キャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナー」:特別講義 総合建設会社の仕事とまちづくりの仕事
2025年6月9日のスポーツ健康科学セミナーでは、株式会社大林組プロジェクト推進第一部に所属する村上尚氏をお招きし、「総合建設会社の仕事とまちづくりの仕事」というタイトルで特別講義を行っていただきました。村上氏は、本学理工学部出身の校友でもあります。
講義では、まず、建設業界の全体像と大林組についての説明がありました。総合建設業には、主に「建築事業」「土木事業」「開発事業」「新領域事業」の4分野があり、村上氏は、主に建築と開発を担当されています。大林組は、万博関連施設や北海道のエスコンフィールド、JR大阪駅の再開発など、数多くの大規模プロジェクトに携わっており、近年進行中のJR大阪駅周辺の「グラングリーン大阪」開発にも関与しています。
次に、都市開発プロジェクトの進行プロセスについて、説明されました。
総合建設業や不動産開発業が携わるまちづくりには、多様な業種がかかわりますが、基本的に、都市開発事業は、「構想(どのような建物を造るのか)→設計(行動をどのようにカタチにするのか)→施工(構想したことを、実際につくり、カタチにする)→運営(どのように効率的な運営や維持管理するのか)」という4つのフェイズに分かれているそうです。
中でも総合建設会社、いわゆるゼネコン(ゼネラル・コンストラクター)は、主に施工段階を担います。
大林組がかかわる「うめきた」のまちづくりでは、“Well-being / Innovation / Challenge”というビジョンを共有しながら、「みどりとイノベーションの融合拠点」という全社的なコンセプトのもとで、プロジェクトが推進されています。
計画段階では、東京よりも大阪は「緑」が少ないといわれる都市であることから、理想とする風景を視覚化する「ランドスケープデザイン」を通じて、立体感がある空間の演出、空間体験の最大化や街区全体の一体感を生み出そうとしています。
さらに、グラングリーン大阪では「みどりライフ(うめきた版パブリックライフ)」というコンセプトを掲げ、緑を活かした景観や視覚的に飽きのこない工夫を施すことで、イベントがない日でも人々が自然と集まり、滞在する空間づくりが行われています。授業では、しとしとと雨が降る日にも、若者たちが傘を差して、グリーングラン大阪にたたずみ、夜の公園を眺めている姿などが画像で映し出されました。
最後に、まちづくりの仕事に必要な素養について触れられました。
現代社会のサービスや社会的価値は、日々変化し続けており、まちづくりの仕事は、「少し先の未来について考え、それを描く仕事である」と村上氏は述べられました。そのため、「鋭い知性と豊かな感性を持って、人生を歩んでほしい」と受講生にメッセージを送り、講義を締めくくられました。
本講義は、まちづくりという抽象的でつかみにくいテーマについて、実例を通じて理解を深められる貴重な機会となりました。