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応用人間科学研究科 震災復興支援プロジェクト

8月15日~9月4日 青森県むつ市「東日本・家族応援プロジェクトむつ in 2016」




「東日本・家族応援プロジェクト2016 in むつ」を開催しました 

(応用人間科学研究科教授・村本邦子)

   「東日本・家族応援プロジェクト」も6年目を迎え、後半期に入りました。今年も、むつ市、むつ市連合PTA、下北地域県民局地域健康福祉部(青森県むつ児童相談所)との共催で、8月15日(月)~9月4日(日)、 団士郎家族漫画展をむつ市立図書館にて、9月2日(金)、支援者支援セミナーをむつ市役所、お父さん応援セミナーをむつ市中央公民館、9月3日(土)、漫画トークをむつ市立図書館にて開催しました。

   現地で動いてくださっている実行委員会メンバーの半分以上がスタッフの移動で変わっているそうですが、運営は手慣れたスムーズなもので、組織力を感じさせられます。児童相談所の方々が中核を担ってくれているので、そうこうするなかでも、虐待通報やらDVやらの声が飛び、現場が動いているなかでのプロジェクト実施であることが実感されます。状況は刻一刻と変わり、大変な日常業務のなかで、私たちと一緒に十年、プロジェクトを継続していくという意志のもと、ぶれることなく全力を尽くしてくださっていることに、あらためて感謝すると同時に、頭が下がります。

   今回の支援者支援セミナーでは、それぞれの地域の持つレジリエンスについて少しお話しした後、現地の方の強い要望で、院生たちが事前学習したむつ市についての報告を入れました。「今日はとてもよい時間を過ごさせていただきました。学生さんのむつ市の紹介を聞き、あらためてむつ市の良さを知ることができました。事例についての話し合いでは、いろいろな意見が出て広い視野で考えることができました。助け合いができる地域・人との関わりがとても大切だと思います。これからもすみよい町であるように頑張って行きたいと思います。(40代男性)」の声に代表されるように、多職種でひとつの事例について検討し合うことで視野を広げ、自分の暮らす地域をよくすることに貢献したいという動機を高め、地域の力を強化することに役立っているなと感じられました。  

   院生たちには初めての試みで、負担も大きかったようですが、地域の方々に喜んでもらい自信になったようです。同時に、自分たちの地域についてよく知らないことに気づき、地域の特性に眼を向けて支援を考えるという視点を得ていました。漫画展の片隅に置いてある感想ノートには、少しずつ中学生たちの声が届くようになり、思春期の課題に直面するなかで、なにがしか励ましのメッセージを受け取ってくれているようです。「・・・またやってください!絶対ですよ」(中1、ダメな僕より)には、つい微笑んでしまいますが、こんな若者たちが未来を支えてくれるのです。

    6年目という折り返し地点を過ぎたところで、実行委員会のみなさんからは、「十年後、この力をどんなふうに自分たちで根付かせていけるのだろうか?」という声が上がるようになりました。みなさんの力こそが、むつという地域のレジリエンスなのだと思います。これからどんなふうに着地点を見出していけるのか、楽しみながら、私たちも努力していきたいと思っています。

 2016 東日本家族応援プロジェクト 「木陰の物語」の物語 6年目 (応用人間科学研究科教授・団士郎)

   むつ市訪問も6年目。馴染み深い人や場所との再会の中で、事はスムーズに運んでくれる。初めての訪問者(院生)にとって、どんな場所、人に映っているのだろうか。遠方ではあるが、来ることを前提に考えると道中は長くとも、慣れてきたのか遠隔地の印象はない。もっとも、客観的には遠いので青森県内の複数の人の語りの中にある、「むつ市ですか・・・」というつぶやきは、私の感じる距離感より、県内の方が感じるそれの方が大きいのかと思ったりする。

   マンガ展はコンスタントに回を重ねて、安定した展示と、ギャラリーの空気を醸し出していた。今回のマンガトークは「社会的養護」をテーマに、展示も小冊子掲載もおこなった「勉強しなさい」をスライドで紹介しながら、母のない子、親のない子と、それを取り巻く関係者、援助職者について考えてみた。

   毎年、初回実施のむつ市は直接的被災地ではない。だから、被災事実と復興に直接焦点化されるイメージとは距離を置いて、やや抽象的に回復・復活を念頭におくことが出来る。そこで「木陰の物語」の物語の今年度コンテンツを今回のように「社会的養護」の歴史的展開と復興支援を重ねてみた。

   多賀城、宮古、福島と巡回する中で、このテーマ設定をベースに微修正や検討をしてゆくことになる。 

 2016年 むつ報告 (応用人間科学研究科教授・中村正)

