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応用人間科学研究科 開設10周年記念式典、シンポジウム

  2011年7月2日(土)に応用人間科学研究科10周年記念式典・シンポジウムを挙行いたしました。川口清史総長,中村正常務の挨拶,報告,それに続く午後のシンポジウムでは応用人間科学研究科の10年間の歩みをふりかえるとても有意義な機会となりました。会場である創思館カンファレンスルームがほぼ満席になる盛況の内に,会を終えることができました。ここでは,当日のスナップ写真と,参加されたOB・OGや現役院生からの感想を掲載しています。


中村正先生基調講演はこちら


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参加者の感想

応用人間科学研究科 3期生 高橋伸子さん
  朝の式典では、疾風怒涛の後には大きな飛躍が期待できると、応用のこれからが楽しみな荒木研究科長のご挨拶がありました。中村正先生の基調講演では、ナラティブのマイケル・ホワイト先生に、直々に会いに行かれたエピソードは、興味深く拝聴しました。午後のシンポジウムは、活発な意見交換が行われ、東日本の復興を強く考えさせられました。夕刻のパーティー、夜のクラスターごとの二次会にも出席しました。懐かしい友人やそのご家族にも会えました。そして、何よりも先生方のお変わりのないご様子に、終日幸せな一日を過ごさせて頂きました。


応用人間科学研究科 5期生 宮田正子さん
  7月2日(土)、応用人間科学研究科の創設10周年を記念し、研究科のこれまでとこれからについて先生方より含蓄のあるお話を聞くことができました。基調講演でのオーストラリア先住民の紛争と問題解決には「白か黒か、でないグレイがある」との選択、さらに、午後には東日本大震災に触れ、「同時代を生きるものとして…経験の共有の大事さ」という語りには、どこか救われる思いがしました。対人援助とは何かについて、今一度、原点に立ち返る一日でもあったと感じております。


応用人間科学研究科 9期生 北村真也さん
  7/2(土)に立命館大学で応用人間科学研究科の10周年記念式典とシンポジウムがありました。午前中に教学担当理事の中村正先生の基調講演があり、その中でこの研究科がどのような社会の流れの中で、どのような意図を持って誕生したのかというお話しがありました。私にとっては大変感動的な話だったので、私なりに少しまとめてみたいと思います。
  応用人間科学研究科は、2001年に誕生しました。その背景には、90年代の混沌とした社会の大きな渦がありました。バブル経済の崩壊に始まる混迷した社会の価値観の中、95年に大きな二つの事件が起こります。それは、阪神淡路大震災、そして地下鉄サリン事件でした。これらの事件は結果的に混迷した社会に対して大きなインパクトを与えることになりました。
  当時の政府は、制度化を強化して苦悩を抱えた社会状況を何とか克服しようとしました。具体的には、心理、福祉の領域の資格化を推進することで人々のケアに従事する人材の育成を図ろうとしたのです。そして、大学もこの制度化の流れに巻き込まれることになったのです。大学は文科省によって学生数を管理されていたのですが、心理や福祉といった領域に限ってその定員増加を認めたのです。その結果、多くの大学が競い合うかのように、心理や福祉の新しい学部や学科を創設することとなりました。
  しかし中村先生は、この社会の制度化の流れに対して慎重な態度をとっていました。大学としてこの苦悩に立ち向かうためには、制度によって想定された対人援助ではなく、被援助者の立ち位置で対人援助とは何かを考えることのできる人材こそが必要だと考えたのです。そして、学部を問わない、年齢も問わない、性別や民族性も問わない、ただ資格要件を満たすだけの修士課程ではない、新しい独立研究科を立ち上げたのです。学生も教員までもが絶えず何かを問い続け、その答えを模索し続けることのできる場を大学に誕生させたのです。
  あれから10年、応用人間科学研究科の卒業生は500名に達しました。それぞれの卒業生は、それぞれの領域で、その問いを社会へと返しながら活動をつづけていきました。そしてその影響が人から人へと伝わり、社会そのものを少しずつ動かしているように思います。
  今年、私たちは再びかつてないほどの大きな苦悩を経験することになりました。東日本大震災です。それはこの研究科が立ち上がるきっかけとなった、あの95年の阪神淡路大震災の記憶を再び現在に再帰させながら、これからの10年の研究科の歩みに再び大きな影響を与えようとしているようにも思えます。
  この10年を振り返ることは、次の10年を考えることでもあります。制度によって用意された答えではなく、自ら問いを発することで得られる答えを大事にしながら、これからの10年を共に創っていきたいと思うのです。

応用人間科学研究科 M1 大橋佳奈さん
  10周年記念シンポジウムにおいて感じたことは、現在対人援助を学ぶものとして何を必要されており、またそれに対し何ができるのか、常に自分自身に問わねばならないということです。応用人間科学から、この場所からできることを考え、実践していきたいと思います。



スナップ写真





代表挨拶を述べる川口総長





中村正先生の記念講演





会場の様子





シンポジストの深尾昌峰氏





シンポジウムの様子





シンポジウムの様子





ディスカッションの様子





記念パーティの様子





記念パーティの様子





記念パーティの様子





記念パーティの最後に参加者全員で記念撮影


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