みなさん、嵐山・嵯峨野の竹林を訪ねたことはありますか？
源氏物語でも有名な野宮神社や、俳人松尾芭蕉の高弟が別荘として使っていた落柿舎などをめぐる竹林の散策路として人気の観光スポットです。私たちは、この竹林の北西に近接し美しい景色を見せる小倉山（標高286m）の環境を守る「小倉山百人一集の会」の活動に、サービスラーニング科目のプロジェクトとして参加しています。

私たちは、6月から約3ヶ月間、秋の観光シーズンを迎える準備として、竹林で穂垣の補修をおこないました。観光で訪れると竹林の幽玄な世界に魅了されますが、よく見ると穂が痛みボロボロになった穂垣が多くあります。そんな穂垣の傷んだ竹穂を取り除き、新しい穂を差し込んで補修します。穂先を揃えて綺麗にするには熟練の技とセンスが求められ、とても苦労しました。次第に綺麗になっていく穂垣をみると、とても嬉しくなりましたね。

　

小倉山では、不法投棄されたゴミの撤去や、病害虫で枯死したアカマツの伐採を行っています。近年のマツ枯れやナラ枯れは遠目にも目立ちます。また、山中には冷蔵庫や学習机、マネキン、テレビ、バイク、空き瓶や空き缶にいたるまで、大小さまざまなゴミが不法投棄され散乱していました。長年にわたり放置されたゴミは、バッテリーや塗料缶、化学薬品の瓶から有害な物質が漏れ出すこともあります。また、投棄された大型ゴミが山すその道路や保津川下りで有名な保津川へ落下する恐れもあるんです。このような現状を知って心が痛み、地域に住む人々や観光客への影響も心配になりました。山の急斜面で行う作業は困難で厳しく体力もひどく消耗します。けれども、作業をやり終えたときは、京都を代表する観光名所の“役にたっているんだ！”という達成感が込みあげてきました。

　　

参加されたボランティアとの交流はとても楽しく、出会うみなさんの温かさにふれ、ホッとした気持ちになりますね。休憩場所を提供してくださっている大河内山荘のみなさんは、一緒に作業を終えた私たちに「お疲れさま！」「よかったら、お抹茶をどうぞ！」と、もてなしてくれます。また、俳句に精しいイギリス人の詩人は、俳句を詠み聞かせてくれたり、“小倉百人一首”や“小倉あん”は「小倉山」にちなんでいることも教えてくれました。

　　

限られた期間の活動ですが、一歩踏みだしたことで嵯峨嵐山のまちをそれまでとは違った視点で見ることができるようになりました。しかし、私たちと山域を管理する行政との意見が食い違うこともあり、もどかしい気持ちが残ります。一つの観光地には多くの組織や個人が関わり、一緒に物事を進めることの難しさを知りましいた。また、観光地として成功しているように見える嵯峨嵐山にも、抱える問題がたくさんがあることに気づくこともできました。自分たちが“やりたい”ことを、その想いだけで突っ走ることができない現実に戸惑うこともありますが、まずは目の前の問題を解決するため、この活動を広めていきたいと思います。より美しくなった竹林や小倉山は、私たちの誇りです。

【おしらせ】
私たちがゴミの撤去作業のイベントを企画しました。
大型ゴミの撤去には、多くの人の力が必要です。ぜひご参加下さい！

★脱不法投棄in小倉山2012★

【日時】11月25日（日）9：00～17：00
【集合場所】JR嵯峨嵐山駅　北口
【内容】小倉山に不法投棄されているゴミの撤去作業
【持ち物】タオル2枚、お茶、お昼ご飯、パーカー、軍手
※当日は汚れてもよい服(黒以外)、滑りにくい靴でお願いします。
※作業を行うので、両手がつかえるような鞄でお越しください。（リュックサックなど）

参加ご希望の方は、事前にお問い合わせください。
【お問い合わせ先】衣笠サービスラーニングセンター：ritsvc@st.ritsumei.ac.jp