「キャンパスアジア・プログラム」にかける“アジア型グローバル人材育成”への想い
桂島宣弘 教授(立命館大学文学部教授、前文学部長、キャンパスアジア構想責任者)
-キャンパスアジア・プログラムが始まった経緯は?
-桂島先生:最初の話からになりますと、だいぶん古い話になります。私と東西大学校の李元範先生(韓国:キャンパスアジア構想責任者)は、彼が東京大学に留学をしていた時からの知り合いで、かれこれ30年近くの仲になります。私と李元範先生は、日韓の学術交流や学生・院生の交流をできないかなという事を長年の間、話し合ってきました。
2002年、李元範先生が大学院生を連れて立命館大学を訪問されまして、文系ではほとんど実施されていなかった“遠隔システム(テレビ会議方式)”を使った合同の授業をやりましょうという事になり、翌2003年から授業を始めたのがキャンパスアジア・プログラムのきっかけです。さらに年2回それぞれ集中授業という形で直接訪問も実施したところ、学生同士が別れ際に空港でみんな抱き合って涙を流すような場面もあり、見ていて大変感動しました。それぐらい、お互いが心を通じ合わせて、なおかつ本当にいい友達になったようです。非常に教育効果の高いものでした。ちなみに、そのときの学生たちは、今も連絡を取り合っているようです。
李元範先生は大変アクティヴな先生で、それに満足されない方で、中国を含めた三国でこの同じ事をやりたいと話しておられました。2005年に、広東外語外貿大学から数名の大学院生が立命館に入ってきましたので、それを機に広東外語外貿大学へも交渉に行きましょうということになりました。いざ、広州に行ってみると陳多友先生(中国:キャンパスアジア構想責任者)他、広東外語外貿大学の方は大歓迎で、それで直ちに、李元範先生をお連れして三国で「日・韓・中連携講座」をやることが決まりました。2006年から始めて、もう7年目です。
遠隔授業や集中講義を通して相互を理解しあう「日・韓・中連携講座」は、3ヶ国でのべ約800名が参加。受講生は留学先の大学教員、大学職員、翻訳通訳業、旅行関係など、アジアの架け橋となる舞台で活躍しています。
この実績が認められ、立命館大学は日中韓の文部科学省や教育部が共同して行う「大学の世界展開力強化事業」(キャンパスアジア)の拠点校に、日本の私立大学で唯一選ばれました。これを機に本格的な大学間交流プロジェクトを2012年4月にスタートしました。
東西大学校、広東外語外貿大学、立命館大学の3大学の間では、やるならばこの三大学以外は考えられないというくらい、培ってきた絆は強かったですね。
-三ヶ国、三大学でやることの意味、効果は?
-桂島先生:二ヶ国だと、比較や違いの確認が、かえって固定されちゃう場合もあるんですよ。日本的、韓国的、中国的という事を発見して終わり、ということになって結果的に全然交流になっていないことが多いのです。3つ以上で行うことで、共同性や共通性という所の発見、その上での違いを理解することができると思うんです。それが大きなメリットだと思っています。東アジアの中での共同性を教育の中につくり出していくことは価値があることだと思います。
-アジアは国同士の関係が非常に不安定な時期で、触れ合う事について不安もあると思いますが、日中韓の状況は学生にどう影響していますか?
-桂島先生:みんなその事は意識していますし、心配もしました。今も心配は続いています。しかし、3カ国の学生たちは共同生活・共同学習を通じて、歴史認識や領土問題などに関して逃げないで、しっかり意見交換をしています。若い人、学生の素晴らしい所ですね。しかも一方的な自己主張に終わらないんです。例えば、昨年1年間、中国や韓国や日本でどういう教科書が使われているのか知ってもらおうという授業を行いました。その授業では、同じ歴史的な経過に関しても書き方がかなり違うという事を理解してもらい、それを前提にきちんとお互いの政府が言っている事はどうなのかという事について向き合える力をつけてもらうことが目的でした。どの政府が正しいかという話ではなくて、相手側がなぜ違った意見や主張になるのかを理解できる力っていうのはすごく大事な事で、その力を養えて、お互いの意見交換がはじめて可能になるのだと思います。学生は立派にそういう力を身につけてくれていると思います。
-今後はキャンパスアジア・プログラムをどう発展させていきたいですか?