   むつでのプロジェクトも6年目。支援者支援とお父さん応援セミナーは定番となっている。

   支援者支援セミナーとして次のようなことに留意している。①対人援助にとって地域のもつ意味を参加者同士で確認する、②当該の家族にかかわりリスクだけではなくてその家族のもつ強みや可能性をみる、③地域のなかではそれぞれができることをする、④虐待とか、家族問題とかのまなざしではなく家族は不思議なまとまりをもち、それぞれの物語があることを理解する、⑤地域のなかでいろんな人が暮らしているという観点から見守る支援として多様性という視点を共有する。⑦そしてボランティアも含めて多職種にまたがる人たちが、相互に社会的孤立を防ぐ持続的な関心をもつことの大切さを意識する機会となればと思って運営している。今年は、性の問題行動をもつ小学生をどう支援するのかという事例だった。下着泥棒、下級生への性的悪戯等の問題行動を繰り返す少年のケースである。保護者の強い希望で在宅指導を継続せざるを得なかったが、それを地域でどう見守ることができるのかという提起だった。教育の取り組みとして、そして家族への支援として、こうした相談を受けた場合にどうすればよいのかという意味では、自らが解決に向けた行動をしにくい場合に、どこにつなげばよいのかという資源の情報、少年なので性非行という烙印だけではない見方とは何か、困惑する家族への対応の仕方として知識をもつことの大切さ、最近の性情報の氾濫のなかで子どもたちに大人はどう対応すべきなのか等、直接の支援というよりは関連した話題がたくさんだされていた。性問題のある子どもへの対応の基本を議論できた。

   中央公民館の講堂で夜の7時からスタートしたお父さん応援セミナーは38名の方が参加してくださった。今年は「条件つき愛情」となりがちな父性のあり方に対比して、少々難しい「無条件の肯定」を行うことと躾の仕方の関わりを含んで父性をほぐすコミュニケーションワークショップとした。たくさんのアンケートがあり、自由な記述に思いが記されていた。「若い父親の皆さんと本音で話せる企画でした。初対面の方々とも和気あいあいと話すことができ楽しかったです。多くの人が参加してくれるといいと思います。講師の先生の話もよかったです。(60代)」、「人に勧められて、訳も分からず参加したセミナーでしたが参加できてよかったです。もっと色々なお父さんに参加してもらいたいと思いました。来年も参加したいです。(30代)」、「『お父さん応援セミナー』という題名からイメージしていたものと大分内容が違いましたが楽しく学べました。ありがとうございました。(30代)」、「男親の難しさと子どもの気持ちに対する接し方を学びました。(40代)」、「初対面の男性の皆さんとも円滑にコミュニケーションがとれて有意義でした。楽しかったです。来年も来たいです。(50代)」、「普段父親として生活していますが、改めて父親としての自分を振り返る機会となりました。笑顔あふれる家庭を今後も作っていければと思いました。(40代)」、「父親になると『こどものため』と思って、過保護的になったり、子どもをコントロールしたくなってしまいがちであるが、それは子どもの自立を妨げることにもなりかねない。子どもの成長をサポートしつつ、それでいて無条件の肯定を与えられるような人間になりたいと感じた。(20代)」、「『認知の歪み』、『無条件の愛情・肯定』特にこのことが心に残りました。わかっていながらふと気づくとこのことを忘れている気がするからです。昨年より、より心にすっと入ってきたように思います。(50代)」、「時間を止めて、『父親』という自分の役割を考えることができ、とても充実した時間を過ごすことができました。ありがとうございました。(50代)」という参加者の声があった。90分という時間はまったくの非日常の時間となった。男のコミュニケーションの練習の場のようだ。幅広い年齢の、仕事帰りのお父さんたちが、週末の少々の疲れもみせながら、最後は笑顔で別れる会となった。

   家族の日常がいつもどおり営まれていくことに、多少の意味づけと振り返りができる外部からの機会となるようにと思い運営している二つのセミナーである。

「東日本・家族支援者セミナー2016 in むつ」に参加して(対人援助学領域M2 地下 昌里)

   人生で2回目のむつ訪問だった。去年、このプロジェクトに初めて参加してみて、自分がそこに行ったことの意味がいまいち理解できないままでいた。しかし、現地の方と一緒に過ごした時間、綺麗な陸奥湾やおいしい食べ物などの魅力的な記憶がたくさんあり、「もう一度行きたい」「もっとむつのことを知りたい」という思いから、今回の参加を決めた。

