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【PBL活動報告】深く眠るためには?

PBLのプロジェクト活動を学生が報告します。

PBLとはProject/Problem Based Learningの略語であり、スポーツ健康科学部で学んだ知識とスキルを実践の現場で活用する授業です。各自の関心のあるテーマを突き詰め、社会的・学術的に意義のあるプロジェクトを生み出すことを目標としています。)


  PBLの活動について報告します。

 

私達の班のプロジェクトテーマは「深く眠るためには?」です。


 良い睡眠には競技力の向上、心身の発達など様々なメリットがありますが、今回私たちは競技力の向上という観点から睡眠に対する調査を行いました。近年では睡眠というテーマは様々なところで取り上げられており良い睡眠を行うための商品などもいろいろ増えてきています。しかし、金銭的に余裕がない学生にとって日常的にそれらを取り入れるというのは難しいのではないかと考えました。

そこで、誰もが行う日常的な生活習慣から睡眠に対するアプローチが行えないかと考えた結果入浴介入で調査することを決めました。安田ら(2015)によると、シャワー浴からバスタブ欲にすると睡眠の質および疲労回復の効果があるとわかりました。このように睡眠は疲労回復として大きな役割を果たします。今回のテーマである深い睡眠とは睡眠時間が長い睡眠をさすのではなく、学生の限られた時間の中でいかに効率よく質の良い睡眠をとれるかというものです。


 今回の実験には体育会女子陸上競技部の長距離パート17名の方がたに協力していただき、正確にすべてのデータをとれた12名の方の結果をもとにデータ分析を行いました。今回女子長距離さんに協力をお願いしたのは、彼女たちが寮生活であるため入浴以外の食事や運動習慣などの生活習慣の条件が揃えやすかったためです。

調査は事前調査と本調査の二回に分けて実施しました。
事前調査では、主観的疲労度および、睡眠の質について13項目からなるVASアンケートを用いて入浴方法を介入する前の普段の睡眠問題の現状把握を行いました。そこからじゅうぶんな良い質の睡眠をとれていないということが分かりました。事前調査の時点では、追い込み練習とその前日の練習を1セットに、練習強度を強弱で統一するという方向で進めていましたが、本研究では、練習内容の変更により、練習強度を14という設定にしました。
本調査は12月の2回の週末にかけて行いました。調査方法は事前調査の時に行ったVASアンケートに加え40℃15分浸かるという入浴介入で行いました。また、睡眠の計測には睡眠状態を計測する腕時計型の加速度計(アクチグラフ)と、皮膚温を計測するボタン型センサ(ハルシェ)を使用して,客観的に睡眠の質を調査しました。

 結果として、睡眠潜時、睡眠効率、中途覚醒時間はそれぞれ練習強度との相関関係は見られなかったがどれも数値的には良いものでした。皮膚温については,就寝前から就寝後30分にかけて皮膚温が大きく上昇しました。この就寝後、就寝前に比べて皮膚温が上昇するというのは深部体温を下げようとして皮膚の血管を拡張させ、熱を放散しようとするヒトの生理反応です。つまり、就寝前と就寝後での皮膚温の差が大きいほど良い質の睡眠であると言えます。

実際結果からもこの皮膚温の差が大きいほど睡眠効率が良いということが分かりました。

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被験者A

睡眠効率

皮膚温の差

 

被験者B

睡眠効率

皮膚温の差

1214

75

0.05

1214

82.62

0.67

1221

80.85

0.39

1221

74.72

-0.52


 今回の活動を通して就寝後の体温の上昇が深い睡眠に繋がるということが分かりました。

今後はこの就寝後の皮膚温をいかにして上げるかについて調べるとより効率の良い睡眠をとる方法を明らかにできるのではないかと感じました。

 

Bクラス1班


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