イベント

キャリア形成科目:「スポーツ健康科学セミナー」:特別講義 キャリアデザインの重要性


 2025526日のスポーツ健康科学セミナーでは、先週に引き続き、株式会社プロレド・パートナーズ共同創業者兼パートナーの山本卓司氏をお招きし、特別講義していただきました。

メインテーマに入る前、山本氏は、「質問することを前提に聞くように…」と受講生にメッセージされました。

それは、自身の経験に基づいており、話し手という立場の人は、イベントや講演会で最初に質問してくれる人のことをよく覚えているそうです。イベントや講演会後に、声を掛けられたり、演者に話しかけやすかったりして、人脈を広げることに繋がったことがあるそうです。

20250610_guest yamamoto-1

講義では、山本氏がこれまで勤務経験がある企業を事例に取り上げ、コンサルティング業界に関する話をされました。


大学卒業後、最初に勤められたリクルートについては、「New-Ring」という社内従業員に対し、新規事業の提案制度があることを話されました。働くことが過度な業務化やマンネリ化を招くため、従業員に対して、このような機会が拓かれていることこそが、リクルートの企業風土であり、これがイノベーションを起こし続けられる理由であると述べられました。また、リクルートは、様々な媒体を活用しながら、広告を見せるためにコンテンツを作るという従来のメディアの常識を覆し、広告そのものをコンテンツとしてまとめ、雑誌を「0円」で発刊するという新しいビジネスモデルを提案し、メディアの新しい形態を世に輩出したことを説明されました。

山本氏は、入社後、営業から人事職へと転身を図りたかったものの、その願いが叶わなかった経験を話され、どの企業に就職するのかということ以上に、どう働き、どう企業の成果に貢献するのかという「職種軸」で就職活動をすることの大切さを学生に伝えようとされました。


山本氏が次に勤務されたのは、アクセンチュアで、世界で最も急成長を遂げる経営コンサルティング会社として名を馳せており、米フォーチュン誌が選ぶ世界トップ企業100社のうち、94社がアクセンチュアのクライアントになります。転職する際の面接では、志望動機すら聞かれず、コンサルティング業界は、「結果」で評価されることを転職時に改めて実感したとおっしゃっていました。転職ということもあり、研修機会などなく、入社後すぐにプロジェクトを任されたとのことでした。具体的には、パチンコ店舗の中期事業戦略やコンビニエンスストアの新規ポイントカードの作成に従事されました。前職とは顧客が異なっていたため、提案するためのノウハウをあまり持ち備えていなかったことから、相当苦労した体験を赤裸々に学生に伝えてらっしゃいました。そのような状況で、クライアントの声やニーズに耳を傾け、それをカタチにすること、そのために必要な考え抜く力や責任感を培うことができたとおっしゃっていました。


そして、友人とともに2人で出資し、2009年に泉岳寺のレンタルオフィスで起業したプロレド・パートナーズの話をされました。起業した当時は、景気がよくなく、東日本大震災時にも帰宅せず、ひたすらこのオフィスでビジネスを模索したとのことでした。大型案件を受注するようになり、社員を採用しはじめ、事業を拡張し始めた際には、雑誌でも記事として取り上げられるようになったとのことでした。そして、2018年にマザーズ、2020年に東証一部に上場し、経済団体連合会の仲間入りをした当時は、まさに「お祭り騒ぎ」と状態だったそうです。起業して、大企業の社長や大臣などと親交を深め、企業トップとの人脈を築くことができ、同年代では、圧倒的に仕事ができるという達成感が得られたとのことでした。

しかしながら、コロナが蔓延し、インフレの煽りを受け、新規事業として注力したSaaSSoftware as a Service:インターネットを経由し、アプリケーションを提供する仕組み)が立ちゆかなくなり、売上の下方修正、また事業の撤退を余儀なくされたとのことでした。その際に、この新規事業を立ち上げるために採用し、育てた社員や仲間が退職したり、売却した事業とともに転籍したりするのを見送ることが非常に辛かったと語られ、「ハードシングス(抜け出すことができないような困難・苦難)」を経験したことを述べられました。

現在は、収益軸を変え、「V字回復」を遂げている最中ということですが、まさに「天国と地獄」の両面を起業して、味わったとおっしゃっていました。


 最後に、学生時代にやっておくべきこととして、「時間を有効に使う」「Uncomfortable Zoneに身を置く」「スタートダッシュを模索する」という3つのメッセージを伝えられ、楽ではないことを選んでほしいし、必死になって積み上げたものは、決して裏切らないので、「大学が最後の楽園」だと思わずに、仕事が楽しい人生を過ごしてほしいと述べられました。
山本氏の言葉には、強い想いが込められており、学生にとっては、「仕事」というものを捉え直すきっかけになったと思います。 
20250610_guest yamamoto-2
戻る