「分子の気持ち」で研究を
~有機化学の研究でポスター発表賞を受賞~
内藤 和香奈さん(生命科学研究科博士課程前期課程1回生)
内藤さんは、昨年8月に新学術領域 「高次複合光応答」若手の会における最優秀ポスター賞(イギリス王立化学会Photochemical & Photobiological Sciences賞)、10月に第5回CSJ化学フェスタ2015で優秀ポスター発表賞を受賞した。
内藤さんは、光合成色素や血液中の酸素運搬体の基本構造であるポルフィリンという環状化合物の内部を修飾することでキラリティを発現させる研究に取り組んでいる。
科学に興味を持った理由の一つは、ドラマや映画でよく見る白衣を着て試験管を持つという姿が純粋にかっこよく思えたから。もう一つは、予備校の先生が科学では内容をただ暗記することが重要ではなく、すべての現象が関連しあっているということを教えてくれたからだ。
大学入学後、2、3回生で、物質や試薬を混在させて攪拌し、きれいに精製して化合物が生成していることを確認するという合成実験を行った。物質の変化が追跡でき、教科書の内容を実際に自分の手で実現できるのが面白いと思い、有機化学を専攻し、大学院に進学した。
研究対象のキラリティとは、右手と左手のように、互いに鏡に映した形が重ならないような状態をいう。電子がリング状につながった分子をつくる途中で、適切な試薬によって「内部修飾」する。その結果、リングの右半分は上向き・左半分は下向きの分子と、その鏡像となる形の分子が得られたら成功だ。できあがったいろいろな形の分子を特殊な装置で分析し、必要なものだけを取り出す。
ポルフィリンの内部を修飾することでキラリティを発現する試みは前例がない。そのため内部修飾の方法は手探りだ。実験のどの段階で試薬を加えるのか、濃度・温度・溶媒など一つの目的分子について何十ものパターンを試すという。
実験でできあがる分子は、どれも今までこの世にはなかった物質だ。キラリティが期待どおりに発現し、できあがった物質のこれまでにない性質を明らかにしたことが複数の学会で評価された要因だと思っている。
研究を進めていく上で、とくに予想外の結果が出たときなど、「なぜそうなるのか」を自分の頭で考えるように心がけている。誰もトライしたことのない方法で新しい物質をつくったとき、物性を一つずつ明らかにするときにワクワクするのが研究の醍醐味だ。
先生からよく言われる言葉は「分子の気持ちになれ」。これからも「分子の気持ち」になって研究を進め、いつか世の中の役に立つ物質を自分の手でつくりだすことが目標だ。
内藤さんは、光合成色素や血液中の酸素運搬体の基本構造であるポルフィリンという環状化合物の内部を修飾することでキラリティを発現させる研究に取り組んでいる。
科学に興味を持った理由の一つは、ドラマや映画でよく見る白衣を着て試験管を持つという姿が純粋にかっこよく思えたから。もう一つは、予備校の先生が科学では内容をただ暗記することが重要ではなく、すべての現象が関連しあっているということを教えてくれたからだ。
大学入学後、2、3回生で、物質や試薬を混在させて攪拌し、きれいに精製して化合物が生成していることを確認するという合成実験を行った。物質の変化が追跡でき、教科書の内容を実際に自分の手で実現できるのが面白いと思い、有機化学を専攻し、大学院に進学した。
研究対象のキラリティとは、右手と左手のように、互いに鏡に映した形が重ならないような状態をいう。電子がリング状につながった分子をつくる途中で、適切な試薬によって「内部修飾」する。その結果、リングの右半分は上向き・左半分は下向きの分子と、その鏡像となる形の分子が得られたら成功だ。できあがったいろいろな形の分子を特殊な装置で分析し、必要なものだけを取り出す。
ポルフィリンの内部を修飾することでキラリティを発現する試みは前例がない。そのため内部修飾の方法は手探りだ。実験のどの段階で試薬を加えるのか、濃度・温度・溶媒など一つの目的分子について何十ものパターンを試すという。
実験でできあがる分子は、どれも今までこの世にはなかった物質だ。キラリティが期待どおりに発現し、できあがった物質のこれまでにない性質を明らかにしたことが複数の学会で評価された要因だと思っている。
研究を進めていく上で、とくに予想外の結果が出たときなど、「なぜそうなるのか」を自分の頭で考えるように心がけている。誰もトライしたことのない方法で新しい物質をつくったとき、物性を一つずつ明らかにするときにワクワクするのが研究の醍醐味だ。
先生からよく言われる言葉は「分子の気持ちになれ」。これからも「分子の気持ち」になって研究を進め、いつか世の中の役に立つ物質を自分の手でつくりだすことが目標だ。