OIC H棟・
情報可視化

04SP LAB

−R-GIRO傾聴カウンセリングVRシステム−

高齢者と対話して
認知症を予防するVRカウンセラーの
「人間らしさ」を高める研究とは?

代表研究者:林 勇吾

  • このゲーム、やったことあります。同じ色の順になるよう反対側に移動させていくんですよね。

  • そうです。どう考えますか?

  • うーん、まあとりあえず動かしてみます。

  • 人間らしい考え方のくせってあるんですよね。よく考えずに答えを出そうとするのもその1つです。

  • えっ、ちょっと恥ずかしいな。

  • 人の思考とコミュニケーションに関する研究は私が専門とする心理学の一分野なんですよ。私は、高齢者がVR空間でカウンセラー役のキャラクターと対話することによって認知症の予防や回復を目指すシステムの開発に参加しています。カウンセラー役のキャラクターは、実際のカウンセラーの会話モデルをAIで再現したものですが、このキャラクターに人間らしい対話をしてもらうには、人の思考に関する研究が必要です。このゲームも、そういった人間の思考パターンを観察するために使われているんです。

  • そういえば、遠くにいるおばあちゃんと長く話してないです。どうしてるかなあ。

  • 1人暮らしの高齢者も多いし、介護施設も人手不足ですよね。だから今、デジタル技術を用いた、人に頼らない高齢者支援のあり方が研究されています。相手がVRのキャラクターなら、24時間いつでも話したい時に話すことができますね。このラボでは、VRでさっきと同じゲームを楽しむこともできます。これも心理学の実験です。ぜひ遊んでいってください。

  • ほんとだ、まるで実験室にいるかのように、VRで心理学実験ができるなんて面白いですね!

「R-GIRO傾聴カウンセリングVRシステム」とは?

高齢化が進み、介護施設も人手不足で、入居者とゆっくり話をすることが難しくなっています。1人暮らしの高齢者も多く、遠方に住む家族となかなか会うことができません。高齢者が人とコミュニケーションをとることには、認知症の予防や回復への効果もあると言われていますが、現実には大きな課題が横たわっています。

総合心理学部の林勇吾先生は、人間がどのように物事を考え、問題に直面した時にそれをどう解決するかの研究に、コンピュータ上のシミュレーションやAIモデルなどのデジタル技術を導入してきました。現在は、R-GIROという学際的研究プロジェクトのリーダーとして、VRを使った高齢者用の傾聴カウンセリングシステムを開発し、その効果を検証しています。

このシステムは、利用者がVRのゴーグルをつけると、VR空間にカウンセラーが現れ、音声認識によって対話ができるというもの。本物のカウンセラーの質問内容や話し方をAIでモデル化し、VR上のキャラクターにしています。人間と違って24時間いつでも必要な時に対話でき、どんな服装や姿勢でも気軽に話せるカウンセラーです。

今取り組んでいるのは、VRのカウンセラーが「人間らしい対話」を実現するための研究です。「1つは、人間の考え方や知識の使い方のくせのようなものをシステムに実装する心理学の面からのアプローチ、もう1つはキャラクターの姿をできるだけリアルな人間の表情に近づけるVR技術の開発です」。

ラボでは、茨木市シルバー人材センターの高齢者に、実際に対話してもらいながら効果を確認し、システムをブラッシュアップしてきました。2025年からは、高齢者施設での実証実験も始まっています。実験に協力してくれている高齢者は、自分が科学技術の発展に寄与できるということに、とてもポジティブな反応を見せているそうです。高齢者施設側も、このシステムが、入居者に対する新しいサービスの1つとなることに大きな期待を寄せています。

いばらき×立命館DAYでの様子

  • voice 01

    VRのゴーグルをつけたのは初めてです。自分がどうなっているのかが分からない感じになりました。操作が少し難しかった。大学のイベントには何回か来ています。初めての体験ができるので楽しいです。

  • voice 02

    心理学の実験で使ったりするパズルですが、VRでも同じパズルができるようになっていて、実際のパズルとどんな風に違うか、アバターが変わると感じ方がどう変わるかなどを、VRを使った研究紹介の一環として試していただいています。

先生からひとこと

このプロジェクトは、心理学と情報システムの研究成果を融合して進めています。心理学といえば文系と考える人も多いかもしれませんが、今は実験システムの開発や大規模データの解析などに情報処理技術は不可欠です。VRをはじめとするXRやAIの技術によっても心理学の研究はさらに発展していくでしょう。一方で、人を対象とした情報システムを作る時は、人間の特徴や、人間がどう感じるかという視点が欠かせません。心理学をはじめ、人間を対象とする研究の知見が必要です。お互いの強みを融合した研究は、今後さらに重要になってくると思います。

  • 林 勇吾

    総合心理学部 教授

    専門分野:認知科学、人工知能、ヒューマンインタフェース・インタラクション

    研究者データベース

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