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440 -  「デザイン」とは、「潜在的に矛盾している人たちの考えをひとつのかたちにまとめていく関係調整」Vol.1

「デザイン」とは、「潜在的に矛盾している人たちの考えをひとつのかたちにまとめていく関係調整」Vol.1

八重樫 文(やえがしかざる)准教授
経営学部

  • No.440
  • 2012年9月19日更新
私は、主にデザインの研究をしています。「何のデザインか」とよく聞かれるのですが、「何でもやっています」と答えています。私は、できるだけデザインというものを広げて考えることにしています。

これまでは、学問的にデザインを学ぼうと思うと美術系大学か工学系学部がメインでした。こういった場所では、色や形を操作するデザインという領域について伝統的に研究されてきました。一方で、世の中を見渡してみると「デザイン」という言葉は実に頻繁に使われるようになりました。しかも、単なるモノの色や形だけでなく、「未来をデザインする」というように、使われることもあります。大学でも「教育をデザインする」という言葉を使いますが、この場合、校舎とか教室のデザインだけでなく、組織運営や学びといった広い意味合いも含んでいます。

多くの人が色々な場面で「デザイン」という言葉を使っているにもかかわらず、その定義は何かという議論はさほど進んでいない印象があります。私は、デザインを研究する者として、広く色々な場面で使われているデザインをどのように定義づけるかを考えること、また、デザインを行う者として、今までデザインがあまり問われていなかった領域にデザインを持ち込んで「ほら、デザインってこんなに役に立つでしょ」ということを証明してまわりたいと考え、活動しています。いま私が行っている研究や取り組みを一つずつ取り出すと、一見何の繋がりもないものに感じられるかもしれませんが、自分としては「デザイン」を中心にそれらは確実に繋がっています。

最近、取り組んでいるもののひとつに「関西EVイノベーション・ネットワーク会議」があります。これは、電気自動車(以下EV)の社会的普及と、関連産業の発展の促進を目指したネットワークづくりを推進するコンソーシアム組織の会議です。月に1度、40~50名が集まり、会議を行っています。参加者の中には、行政の方をはじめ、実際にEVを作っている中小企業の方や、従来の自動車業界だけでなく、これからEVに参入しようと考えている幅広い業界の方々が集まっています。

話し合うテーマは、「自動車がEVになったら世の中はどうなっていくんだろう」
といった抽象的なテーマから、「こういうガイドラインを考えたので、内容に
ついて議論したい」という行政からの持ち込み議題など、EVに関することなら何でも話し合える場として運営しています。私は、こういった場の「デザイン」を担当しています。

また場をコーディネートすることも「デザイン」だといえます。このネットワークから実際に車を開発する人も出てくると思います。ただし、格好の良い車が生産できても、走るのは公道ですし、所有するのは人です。
人には生活がありますので、車を買うことは、どこに駐車するか、など様々な事柄に影響を与えます。例えば、赤い車を買ったとします。じゃあ、家の色は何色が良いかという色・形の問題も生まれますし、この車に乗る時は、自分はどのような服を着るかという選択にも影響が出てきます。

つまり、1つのデザインが全てに繋がってくるのです。もちろん、車やファッション、インテリアなど個別にデザイナーという人達はたくさんいます。彼らによって、さまざまな色や形のモノが世の中に生み出されていますが、個別で考えると最適でも、世の中全体で考えたら「イマイチ」になってしまうケースがあります。そこには全体を繋ぐデザインが欠けているわけです。なぜそういうデザインなのか、なぜそういう色や形なのか、それがあったら世の中はどのようになるのかなど、そのコンセプトを決めたり、話し合う場が必要になってくると思っています。デザインを通して、全体を繋げて考えてみようというのが今の活動であり、「何のデザインをしているのか」という問いかけに「何でもやっています」と私が答えている理由です。

関西EVイノベーション・ネットワークの会議では、ゲストスピーカーをお招きし、話題提供をいただいた後に、そのテーマに関して、集まった方々でディスカッションしています。偉い人が来て講演して、参加者がただ話を聞いて「うんうん」と言って解散するという形式では面白くありません。そこで、参加者同士が話し合える場を作ろうと考えました。

ただ、こういうフレームを決めても、実際に集まった方々に「議論を進めてください」とアナウンスするだけでは上手くいきません。そこで、オフィス空間などのデザインを手掛けている企業のショールームをお借りしました。この施設では、可動式の机やイスが揃っており、グループをつくりやすく工夫されています。また壁面の大半がホワイトボード仕様のため話し合いも行いやすく、プロジェクターの映写も可能になっています。こういった設備を活用して、話し合いをしやすい場づくりをデザインしています。とはいえ、すぐに固い雰囲気になってしまいますので、その雰囲気をどこまで崩せるか、ということも考えて取り組んでいます。
 
                 

例えば、多様性のあるグループにするために、よく行うのが「お菓子」を使ったグルーピングです。あらかじめグループの数と同じ種類のお菓子を人数分用意しておきます。このお菓子を元にグルーピングするのです。ほとんどの場合、前半の講演部分で場が固くなってきます。そこで、「気分転換におやつでも食べましょう」とお菓子を配ります。この時に、近くの人には同じお菓子を配らないようにするのがポイントです。お菓子と飲み物によって場が少し和んだところで、「実はディスカッションのグループはもう決まっています。同じお菓子を持ってる人達で集まってください」というと、皆さん楽しそうにお菓子の名前を言いながら、仲間を見つけていきます。このようにしてできたグループでは、ディスカッションがより和やかな雰囲気で始まります。

さらに、議論が始まった後は特に何もしない、というのがポイントです。(大人が自主的に参加しているわけですから)放っておいても、議論は勝手に進んでいきます。最後にまとめが出来るように、グループ間を繋ぐ司会進行をしっかりすれば大丈夫です。

第2部では大学のゼミでのお話や、先生が考えておられるデザインの本質にせまっていきます。次回もお楽しみに!!

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