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2015/06/18 「スポーツ健康科学セミナーⅡ」において大阪市教育委員会事務局指導部 高等学校教育担当主任指導主事 川口伊佐夫氏に保健体育教諭の仕事と役割についてご講演頂きました。


高等学校保健体育教諭である川口氏は、現在、大阪市教育委員会において行政職に携わる中で、「1. 一流と二流」「2. 感性を養う」「3. 叱咤激励」「4. 体育教師として」という4つの観点から保健体育教諭の仕事と役割について、話を進められました。特に印象深く、受講生の心を捉えていたのが、「さかなは、サ・カ・ナ…」の話でした。魚は生物として、海や川で生息している時にも、またスーパーや料亭で商品として陳列されても「魚」であることには変わりないが、人間は死んでからでは、「人間」とは呼ばず、魚と違い、「生きているということ」、それが人間を意味づけると述べられた。つまり、生きているということは、その時にしかできないこと、それに専心しているかが問われるという意味です。

また「一流と二流」の話では、「もうアカン」が二流であり、二流は自己限定的で、自分で限界を決めてしまうのに対して、一流は、「まだアカン」という発想で、飽くなき探究心と自己向上心が旺盛であると述べられました。それは、学生時代から保健体育教諭を志していた川口氏の経験談からも述べられ、「人に教える」ということを経験して学ぶために、スイミングやスキーのインストラクターをアルバイトとして選び、アルバイトですら「人に教える」ということに徹底的にこだわったそうです。そして、学生と社会人の決定的な違いは、何かの行為をする場所や環境を与えられているか否かであり、社会人は、表面上で与えられている環境に甘んじるのではなく、自分が自分らしく輝くためのがんばる場所を自分自身で1から創り上げ、自分一人で闘うことが求められると述べられました。

講義の中で、哲学者トルストイの「人生最大の悪とは、“鈍感”である」という言葉を紹介され、感性を養い、磨くことの重要性、中でも相手や様々な出来事に関心を持ち、自分で何かを感じようとしなければ感性は磨かれないため、メモを取り、変化に気づき、様々な角度から物事を捉えることができるような人間力、つまり「らしさ」に磨きをかけて、社会という荒波で勝負してもらいたいと述べられました。