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319 -  世界で見た、味わった、学んだ コーヒーの深み

世界で見た、味わった、学んだ コーヒーの深み

藤井勇也さん(経営学部3回生)
世界18カ国を旅し、フェアトレードサークル「beleaf」に在籍中

  • No.319
  • 2011年11月11日更新

「留学をしてみたい。」大学に入学した頃は、そんな夢を抱きつつも、きっかけを掴めずにいました。そんなとき、産学協同アントレプレナー教育プログラムの授業で、社会貢献を目的とする「社会起業家」の存在を知りました。

「社会貢献」と、元々興味を持っていた「お店を持つ」こと、そして「旅」の3つを結び付けられないか…と考えるようになり、漠然と、いつかカフェテリアを開いてみたいという気持ちもあったので、カフェには欠かせないコーヒーについて調べてみることにしました。調べていく内に、生産国から消費国まで、ありとあらゆる地域がコーヒーに関わっており、そこではフェアトレードの問題も起こっていることがわかりました。「森林保護、人権、経済…」といった様々な問題が複雑に絡み合うコーヒーの世界は学問としてみても、とても面白く奥深い世界でした。どんどんコーヒーへの思いが募り、「この目でコーヒーの生産現場を見てみたい」と、世界18か国の1人旅に出ようと決意しました。

これまでコーヒーをよく飲んでいたわけでもなく、コーヒーに関する知識もほとんど持ち合わせていませんでした。そのため1年間、大学を休学し、旅に出るまでの半年間の間、カフェでのアルバイトで資金をためながら、コーヒーアカデミーに通いました。資料を集めて知識を頭に叩き込んだり、現地で使う最低限の言葉を勉強したりと下準備を欠かしませんでしたね。また世界の旅の手助けをしてくださったのがコーヒー経済研究の第一人者である辻村英之先生です。先生には、タンザニア北東部に位置するキリマンジャロのホームステイ先を紹介していただきました。

驚いたことに、ホームステイ先に着いたときに出された飲み物は「チャイ」。キリマンジャロでは、コーヒーではなく、「チャイ」を飲む文化があります。また、キリマンジャロをはじめとする生産地として名高い地域では、良質な豆は日本をはじめとする国々へ輸出し、品質の悪い豆のごく一部はネックレスやキャンドルに利用され、売られていたりもします。現地の人たちにとってコーヒーはあくまでも「商品」だということを、身を持って知る経験の一つとなりましたね。

また、タンザニア南部のムビンガでは、実際に豆の精製工場で働きました。脱穀で生じる粉塵にマスクなしでは耐えられない私をよそに、周りのベテランの作業員たちはマスクをつけずに平然と仕事をやってのけている。写真や本では決して伝わらない、「生」のコーヒーの生産工程がそこにはありました。



ほかにも、ジャマイカのブルーマウンテンや中米のコスタリカ、グアテマラなどといった地域を渡り歩き、1大陸に1ヶ月ほど滞在をしました。現地では、豆の収穫を手伝い、慣習によるコーヒーの飲み方の違いを楽しみました。

  

     ↑ミント味のコーヒー         ↑コーヒーにマシュマロを浮かせたもの

私が訪れた地域はコーヒーの生産地として有数の場所や農場で、生産地の全体から見ればごく一部にしかすぎません。実際には、地域規模ではなく、家族経営でコーヒーを栽培しているところがほとんどなんです。すべてというわけではありませんが、英語が使えないために中間業者から不当な搾取をされている事実もある。綺麗に見える大自然の裏には眼前として問題があります。

今回の18か国の旅は、コーヒーについて学ぶこと以外に、海外にいる友達に会うことも目的としていました。大好きなサッカーを見ようと、バルセロナを訪れたときには、偶然にも高校の時のサッカー部の後輩に出会ったり、ロンドンでは、日本でも大きく報じられた、学費値上げに対する学生運動に遭遇したりと、思いがけない体験ができたのも面白かったですね。旅をすることによって、自分には関係ない遠い国々のニュースだと思っていたことが、リアリティのあるものとして映るようになりました。



約半年間の旅を終えて、今年度から復学し、立命館大学フェアトレードサークル「beleaf」に所属しました。「beleaf」は、生産者と消費者とが対等な関係を維持するための「フェアトレード」について考え、仲間たちと学びあい、発信していく団体で、関西中の国際協力に関係するイベントに参加しています。

BKCの学園祭では、世界を旅した経験を活かしたいと思い、模擬店「ほっとコーヒー~キリマンじゃろ!~」を出店しました。当日は、実際に訪れたキリマンジャロの麓に位置する「ルカニ村」の豆や、フェアトレードの認証を受けた豆を使ったコーヒーを提供しました。家族連れや年配の方にも人気で、お店に足を運んでいただけたのは、とても嬉しかったですね。


今年の6月に、フェアトレードを推進している都市として称号を与えられる「フェアトレードタウン」に、アジアで初めて熊本市が認定されました。熊本市は、世界で1000番目のフェアトレードシティに認定された場所で、日本でも、これから徐々に認知されていく可能性が広がりました。その流れに乗り、衣笠キャンパスで行われる学園祭では、「発見!フェアトレード@beleafタウン」と題して、大学内に理想のフェアトレードタウンを再現することになっています。「フェアトレード」という言葉を知らない人、そしてフェアトレードに興味を持っている人たちに、フェアトレードはこんな身近なところにもあるということを実感してもらえる場になると嬉しいですね。フェアトレード商品には、消費者が本来持つべき感謝の気持ちを意識させてくれる力があるように思います。

私はまた旅をしたいと思っています。今度は、「世界半周の旅」を目指すとともに、ブラジルに滞在して、1年を通したコーヒーの生産現場を体験したいですね。世界半周のテーマとルートは、ほぼ決まっています。過去に強く後悔した経験があるので、とにかく今は自分と周囲の人を信じてがんばるだけですね。そして、ゆくゆくは、「場所」ではなく、コーヒーにまつわる「情報」を提供できるようなカフェが開けたらいいなと考えています。

「学生」である間に、大学という「恵まれた環境」にいる間に、自分が納得するまでやるべきです。客観的に考えても人生の中で、今の時期が一番可能性に恵まれている。しっかりとアンテナを張っていれば必ず良い出会いがあるはずだと思います。個人的には、大学では友達を100人作るより、自分の本当にやりたいことを1つでも見つけられたら、そちらのほうが充実してるのではないかと、今は感じますね。1年間、大学から離れましたが「自分で考えて行動する」ことの大切さを学べた期間になったと思います。

最後に・・18ヶ国35都市を体調も崩さず、怪我もせず、毎日元気に歩いて過ごす事ができたのは、自分を丈夫な体に産んでくれた両親のおかげ。両親に改めて感謝するいい機会になったと思います。

★フェアトレードサークル「beleaf」の紹介はこちら                 
     
               



  • 取材・文
  • 犬塚直希(経済学部5回生) 

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