本特定領域研究の組織

窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)に代表される窒化物半導体は、その優れた物理的特徴から、青色・緑色発光ダイオード(LED)、白色光源、青紫色レーザ(LD)などを次々と実現し、短期間のうちに実用化を成し遂げ、社会の発展に大きく寄与してきた。しかし、窒化物半導体のもつ材料本来の能力(ポテンシャル)からすれば、これまで開発された技術の範囲は、そのほんの一部でしかない。本領域においては、材料、物性、デバイスの全ての階層での全波長領域(紫外域〜赤外域)にわたる横断的研究に取り組むことによって、「新規結晶成長技術の開発」と「欠陥物理と発光機構、不純物活性化機構の解明」に基づいて、窒化物半導体が本来持つ優れた潜在能力を極限(内部量子効率100%)まで引き出し、その適用波長領域の限界を外縁に広げる(200 nm〜2μm)ことを目指す。

本特定領域研究の組織

本領域では、「結晶成長技術」、「物性評価」、「短波長デバイス基盤技術」、「長波長デバイス基盤技術」の4つの研究項目を遂行する。 「結晶成長技術」では、InN系では低温成長技術、AlN系では高温成長技術、その場観察手法、新規基板結晶開発により、AlN系およびInN系窒化物半導体高品質結晶成長への本質的共通課題解決を目標とする。「物性評価」では、極広域分光法、陽電子消滅法、走査型近接場光学顕微鏡といった特徴ある評価技術を駆使して、発光ダイナミクス、点欠陥の物理などに関する研究を行い、超広波長域・超高効率で動作可能な発光デバイス物理解明を目標とする。「短波長デバイス基盤技術」では、高効率活性層、基板材料などの開発を進め、窒化物半導体紫外LED、LDのさらなる発光波長の短波長化と高効率化の限界追求を目指す。「長波長デバイス基盤技術」では、AlInGaN系窒化物半導体の優れた材料特性を基礎に、その潜在能力を顕在化させて、ナノコラムLED、サブバンド間遷移光デバイス、超高効率太陽電池など新しい窒化物半導体光デバイスを創成することを目的とする。

期待される成果

窒化物半導体による新領域光エレクトロニクス分野を開拓することによって、省エネルギー固体照明光源、超高効率太陽電池、光・電子集積回路、高速環境浄化処理、高精度ガスセンシング技術などが実用のものとなり、エネルギー、情報通信、環境、健康・医療に関わる21世紀の重要課題解決のための科学・技術の基盤が構築されるものと期待する。