2026.07.27

【論文掲載】国際学術誌『Tourism Geographies』掲載(文学部 遠藤英樹教授)

アルゴリズムは私たちの旅をどう変えるのか
遠藤英樹教授の論文が国際学術誌『Tourism Geographies』に掲載

 立命館大学文学部の遠藤英樹教授の論文「Algorithmic mobilities and tourismgeographies: movement, agency and power in hyper-late modernity」が、観光地理学分野の国際学術誌『Tourism Geographies』に掲載されました。

 本論文は、私たちが旅行先を選ぶ際に利用するインターネット検索やSNS、旅行予約サイトなどが、人々の移動や観光行動にどのような影響を与えているのかを考察したものです。遠藤教授は、観光客の移動が実際に始まる前から、検索結果やおすすめ情報などによって方向づけられていることに着目し、その新たな移動のあり方を「アルゴリズミック・モビリティーズ(Algorithmic Mobilities)」という概念によって論じています。

本件のポイント

・ インターネット検索、SNS、旅行予約サイト、AIによる旅程作成などが、人々の目的地選択や移動のあり方をどのように形づくっているのかを考察。

・ 旅行者が実際に出発する以前から、検索順位や推薦表示、価格設定などを通じて、目にする情報や選択可能な目的地、移動のタイミングが編成されていることに着目。

・ こうした、アルゴリズムによって事前に方向づけられる移動のあり方を、「Algorithmic Mobilities(アルゴリズミック・モビリティーズ)」という概念によって提示。

・ どこへ移動するかだけでなく、何が見えるのか、誰がどのような条件で移動できるのかという、観光における移動、主体性、権力の関係を捉え直す新たな研究視点を提起。

論文の概要

 近年、旅行者は目的地や宿泊先、交通手段を選ぶ際に、インターネット検索、SNS、旅行予約サイト、AIによる旅程作成ツールなどを日常的に利用しています。
こうしたサービスは、単に情報を提供するだけではありません。検索順位や推薦表示、口コミの可視性、動的な価格設定などを通じて、旅行者が何を目にし、どこを選び、いつ、どのような条件で移動できるのかにも影響を与えています。

 本論文では、旅行者の移動が実際に始まる以前から、移動の選択肢や可能性がアルゴリズムによって形づくられていることに着目し、こうした現象を「AlgorithmicMobilities(アルゴリズミック・モビリティーズ)」という概念によって捉えています。

 さらに、検索や推薦の仕組み、動的価格設定、空港や国境における顔認証などのシステムが、観光地の可視性や旅行者の行動だけでなく、移動へのアクセスやそのタイミングにもどのように関わっているのかを考察しています。これにより、「人はどのように移動するのか」という問いに加えて、「移動の選択肢や可能性は、誰によって、どのように形づくられているのか」という視点から、デジタル社会における観光、主体性、権力の関係を捉え直しています。

遠藤英樹教授コメント

 私たちの旅は、目的地へ向かう前から始まっています。検索結果や推薦、価格設定などを通じて、何が見え、どこへ、いつ、どのような条件で移動できるのかが形づくられているからです。本論文では、こうした移動のあり方を「アルゴリズミック・モビリティーズ」と捉え、観光における主体性や権力の問題を考察しました。デジタル社会における旅の自由と選択を考える一助となれば幸いです。


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遠藤 英樹 (えんどう ひでき)
立命館大学文学部教授。専門は観光社会学。人や情報の「移動」に着目するツーリズム・モビリティーズ研究を中心に、観光とデジタル技術、地域社会との関係を研究している。近年はアルゴリズムやAIと観光をめぐる研究に取り組む。


関連情報
Full article: Algorithmic mobilities and tourism geographies: movement,agency andpower in hyper-late modernity
研究者学術情報データベース
社会のあり方を揺るがす「ツーリズム・モビリティーズ」 |RADIANT | 立命館大学