
4 世代間対立から見た有権者間分裂と「民主主義の危機」
おわりに
第4章 韓国の移行期正義プロセスと政治アクター
――済州の事例を中心に―― 林世峻
はじめに
1 移行期正義に関する理論的接近
2 済州4・3事件を巡る諸言説
3 済州の移行期正義を巡る政治アクターの分析
おわりに
第5章 李承晩政権と民主主義
――韓国の民主主義におけるターニングポイント―― 髙城建人
はじめに
1 李承晩政権以前朝鮮半島の民主主義談論及び独立運動勢力の政府構想
2 李承晩と保守野党政治家の政治思想
3 李承晩政権初期の政治制度をめぐる実際の展開過程
4 1954年以後の李承晩政権の特徴
5 李承晩政権が後の韓国政治に及ぼした影響
おわりに
――時代の変化と制度改革の必要性――
第Ⅱ部 韓国をめぐる国際関係
第6章 韓国政治における日本の「重み」
――“反日”感情と政府対応の比較を通じた「脱日」視座の事後検証―― 澤田克己
はじめに
1 冷戦終結と韓国の「脱日」
2 日本の「重み」と変容する「反日」
おわりに
第7章 日韓協定における「在外公館」設置交渉と「相互主義の原則」の不在
――韓国の「対日感情」が及ぼした影響を中心に―― 閔智焄
はじめに
1 李承晩政権の対日認識による日韓外交の形成と葛藤
2 日本の主権回復と「相互主義の原則」をめぐる日韓間の代表部設置問題
3 張勉・朴正熙政権期の日韓外交と「相互主義の原則」の適用限界
おわりに
第8章 日韓外交関係を動かすものとは
――「介入―連合政治仮説」を用いた検証―― 益子理帆
はじめに
1 パズルの提示
2 先行研究の検討
3 分析枠組みと仮説
4 検証
おわりに
第9章 朴正煕政権の非同盟外交における韓国財閥の役割
――アフリカを中心として―― 木下奈津紀
はじめに
1 朴正煕政権の非同盟外交
2 非同盟外交における韓国財閥の役割
おわりに
第10章 李在明政府の対北朝鮮・統一政策の新展開
――関与(engagement)の観点から―― 中戸祐夫
はじめに
1 韓国の対北朝鮮・統一政策の分析枠組み
2 文在寅政権と尹錫悦政府の対北朝鮮・統一政策
3 李在明政府の対北朝鮮・統一政策と展望
おわりに
〈特別寄稿〉
日本における韓国政治研究を考える
――「アウトサイダーとしての地域研究」再論―― 木村幹
はじめに
1 フラット化する世界の縮図としての日韓関係
2 研究の消費者
3 研究の消費者と新奇性
4 現地の認識に挑戦する
おわりに
あとがき
結びにかえて