   今年も現地の方や教授がこの6年間で築き上げてきた連携の力でスムーズにプロジェクトが進んでいった。私たち院生がお手伝いできることは支援者支援セミナーの会場設営や漫画トーク会場の受付などで少なかったように思う。やはり、自分1人でできることなんて限られているということを今年も実感した。

   一方で、去年とは違うと感じることもあった。今年は、私たち院生が、むつの方たちに向けて、院生のこれまでの学びや今回の参加に当たっての意気込みなどを発表する機会があった。発表を頷きながら聞いてくださる方や、「もっと言うと、むつはね・・・」と私たちが知らないことを楽しそうに嬉しそうにお話してくださる方がたくさんいらっしゃった。むつの方たちの、自分たちが住んでいるむつという土地への思いがひしひしと伝わってきて、とてもあたたかい気持ちになった。「自分の住んでいるところはいいところだ!」と思い、誰かに伝えることができることも、地域の力の1つなのではないかと感じた。

   また、去年私が参加していたことを覚えていて声をかけてくださった方もいて、純粋にとても嬉しかった。1年前に自分が暮らす京都から遠く離れた場所でできたつながりが今までもずっと続いていたのだということ実感することができた。

   支援者支援セミナーや漫画展・漫画トークに参加したり、お父さん応援セミナーの様子を聞いたりするなかで、むつで暮らす人たちがむつの持っている力や人の持っている力を考えたり、気付いたりする機会となるこのプロジェクトの意義にも気付くことができた。

   2年連続でむつでのこのプロジェクトに参加してみて、震災復興支援と銘打って参加していても、目に見えて効果がわかるような大きなことなんて自分にはできないことを学んだ。それと同時に、1年前には全く知らなかった場所や人のことを、身近に感じ、大好きだと思うようになり、そのことに大きな意味があると感じるようになった。むつでできたつながりをまた来年、再来年へとつなげていくために自分にできることをしていきたい。

   最後に、このプロジェクトを6年目までつなげてきてくださり、私たちをあたたかく迎えてくださったむつのみなさま、本当にありがとうございました。

「東日本・家族応援プロジェクトin むつ2016」に参加して ~「繋がり」が自分にもたらす力~ (臨床心理学領域M1 岡田紗弥香)

   今回、「東日本・家族応援プロジェクト」に参加して、初めてむつを訪れた。高校の修学旅行で青森県を含め東北4県を巡り、青森県のりんご農場や恐山を訪れた。その後東日本大震災が起こり、訪れた観光地の数々が被災したことをニュースで知った。青森県に関する知識といえば大きな地震による被害があったこと、修学旅行で訪れた恐山やりんごが有名なこと、原子力発電所があることなど漠然としたものであった。  

   震災や、それに伴う原発事故も、当時香川県にいた自分にとってどこか遠い国で起きたことのように感じ、大きな震災や震災後もその地域で生活し続ける人たちのことを身近に感じる機会がなかった。「東日本・家族応援プロジェクト」の存在を知り、対人援助を学ぶ者として被災した人や地域のことを知ること、また日々の生活と切っても切り離せない災害について考える良い機会と思い、プロジェクトの参加を決めた。 

   このプロジェクトも今年で6年目を迎え、今年初めて院生による発表の機会をいただくこととなった。参加する院生がお客様としてむつを訪れるのではなく、先生方と同じように現地の人に働きかける存在となるべく、院生なりにむつについて調べたことや、プロジェクトに期待していることなどをパワーポイントにまとめ、むつの方々に発表した。事前学習をすることで、より青森県のことやむつのこと、盛んな産業や原子力発電所が稼働するまでの経緯など、たくさんのことを知ることができ、第三者の目から見たむつの魅力を現地の方に伝えることができたと思う。さらに、調べたことで沸いた興味関心やプロジェクトでの院生の立ち位置、むつの方々との関わりの中で楽しみにしていることを伝えることで、受身ではない「証人」として積極的に現地の方と関わろうと考える院生の立場を強調できたのではないかと思う。院生発表をきっかけに主体性を持って各活動に参加することができ、それにむつの方々も応じて関わりを持ってくださろうとしてくださったように感じた。短い期間であったが、むつの方々の優しさやあたたかい人柄に触れ、心身ともにありがたさを感じることができた3日間であった。