-桂島先生:今は、日中韓各大学10名ずつの30名限定でパイロットプログラムとして実施していますが、参加学生はアジアを基点に世界で活躍できる人材に育ってきていると感じています。実際に、文部科学省による事業の中間評価において同事業の採択10校の内、唯一のS評価(最高評価)を獲得することができました。それだけ国や社会から注目してもらえるプログラムにもなってきました。今後は、キャンパスアジア・プログラムに毎年新入生が参加し、継続的な人材育成につなげられるように、プログラムの常設化を図りたいと考えています。
■キャンパスアジア国際フォーラム「アジアの未来を切り拓く人材育成を目指して」を開催
詳細・お申込はコチラから
キャンパスアジア・プログラムについてはご覧下さい。
https://www.ritsumei.ac.jp/campusasia/
-桂島先生:最初の話からになりますと、だいぶん古い話になります。私と東西大学校の李元範先生(韓国:キャンパスアジア構想責任者)は、彼が東京大学に留学をしていた時からの知り合いで、かれこれ30年近くの仲になります。私と李元範先生は、日韓の学術交流や学生・院生の交流をできないかなという事を長年の間、話し合ってきました。
2002年、李元範先生が大学院生を連れて立命館大学を訪問されまして、文系ではほとんど実施されていなかった“遠隔システム(テレビ会議方式)”を使った合同の授業をやりましょうという事になり、翌2003年から授業を始めたのがキャンパスアジア・プログラムのきっかけです。さらに年2回それぞれ集中授業という形で直接訪問も実施したところ、学生同士が別れ際に空港でみんな抱き合って涙を流すような場面もあり、見ていて大変感動しました。それぐらい、お互いが心を通じ合わせて、なおかつ本当にいい友達になったようです。非常に教育効果の高いものでした。ちなみに、そのときの学生たちは、今も連絡を取り合っているようです。
李元範先生は大変アクティヴな先生で、それに満足されない方で、中国を含めた三国でこの同じ事をやりたいと話しておられました。2005年に、広東外語外貿大学から数名の大学院生が立命館に入ってきましたので、それを機に広東外語外貿大学へも交渉に行きましょうということになりました。いざ、広州に行ってみると陳多友先生(中国:キャンパスアジア構想責任者)他、広東外語外貿大学の方は大歓迎で、それで直ちに、李元範先生をお連れして三国で「日・韓・中連携講座」をやることが決まりました。2006年から始めて、もう7年目です。
遠隔授業や集中講義を通して相互を理解しあう「日・韓・中連携講座」は、3ヶ国でのべ約800名が参加。受講生は留学先の大学教員、大学職員、翻訳通訳業、旅行関係など、アジアの架け橋となる舞台で活躍しています。
この実績が認められ、立命館大学は日中韓の文部科学省や教育部が共同して行う「大学の世界展開力強化事業」(キャンパスアジア)の拠点校に、日本の私立大学で唯一選ばれました。これを機に本格的な大学間交流プロジェクトを2012年4月にスタートしました。
東西大学校、広東外語外貿大学、立命館大学の3大学の間では、やるならばこの三大学以外は考えられないというくらい、培ってきた絆は強かったですね。
-三ヶ国、三大学でやることの意味、効果は?
-桂島先生:二ヶ国だと、比較や違いの確認が、かえって固定されちゃう場合もあるんですよ。日本的、韓国的、中国的という事を発見して終わり、ということになって結果的に全然交流になっていないことが多いのです。3つ以上で行うことで、共同性や共通性という所の発見、その上での違いを理解することができると思うんです。それが大きなメリットだと思っています。東アジアの中での共同性を教育の中につくり出していくことは価値があることだと思います。
-アジアは国同士の関係が非常に不安定な時期で、触れ合う事について不安もあると思いますが、日中韓の状況は学生にどう影響していますか?
-桂島先生:みんなその事は意識していますし、心配もしました。今も心配は続いています。しかし、3カ国の学生たちは共同生活・共同学習を通じて、歴史認識や領土問題などに関して逃げないで、しっかり意見交換をしています。若い人、学生の素晴らしい所ですね。しかも一方的な自己主張に終わらないんです。例えば、昨年1年間、中国や韓国や日本でどういう教科書が使われているのか知ってもらおうという授業を行いました。その授業では、同じ歴史的な経過に関しても書き方がかなり違うという事を理解してもらい、それを前提にきちんとお互いの政府が言っている事はどうなのかという事について向き合える力をつけてもらうことが目的でした。どの政府が正しいかという話ではなくて、相手側がなぜ違った意見や主張になるのかを理解できる力っていうのはすごく大事な事で、その力を養えて、お互いの意見交換がはじめて可能になるのだと思います。学生は立派にそういう力を身につけてくれていると思います。
-今後はキャンパスアジア・プログラムをどう発展させていきたいですか?
-桂島先生:今は、日中韓各大学10名ずつの30名限定でパイロットプログラムとして実施していますが、参加学生はアジアを基点に世界で活躍できる人材に育ってきていると感じています。実際に、文部科学省による事業の中間評価において同事業の採択10校の内、唯一のS評価(最高評価)を獲得することができました。それだけ国や社会から注目してもらえるプログラムにもなってきました。今後は、キャンパスアジア・プログラムに毎年新入生が参加し、継続的な人材育成につなげられるように、プログラムの常設化を図りたいと考えています。
■キャンパスアジア国際フォーラム「アジアの未来を切り拓く人材育成を目指して」を開催
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キャンパスアジア・プログラムについてはご覧下さい。
https://www.ritsumei.ac.jp/campusasia/