インドネシアの現地協力者との連絡調整、会議などの組織運営、活動の計画作りなど、日々忙しく活動しているのが、CheRitsの代表を務める大橋理佐さんである。国際協力をしたいと考えていた大橋さんは、CheRitsが開催した写真展と説明会に参加したことがきっかけで、CheRitsの一員になることを決めた。1 回生の8 月にはインドネシアにて、活動の参考にするための現地調査を行なった。

　スリランカやインドネシアなどに大きな被害をもたらした2004 年のスマトラ沖地震と2006 年のジャワ島中部地震。立命館学園は、被害を受けた地域の教育再建を目標としたスリランカとインドネシアにおける「学校再建プロジェクト」を実施。プロジェクトが完了した2007 年3 月以降、これを引き継ぐかたちでCheRitsの学生たちは、小学校が再建されたインドネシアのカラキジョ地区を私費で年2 回訪問し、子どもたちが楽しんで防災を学ぶことができる「防災教育」を中心として、学生の立場で現地の教育や地域の活性化に貢献する活動を続けてきた。

  　

大橋さんは、自分たちが考える企画が住民にとって本当に必要なのか、活動しながら、常に葛藤を感じてきた。なぜなら、「防災」という考え方がない土地で、住民に「防災教育」の必要性を理解してもらうことは難しかったからだ。そこで、通訳などで協力してくれているインドネシアのガジャマダ大学の学生と、現地でだけではなく、インターネットを通じて、何度も現地の文化や考え方を聞いた。また、住民たちとのワークショップを通じて住民の考え方や意識を探り、避難訓練での避難方法の見直しや、住民の意見を集約したハザードマップの作成など、現地に合った「防災教育」を現地の人たちとともに創り上げてきた。大橋さんは、「たくさんの人の支えを感じながら活動していることで、周りのことを考えて、今の自分に何ができるのかという視点で動くことができるようになりました」と活動を通して、自分自身の成長を実感している。さらに、「住民自身が防災教育の重要性を理解して、自ら動いてもらえるようになることが活動の目標です」と、今後の目標を高く設定している。

  

　CheRitsでは、2012 年の春から、地域全体で子どもを見守り、育てていくという「地域教育」という考え方を地域に根付かせる活動に取り組み始めた。「地域教育」を通じて、青年団、婦人会など学校以外の団体につながりを作り、地域全体で子どもたちを育てる環境を作り出すことが狙いだ。2013 年春には博物館や染物工場などの見学を企画している。

　大橋さんは、活動を続ける中で、「本当に必要とされる国際協力とは何か?」という問いを、代表となった今でも自分に投げかけ続けている。「まだ結論は出ていませんが、在学中に自分なりの答えを見つけたいと思っています」と語ってくれた。これからのCheRitsを注目すれば、大橋さんが考える「本当に必要な国際協力」の答えが見られるかもしれない。