【開催報告】5月30日(土)立命館土曜講座
「白球が結ぶ台湾と日本─映画『KANO』と小説『蕉葉と樹の約束』を手がかりに─」
講師:立命館大学文学部 教授 三須 祐介
会場には41名、オンラインでは延べ63名が参加しました。
2026年5月30日の土曜講座では、三須祐介教授を講師に迎え、「白球が結ぶ台湾と日本─映画『KANO』と小説『蕉葉と樹の約束』を手がかりに─」をテーマにご講演いただきました。
■ 野球と文学から見る台湾の歴史と文化
映画『KANO』や小説『蕉葉と樹の約束』が取り上げられ、日本統治期における台湾社会の姿が多面的に考察されました。特に原住民族の視点に注目し、野球を通じて形成された日本との文化交流や、植民地近代の中での経験と葛藤が紹介されました。
また、野球は単なるスポーツではなく、教育政策や社会構造と深く関わる文化的実践であり、人びとの移動や交流を促した重要な要素であることが示されました。さらに文学は、こうした歴史の中で埋もれがちな個人の記憶や経験を掘り起こし、現在へとつなぐ役割を果たすものとして位置づけられました。
■ 歴史認識と文学の役割
台湾文学における「政治」と「歴史認識」の重要性についても論じられ、台湾は複数の統治を経験してきた歴史を背景に、多様なアイデンティティを形成してきましたが、その過程において文学は、外部から与えられた歴史を問い直し、自らの視点から語り直す営みの一端を担っていることにふれられました。
とりわけ、原住民族の存在に光を当てることにより、「誰の視点から歴史を語るのか」という問いが浮かび上がり、個人の記憶や日常もまた社会や政治と密接に結びついていることが改めて示されました。
参加者からは、
「台湾の文学や野球に関する情報はあまり接することはなかったで、とても興味深かった。」「台湾の歴史に興味があり参加しましたが、芸術作品から歴史を読み解く視点は非常に面白かった。」
といった声が寄せられました。