コラム

Column

「学生とNPOとのコーディネーション」

大谷大学社会学部コミュニティデザイン学科 准教授 赤澤 清孝

 学生がボランティア活動に参加する場合、課題を抱える個人と直接つながって活動を行うのではなく、NPOやNGOなどの組織や施設のボランティア受け入れ担当者を窓口として活動につながるケースが多いだろう。

 今回のコラムでは、「なぜNPOは学生のボランティアを求めるのか」、そして「学生がNPOで活動するにあたってのチェックポイント」の2つのテーマでお話したい。

□なぜNPOは学生のボランティアを求めるのか
 NPOやNGOは、それぞれの組織が対象としている課題、例えば「地域で暮らす外国人の生活支援」や「里山の保全」といった社会的課題の改善や解決に向けて取り組んでいる。目的の実現のためには、多くの人が活動に参加してくれることを望んでいる。特に課題への理解が深く、専門的な知識や技術があり、継続的に協力してくれる人の参加があれば、より大きな成果を生むことができるはずである。
 しかし、学生のボランティアは、地域や社会の課題についての理解の程度もさほど高いわけでもなく、専門的な知識や技術が備わっているわけでもない。さらに卒業してしまうので継続性もない。それにも関わらず、なぜ多くの施設や団体では学生のボランティアを募集するのだろうか。主な理由としては、以下の5つが考えられる。

<NPOやNGOが学生ボランティアを受け入れる主な理由>
①人手・労力
 高齢者や障がい者の外出の介助、大きなイベントの際には、設営や運営など多くの人手と労力が必要となる。そのような機会に学生の力は大きい。また、春休み、夏休みには長期の休みもあり、子どものキャンプなど宿泊を伴うような活動でも活躍が期待できる。

②年齢が若い   
 「若さ」も大きな要素。例えば子どもたちのお兄さん・お姉さん役として、あるいは障害を持つ若者の友人としてなど、家族や職員とは異なる関わりができる存在である。また、組織や活動の活性化のために、若者らしいユニークな視点を活動に採り入れたいという期待感もある。

③専門的知識やスキルを活かした貢献        
 学生であっても、例えば語学力や調査のスキルなど、大学で身につけた専門性を活かして貢献できる場合もある。また、スマートフォンなどの電子機器類の扱いや、SNSを活動した情報発信など、学生生活の中で身につけた能力を団体運営で活かしてほしいという声もある。また、学生を介して、ゼミの教員などの大学の研究者(専門家)とのつながりができるといったメリットも感じている。

④社会課題の理解促進     
 NPOは、より多くの人たちに、自らが取り組む社会的な課題に対しての理解を広げたいと考えている。その中には当然、将来の社会に担い手となる学生も含まれる。また、自分たちの組織のミッションへの共感や支持、活動への理解を高めるためには、ボランティアとして組織に関わってもらうのが効果的である。卒業してからもボランティアや寄付者として応援を続けてくれる可能性もある。

⑤成長の機会提供
 学生たちに学びや成長の機会を提供するために積極的にボランティアの受け入れを行っている団体もある。また自団体の人材を確保するための入口として、ボランティアを位置付けているケースもある。

以上、5つの理由を挙げたが①③は「NPO側が学生の応援を得たい」という理由であるのに対して、④、⑤は「若者の将来、あるいはよりよい社会づくりに向けた投資」という側面が大きいと言える。

□学生がNPOで活動するにあたってのチェックポイント
続いては、学生がNPOで活動するにあたり、事前に確認しておきたいチェックポイントを挙げておく。大学ボランティアセンターにおいては、学生をNPOにつなぐために確認しておきたいポイントとも言える。

 「ボランティア活動環境をチェックする10のポイント」
①団体や活動の目的は何か?
②活動の内容は?(いつ・どこで、誰に、何を行うのか)
③活動に参加するための制約や条件は何か?
④活動の参加にあたって必要な費用は?(交通費の負担など)
⑤学生ボランティアに期待されている役割は?
⑥学生が活動を通じて得られるもの(メリット)は何か?
⑦面接やオリエンテーション(事前説明)は行われるのか?
⑧活動に必要な研修は実施されているか?
⑨活動のふり返りの機会は設けられているか?
⑩担当者がいるのか? 困った時に相談できる体制があるか?  


□おわりに
 NPOや施設にとって、活動する学生たちを受け入れることは、たやすいことでない。大学においてはボランティアではなく、正課授業の一環で学生を地域に送り出すための調整を行うようなケースもあるかもしれない。学生本人が「やる気」でないこともありえる。NPOにとっては、活動に貢献してもらうメリットより、事前教育や現場での指示やフォロー、活動によっては証明書の発行や活動内容の評価など、時間やコストの負担が大きい場合もしばしばである。「学生や社会のために」と頑張ってくださっている受け入れ担当者の個人的努力や団体のトップの許容力で成り立っている部分もある。学生を送り出す側の大学ボランティアセンターはこうした実情も踏まえつつ、学生とNPOの両者がよりよい関係を構築できるようなコーディネートに努めてもらいたい。

VSL研究会|山口 洋典
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