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【安全保障輸出管理の概要】

 安全保障輸出管理とは、日本を含む国際的な平和及び安全の維持を目的として、武器や軍事転用可能な貨物(装置・試料等)及び技術を大量破壊兵器の開発等を行っている国やテロリスト等の手に渡ることを防ぐための管理制度です。日本においては、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいて規制が行われています。

大学における研究活動も規制の対象になります

 安全保障輸出管理では、「貨物の輸出・技術の提供」が対象となります。大学では関係ない規制と思われがちですが、実際には、以下のような研究活動において、技術提供や貨物の輸出の機会があり、規制の対象となる可能性があります。

主な機会 具体例
留学生・外国の研究者等の受入れ 実験装置の使用、試作
技術情報を電子メールやUSBメモリ、FAXで提供
研究指導、技術指導、会議、打合せ
外国の大学や企業との共同研究 実験装置の貸与、送付・持出し
技術情報を電子メールやUSBメモリ、FAXで提供
会議、打合せ
学術研究を目的とした研究試料などの送付・持出し サンプル品の送付・持出し
自作の研究機材を携行
外国からの施設見学 研究施設の見学、研究内容の説明
説明資料配布、実験装置の説明
外国出張 国際会議等での発表(口頭・ポスター他)
展示会等での展示、打合せ等

規制の内容

 安全保障輸出管理に関する規制には以下の2種類があり、貨物の輸出や技術の提供を行おうとする相手(国、機関等)により適用される規制が異なります。

■リスト規制

 輸出しようとする貨物が輸出貿易管理令別表第1の1~15項に該当する場合又は提供しようとする技術が外為令別表1~15項に該当する場合には、経済産業大臣の許可が必要となる制度です。国際的な合意に基づき、武器及び大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれの高い貨物・技術を規制しています。 

  

■キャッチオール規制

 輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、リスト規制に該当しない場合でも、定められた要件に該当する場合には、経済産業大臣の許可が必要になります。キャッチオール規制には、大量破壊兵器キャッチオール規制と通常兵器キャッチオール規制とがあります。

◆大量破壊兵器キャッチオール規制:
 ホワイト国以外の国へ貨物の輸出・技術の提供を行う場合が対象で、その貨物や技術の「需要者」や「用途」からみて大量破壊兵器の開発等に用いられる懸念があるかどうかにより規制されます。

◆通常兵器キャッチオール規制:
 国連武器禁輸国・地域へ貨物の輸出・技術の提供を行う場合が対象で、その貨物や技術の用途からみて通常兵器の開発等に用いられる懸念があるかどうかにより規制されます。