「CGを使って映画をつくりたい」この熱い思いで立命館大学に入学し、映像制作サークル「GREENS」に出会いました。サークルでは、夏の活動としてCM制作に取り組み、2013年は「第8回ギャツビー学生CM大賞」に応募することに。これは、男性用整髪料の商品「GATSBY」を題材としたCMのコンテストで、世界7つの国と地域の学生を対象に行われました。サークル内の選考で私の企画作品『魅惑の泉』が選ばれ、コンテストでは、ノミネート作品として最終選考に残りました。そして2013年11月、『魅惑の泉』はノミネート22作品の中から、キャラクター賞を獲得することができました。


私は今回の作品で企画・演出・監督を担当。企画段階では、「GATSBY」から思いつく言葉を紙に書き出し試行錯誤しました。最終的に至った作品の軸は、「おもしろく『Before・Afterの変化』」を表現するということ。そして、コンセプトとしてイソップ物語の「金の斧、銀の斧」になぞらえて、男性の髪型が変化するという企画にしました。この案を思いついたときは、「これでいける!!」という自信がみなぎってきました（笑）。

手さぐりの状態で行ったCMの撮影。ロケ地やキャスティングの他、何よりこだわったところは、キャストの表情です。人物の顔に迫り「Before・Afterの変化」を表すために念入りに撮影しました。この部分は、審査員の方々からも評価していただき、自分の意図が伝わってとても嬉しかったです。


1回生の私は、カメラや照明の専門的な技術や知識をまだ習得していませんでしたが、１日でも早く映像制作に挑戦したいという思いがありました。そして、実際に30秒という短いCM制作に携わると、CMの奥深さを思い知らされることに。何もないゼロの状態から作品をつくり上げる必要があったので、編集ソフトを購入して勉強したり、先輩方からアドバイスをいただいたり、入念に打ち合わせをするなど、「自分の企画が採用されたからには責任がある」と自分を奮い立たせて制作に励みました。


制作が進むにつれ「大賞」を狙うようになっていたので、今回の結果には満足していません。この悔しさをばねに、映像制作についてもっと勉強して来年に活かしたいと思います。また、このCM制作を通じて、現場の雰囲気づくり、作品がつくられる過程で重要なことや監督としての在り方について、身を持って学ぶことができました。この作品は周りのみんなが力を貸してくれたおかげで、完成した作品であり、決して一人の力ではできなかったと感じています。今後は、自らの枠を超えて、映画やCG制作に挑戦したいと思います。