   このプロジェクトに参加して、多くの「繋がり」を感じることができた。院生発表では、院生と現地の方々を繋ぎ、多くの出会いや立命館大学とむつの方々との関わりを引き出してくれたと思う。さらに、発表内容が発表を聞いてくださった方々の話題ともなり、現地の方々同士のあたたかい横の繋がりを垣間見ることができた。団先生の漫画展では、「感想ノート」を通じて漫画を読んだ方々の心と漫画を繋いでいた。親子が一緒になって漫画を読んでいたように読者同士を繋げたり、はたまた漫画を読んだ人が家族や身近な人との話題に挙げて別の人へと繋いだり、「また来年も来て下さい」と感想ノートにも書いていたように読者の今と未来を繋げたりと、人は家族を起点として多くのあたたかな繋がりの中で支えられて生きていることを実感した。他にも、歓迎会で出会った同世代の若手職員さんと、お世話になった共通の知り合いの話題で盛り上がり、想定外の繋がりを持つこともできた。自分が寝坊してしまった際にも、自分以上に心配して対応して下さった地下先輩、清武さん、笑顔で迎えて下さったみなさんと繋がりが持てたことも、このプロジェクトに参加して良かったことの一つである。

   1日目に中村先生から「若い頃の繋がりは大切に」との言葉を頂いたが、プロジェクトを通してそれを実感できたように思う。各プログラムのお手伝いとして支援の場がいかに作られているかを体験することができた。そこでは、先生方とむつの方々との繋がりが前提にあって、現地の各機関や職員同士の協力体制があって運営され、各プログラムを通してそこに参加する人々と支援が繋がれていることを知った。誰かを支援しようとした際に、その支援の場も多くの繋がりによって支えられていることを実感した。繋がりを作るのに年齢は関係ないかもしれないが、若い頃から多くの繋がりを持ち、それは自分を支えてくれる大きな力になるのだと思った。

   このプロジェクトに参加して、むつにおける支援のお手伝いすることが主な役割であったが、多くの繋がりを実感する中で励まされている自分がいることに気づいた。むつにも多くの魅力や力があることを感じたように、自分も多くの人との繋がりに支えられ、自分の力になっていることに気づいた。自分を支えてくれる繋がりに感謝しながら、その繋がりをもって誰かの力となれるような対人援助職者になりたいと強く思った。 

   最後に、このような貴重な体験をさせていただくとともに、これまで継続されてきたプロジェクトに携わることができたことを感謝しています。杉浦さんをはじめ、むつ児童相談所の皆様、むつ市の皆様、村本先生、中村先生、団先生、立命館大学大学院の皆様、一緒にプロジェクトに参加して下さった院生の皆様、本当にありがとうございました。 

 「東日本・家族応援プロジェクト2016inむつ」に参加して (臨床心理学領域M1 石田育子)

   今回の震災プロジェクトに参加して一番学んだことは、「つながりの大切さ」である。

   私にとって、東日本大震災は自身の考え方などを変化させた大きな出来事のひとつであった。しかし、向き合うことを避け、5年が経ってしまっていた。大学院受験のために学校選びをしている際、目に止まったのがこの震災プロジェクトのページであった。このページで先輩方のコメントを読み、活動の内容を知り、このプロジェクトに参加して自分なりに震災と向き合いたいと思った事が本校を選んだきっかけのひとつでもあり、参加することを楽しみにしていた。

   今回、むつは6回目の開催という事で、新たな取り組みとして、院生の発表があった。正直、はじめに発表と言われたときには、初参加なのに何を発表するのだろう、と前向きに捉える事はできなかった。しかし、発表するにあたって、これまでのプロジェクトの流れや、事前にどんな事を目的で各セミナーが開催されているのか、私たちはどのような視点をもって参加するのかを共有できた事は、現地に入ってからの活動をする上でも意味のあるものになったように思う。また、発表の準備をする上で、先輩方のつながりもとても強いものに感じた。

   発表は懇親会と支援者支援セミナーの前と2回行ったが、それぞれに反応があった。私たちが調べた事以外に、もっとこんな魅力があるよと現地の方がたくさん紹介して下さった。現地の方のむつに対する愛を感じられ、私たちが調べたことをあたたかく受けとって下さった。幼い頃から京都で観光客に溢れる中で育ってきた私にとって、地元を知ってくれる人をあたたかく受け入れることなど、今までほとんどなかったように思った。そして、発表で調べたことはその後に現地の方とのコミュニケーションのきっかけにもなった。支援者支援セミナーや漫画展の準備を現地の方と一緒にしていてもどの方も親切に接してくださり、むつの地域性として、あたたかさも感じられた。 

