プロ野球チームのアドバイザーとして特任助教・堀内元先生が活躍中! 選手のバッティングをスポーツ科学の観点からサポート
私は、野球のバッティングにおけるバットスイングスピードの大きさに関連する動作や力の発揮、体力などの解明を目的とした研究に取り組んでいます。主な研究手法として、野球のバッティング動作をモーションキャプチャーで記録します。同時に、左右の足で地面を蹴る力の大きさと向きをフォースプレートと呼ばれる機器で測定し、スポーツバイオメカニクスの観点から分析します。野球のバッティングに関する科学的知見から、バットのスイングスピードの増大を目的としたコーチングやトレーニングの現場に対して有用な知見や情報の提供を目指しています。
プロ野球チームの外部アドバイザーとしての活動は、春季キャンプ・秋季練習への帯同やバッティングに関する講義の実施、バッティングに対する助言・質問への対応、体力測定の方法の提案などがあります。特にチームからの重点的な要望として取り組んでいるのが、野球のバッティング動作の科学的分析です。オフシーズンになると選手がびわこ・くさつキャンパスへ来訪し、スポーツ健康科学部の施設(スポーツパフォーマンス測定室)で、上記の方法を用いて、バッティング動作を測定します。
バットおよび全身に約50点のマーカーを貼付することでバッティング動作を精緻に記録できます。そして、収集したデータを分析することで、バッティング動作中に身体を流れるエネルギーを定量化し、バットへ伝達するためのエネルギー生成の大きさやエネルギーの伝達効率などを数値化します。また、両足で地面を蹴る力の大きさやタイミング、バットのスイング軌道、各関節で発揮される力の大きさなども併せて数値化しています。そして、数値化されたこれらのデータを私がこれまで収集した約100名の野球選手のバッティング動作を分析したデータと比較することで、測定した選手の長所や弱点・改善点などを所見としてまとめてフィードバックします。
フィードバックの際には、ハイスピードカメラで撮影したバッティング動作の映像と合わせて数値化されたデータを解説することで、選手や監督・コーチ、スタッフの皆さんへより平易に分析内容を理解してもらうような工夫もしています。さらに、選手が使用するバットの重量やバランスの測定、慣性モーメントと呼ばれる振り抜きの良さなども数値化することで、選手のタイプあるいは選手が目指す打者像に合わせたバットのフィッティングのアドバイスも行っています。
以上のようなスポーツ科学の知見を活かした野球のバッティングに関するテーラーメイド型のトータルサポートを実施することで、選手個人およびチーム全体の打撃成績を向上させることが現在の私の目標です。
堀内先生のプロフィール詳細
https://researchmap.jp/gen_horiuchi/