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【PBL活動報告】いい(e)ヘルススポーツを考えよう!

PBLのプロジェクト活動を学生が報告します。

PBLとはProject/Problem Based Learningの略語であり、スポーツ健康科学部で学んだ知識とスキルを実践の現場で活用する授業です。各自の関心のあるテーマを突き詰め、社会的・学術的に意義のあるプロジェクトを生み出すことを目標としています。)


■プロジェクト概要

 このプロジェクトは、大学生のwell-being(メンタルヘルス)を高めることを目的として、eスポーツが若者のメンタルヘルスにどのような影響を与えるかを調査した研究です。

 

■背景

 大学生は高校から環境が大きく変わり、一人暮らしや学業のプレッシャーによるストレスを感じやすい時期です。さらに、コロナ禍で高校時代を過ごした多くの学生が不安や孤独を抱えていることも影響しています。
そんな中で、最近注目されているのがeスポーツです。
大学生の1週間の平均ゲーム時間は約7時間と、一般の大人よりもやや長いことがわかっています。一方で、eスポーツが心や体にどんな影響を与えるのかは、まだ十分に解明されていません。そこで、eスポーツがストレスを和らげたり、人間関係のつながりを深めたりする手助けになるかどうかを探るために、この研究を行いました。

 

■研究の目的

 この研究では、eスポーツが大学生の心理や人間関係にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目指しました。具体的には、以下のような意義を探求しています:

  • eスポーツがメンタルヘルスをサポートする新しい手段になる可能性
  • ゲームに対する「不健康」といった偏見をなくすこと
  • 新たなコミュニティづくりのきっかけになるかどうか

 

■実験の内容

12月に立命館大学の学生8名を対象に、eスポーツを使った大会形式の実験を行いました。

  • ゲームの種類:クラッシュロワイヤル(スマホゲーム)、Nintendo Switch Sports(対戦型ゲーム)
  • 測定内容
    • 心拍数(リラックス度を表すデータを取得)
    • 唾液アミラーゼ(ストレスの数値化)
    • POMS、アンケート(気分や心理状態を記録)

各試合の前後でこれらのデータを計測し、試合が心や体にどのような影響を与えたかを分析しました。

 

■結果

  • リラックス効果:心拍データより試合後に副交感神経優位を示しました。特に試合に勝った人では、心が落ち着く効果が高い傾向にありました。
  • ストレスレベル:ゲームの種類によってストレスのかかり方が異なり、クラッシュロワイヤルはNintendo Switch Sportsよりもやや負担が大きい傾向がありました。
  • 心理状態の改善:試合後には「疲労感」「緊張感」などのネガティブな感情が減り、「活気」や「友好」の数値が上昇しました。また、参加者全員が「心理状態が良くなった」と回答しました。

 

■考察

 この研究では、eスポーツが大学生の心をリラックスさせたり、人間関係を深めたりする可能性が示されました。また、ゲームの種類を工夫することで、より良いストレス管理やリフレッシュが期待できます。

eスポーツは単なる娯楽にとどまらず、新しいコミュニティづくりやメンタルサポートの手段として活用できるかもしれません。新しい友達をつくったり、親睦を深めたりするために、eスポーツを取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

 この活動を通じて、グループ全体としてチームワークや役割分担の重要性を学ぶとともに、eスポーツと大学生のメンタルヘルスという新たな知見を獲得することができました。しかし、研究の限界および課題は山積しています。


 今回の実験では2種類のeスポーツから大学生のメンタルヘルスに与える影響を検討しました。しかし、この2種類のeスポーツ以外にも多くのジャンルのeスポーツが存在しています。それらについては今後、より大規模な実験からeスポーツがもたらす社会的・心理的効果をさらに深く探究していきたいと考えています。

今回の活動を通して得られた学びを実践に活かし、eスポーツがもっと身近になり、新たなメンタルケアとしてまた、コミュニティ形成の手助けとして、社会に貢献できる未来を創造していきたいです。

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