Under the Same Sky
朴 基浩さん(アジア太平洋学部4回生)
アフリカ南部ザンビアで教育支援のボランティアを行う
朴 基浩さんは在学中、新入生や在校生、地域へ向けて様々なイベントの企画・運営を行ってきた。今年1月にも、共にザンビアで教育支援活動に携わったフォトジャーナリスト佐藤慧氏の写真展を終えたばかりだ。
朴さんは昨年9月、1ヵ月に渡ってアフリカ南部・ザンビアのサンフィアという田舎町の中学校で体育や理科、音楽、日本語などの授業を行い現地の学生と交流をしたほか、首都のルサカでは孤児院やスラムを訪問した。そこで彼が目撃したのは、経済的に貧しいはずの人々が幸せそうな笑顔を見せてくれる田舎と、物質的には恵まれているはずなのにドラッグやシンナーが蔓延する都市部の相反する光景だった。
日本で主に報道されているのは後者であり、そのような報道を通し私たちは彼らを貧困、犯罪、腐敗などの言葉でカテゴライズしがちである。
しかし朴さんは言う。「人をカテゴリーや先入観でみてはいけない」と。「先入観で相手の背景や人間性をいつも正しく見る事が出来ないように、一部だけを見て他の集団やその中の個人個人を判断することは出来ない」。
首都ルサカでは、日々報道されているようなネガティブな側面を見た。コンパウンド(スラム)では、路上の固いアスファルトに座り込み、うつろな表情でハンカチに染み込ませたシンナーを吸い、空腹を紛らわしている極限状態の子どもたちを数多く見かけた。朴さんはこうした犯罪や麻薬に溺れる子どもたちを目の当たりにした時に恐怖を感じた事を否定しなかった。しかし、それがザンビアの全てではないという事を今回の活動で知る事が出来た。
「都市部では確かにネガティブな側面を生々しく見せつけられた。ただ、自分はそれ以上にサンフィアの田舎で出会った子どもたちの笑顔が印象に残っている。あぁ、こんなに幸せそうな子どもたちもいるのだな」と。
そして帰国後、彼は友人とともに、幸せそうに生きる現地の人々の日常をたくさんの方に紹介しようと、冒頭の写真展を企画した。副題は“Under the Same Sky”。アフリカでも豊かな日本でも「結局人間は同じ空の下にいる」という思いをこめている。
世界中には貧困、児童労働、環境問題など多種多様な問題が存在するが、自分が気になった事を知るために現地に飛び込んで行くような行動力を発揮出来る人間がどれほどいるだろうか。朴さんはあるべき姿を私達に見せてくれた。
そんな彼もこの春、卒業を迎える。
「将来の目標が必ずしも『世界的』あるいは『国際的』である必要はないと思っています。いつかAPUにいたからこそ“出来る”と言えるように、これからも自分なりに答えを探していきます」。
朴さんのザンビアでの教育支援活動は、
APU公式ホームページでも紹介しています。
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- 取材・文
- 平林 隼(アジア太平洋学部2回生) APU学生広報スタッフ<Student Press Assistant(SPA)>