2025年度EDGE+R レギュラーコース
前期開催報告
「EDGE+Rプログラム レギュラーコース」は、立命館大学の学生を対象とした、5月~12月までの長期プログラムで、受講生はイノベーションを起こすための手法を実践的に学ぶことができます。今年度も多くの学部生・大学院生から応募があり、選考の結果、選ばれた35名のメンバーで第12期がスタートしました。
春学期は、体系化された「3つのデザイン」を学ぶインプット期間として位置づけられており、講義・アイデア出し・発表までを1日で行うワークショップを、計3回実施しました。
1つ目のワークショップは5月に開催された「デザイン思考ワークショップ」です。講師には、一般社団法人UNIVAおよび本学客員教授である山田智樹氏をお迎えし、徹底した顧客観察に基づいて解決策を提案する、イノベーション創出のためのアプローチ手法を学びました。
2つ目のワークショップは6月開催の「トランジションデザインワークショップ」です。本学経営学部の後藤智教授を講師に迎え、自然や生態系を含む「世界」をデザインの対象として捉え、歴史的に形成されてきた世界の経緯を踏まえながら、持続可能な理想の世界を構築するための考え方を学びました。
7月には3つ目のワークショップ「システムデザインワークショップ」を実施しました。講師には、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の白坂教授および伊藤特任助教、早稲田大学ならびに本学客員教授の野中教授、武庫川女子大学の本田智巳講師をお迎えし、システムズエンジニアリングの基礎を⼊⾨編とし、設計対象を「システム」として捉え、デザインするための導⼊的な考え方を学びました。
春学期の最後には、大分県別府市を舞台に、立命館アジア太平洋大学(APU)の学生と協働し、「未来の社会文化モデル」に対する別府の現状をテーマに、デザイン思考に基づくフィールドワークを実施しました。今回は、そのフィールドワークの様子をご紹介します。
【2025年度 別府デザイン思考フィールドワーク】
例年、デザイン思考フィールドワークでは、デザイン思考のプロセスを学び、実践することを目的としています。春学期のワークショップはインプットの機会として位置づけられ、8月に実施するフィールドワークは、そのアウトプットの場として展開しています。
今回は、立命館大学とAPUの学生が協力し、「未来の社会文化モデル」に対する別府の町の現状を調査しました。そのモデルへのトランジションに向けて、どのような課題が存在するのかを発見することをテーマに、約1か月間のオンラインによるチーム活動を経て、フィールドワークを実施しました。
チーム活動では、まず春学期に学んだ考え方をベースに、立命館大学の学生が「未来の社会文化モデル」を考案し、別府の町を対象にその構想をAPUの学生と共有、APUの学生は別府の町の現状を立命館大学の学生に伝えました。その現状を踏まえ、両大学の学生は各チームで描いた「未来の社会文化モデル」を別府の町で実現するために、どのような課題があるのかを議論しました。さらにその課題をより明確にするために、別府の歴史、現行の社会制度、人々の価値観など、フィールドワークで何を調査すべきかについても検討しました。立命館大学とAPUの学生が混成で構成されたチーム活動では、当初は緊張した様子も見られましたが、活動が始まると非常に熱心に取り組み、両大学の学生が協力して複数回のオンラインミーティングを実施、フィールドワークの計画を練り上げました。
フィールドワーク本番では、各チームが事前に計画した場所を訪問し、実際に現地を歩いて観察を行い、調査対象者へのインタビューを通じて課題の発見に取り組みました。最終日にはアウトプットとして、別府の町で活躍されている各分野の専門家や、未来の担い手である高校生をゲストにお迎えし、成果発表を行いました。
受講生からは、「オンラインでの事前チーム活動、別府でのFWを通してチーム活動の難しさを体感しましたが、学部・年齢を超えた活動は私自身あまり体験してこなかったので、自分を成長させる良い機会になったと感じました。」「違和感の探し方を学び、当たり前をそのまま受け止めずに考えることの大切さを実感しました。」「今回の経験を通じて、今後の研究や日常の中でも『目的意識を持って物事を見る姿勢』と『他者の視点に立って考える習慣』を意識的に実践していきたいと思います。」「チームで協力し、困難を乗り越えて一つの資料を作り上げ、それを現地の方に実際にプレゼンすることは、何にも変えがたい経験です。」といった声が聞かれ、大変学びの多いフィールドワークになりました。
レギュラーコース前半のプログラムは、このデザイン思考フィールドワークをもって終了となります。秋学期からは後半のプログラムが始まり、これまでに学んだ内容を基に、チームに分かれて「大学の研究技術シーズ」を活用したビジネスプランの立案に取り組む予定です。
秋学期の活動においても、春学期同様、学生たちが意欲的に取り組む姿勢を見せてくれること期待しています。
【レギュラーコース前半期プログラム】
1)デザイン思考ワークショップ
日 時:5月11日(日)@朱雀キャンパス
講 師:一般社団法人UNIVA 山田智樹氏
2)トランジションデザインワークショップ
日 時:6月22日(日)@OIC
講 師:立命館大学経営学部教授 後藤智先生
3)デザイン思考ワークショップ(APU学生対象)
日 時:6月28日(土)@APU
講 師:一般社団法人UNIVA 山田智樹氏
4)システムデザインワークショップ
日 時:7月6日(日)@OIC
講 師:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 白坂成功先生
早稲田大学創造理工学部経営システム工学科教授 野中朋美先生
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科
特任助教 伊藤翼先生
武庫川女子大学食物栄養科学部食創造科学科講師 本田智巳先生
5)デザイン思考フィールドワーク事前講義(キックオフ)
日 時:7月7日(月)17:00-19:00 @オンライン
講 師:一般社団法人UNIVA 山田智樹氏
立命館大学経営学部教授 後藤智先生
6)別府フィールドワーク
日 程:8月3日(日)~8月5日(火)
講 師:一般社団法人UNIVA 山田智樹氏
立命館大学経営学部教授 後藤智先生
以上
2025/8/27