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ゲストスピーカー名古屋大学 片山敬章先生: 講義「呼吸機能のトレーニング」について

スポーツ生理学の授業で、名古屋大学 総合保健体育科学センター/名古屋大学大学院 医学系研究科の片山敬章先生に「呼吸機能のトレーニング」について講義をして頂いた。


 最近、「呼吸筋トレーニング」をよく目にするが、その効果は何か?なぜ効果があるのか?といった内容を非常に分かり易く説明して頂いた。

有酸素性運動能力の制限要員には、呼吸のガス交換、循環の酸素運搬、骨格筋の酸素利用がありますが、持久系アスリートでは呼吸機能が重要となり、非鍛錬者では、骨格筋の酸素利用が重要であり、持久系アスリートとは異なるといった特徴があります。

 また、呼吸筋の疲労は、骨格筋と同様に疲労しますが、自覚症状はなく、すぐに回復するといった特徴があります。しかし、呼吸筋が疲労している場合には運動パフォーマンスは低下し、呼吸筋の疲労は呼吸のしづらさが関与しているといった報告もあります。また、呼吸筋を疲労させると、代謝受容器反射により血圧が増大させることから、骨格筋の血流配分が低下してしまい、パフォーマンスを制限している可能性が考えられています。


呼吸筋トレーニングでは、呼吸に抵抗性がある筋力系トレーニングを実施することで鍛える方法や、呼吸数を速く実施することで呼吸筋の持久系トレーニングを鍛える方法があります。呼吸筋トレーニングは主観的な呼吸のやりづらさが軽減されており、さらに、運動時における血圧上昇の増大を減弱する効果もあることが報告されています。また、長距離ランナーに適している呼吸筋トレーニングは、持久系運動では1回換気量が大きく、呼吸が多い、そのため、呼吸筋の収縮速度は速くなることから、呼吸筋トレーニングは筋持久系能力を高くすることが重要であり、呼吸筋の筋持久力を鍛えることがより呼吸のしづらさを軽減してくれる可能性があるということも分かってきています。


このように、呼吸筋トレーニングは運動パフォーマンスの向上に貢献する可能性はあるがまだまだ研究が必要である分野であることも最後に説明して頂き、今、注目を集めている「呼吸筋トレーニング」の効果やその機序について説明して頂き、学生も非常に興味深く、質問の絶えない授業となりました。

(ニュース)20220624-2

 

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