   事前学習で知った、これまで培われてきた協働体制だが、こんなにも多くの方が関わっておられ、また円滑に連携がなされている事は現地に入って初めて感じることができた。現地の市役所や児相、図書館の方も続けてプロジェクトに参加されている方は先生方や先輩方と顔見知りである方も多いようで、会話が弾んでいる姿をよく見かけた。1日目の懇親会の時にも去年の話などをされていて、会場のあたたかさからも協働を感じることができた。このプロジェクトのチラシも市役所や図書館、宿泊したホテル、児相の中などあらゆるところで見かけ、力を入れてくださっていることが立ち寄った様々なところで感じられ、現地の方もこのプロジェクトを大切に思ってくださっていることが伝わった。私たちが発表した時にあたたかく受け入れてくださったように、このプロジェクトのはじまりや、毎年の開催にあたってもむつの方々のあたたかい姿があったのだろうと感じた。またその受け入れてくださる姿勢が協働に繋がり、それがむつの力であるのだと思う。

   3日間のむつでの活動を通して、今まで言葉でしか学んで来なかった『協働』の大切さを実感できた。今回の参加をまた来年のプロジェクトへと繋げ、また、これからの対人援助の場で活かしていくことに繋げていきたいと思った。

   杉浦さんをはじめむつの方々、先生方、先輩や院生の方々、本当に有難うございました。

 今、東北に目を向けるということ (修了生 真鍋 拓司(NPO法人きょうとNPOセンター プロジェクト・スタッフ))

   むつを訪れるのは今年で3年目。社会人1年目となる今年もOBとしてこの「震災復興支援プロジェクト」に参加させていただいた。今年の4月、私の故郷である熊本が震災に見舞われた。学生の時とは違う支援を模索し、行動していた。

   そんな私がなぜ故郷ではなく東北の震災復興支援に参加したのか。それは「継続ある支援」に惹かれたのだと思う。過去2回の参加で見えてきたむつという土地とそこに住む人の生活や思い、そして強さ。先輩や先生方から聞いた、私が参加する以前のプロジェクトの様子と私が触れたそれとの変化とつながりに災害復興支援の可能性を感じたのだと思う。

   むつでの活動は、協働する現地の方々が変わらず、同じ機関が動いてくださっている。現地の方と外から来た支援者が共に同じ物を目指すことは単発・短期間では難しい。しかし、現地の方々は外から来る私たちと目的を一つにしてくださっている。それは、このプロジェクトの「10年間続けていく」という柱があったからこそだと感じている。

   日本全体、資金面でなかなかこういった継続型の支援が難しい現在ではあるが、継続して外から支援をしていくことの意義や可能性を実感できたプロジェクトだった。

   こうして思えるのも、むつで出会った方々との出会いと再会、そして1年に1度訪れる度に感じる変化があるからである。

   今年もまた、むつの強さに勇気づけられ、京都に帰ってきた今でも「支援」について考え続けられていることを有難く思う。

 漫画展のアテンドを通して (修了生 清武愛流(清武システムズ))

   少なくとも10年継続するプロジェクトの折り返し地点となった今年、コミュニティに介入することで知る、むつ市の現状。そして、介入することで生まれた新たな関係性に気づかされた。

   私は、原発反対の意を持っている。しかし、初年度から私は、簡単に反対と言えない人もいるのでは?とも思っていた。原発は私が生まれる前からあり、それが、私の生活の中に入り込んでいると知らずに生活を営んでいた。

   作られるまでには過程があり、賛否ある中で実現された現場、それは今、地にあり、そこで働く労働者、その人たちとつながりがある地域の人たちがいるので、無くなれば生活が一転する人もいるだう。ゆえに、賛否を問うのではなく、これからの社会のあり方を今、ここから考えたいと思っている自分に気づいた。

   現地に滞在し、そこで居合わせた人たちと過ごし、自分ができることは何かと考えて過ごしている。主に、私は、市立図書館で開催されている「家族漫画展」にいる。そこでは、気軽に入りやすく、読み進められるように、時に出て行きやすいように、人が当たり前にする行為が自然にできるよう考えている。

   その中で、時に言葉を交わす。「親として型にはまっていた」、「僕は、親も模索していたと気づいた」とそこで、そこで新しい物語が生まれている。地域に既にある場に介在し、こちらから持ち運んでいる木陰の物語のパネルと小冊子が合わさり起きていることだ。私は、ネットワークに介在し、身近な人の未来に向けた、応援を些細ではあるが行いたいと思い、自身の日頃の実践に活かしたい。

    最後に、共催しているむつ市児相は、人事異動がある組織であるが、再会する喜びがある。初年度から関わった方が、来られないからとって、実行委員会の方に手紙を寄せて下さっていたこと。滞在中、私と同世代の方が2時間もかけ、パートナーを連れてきて再会できたこと。さらに、会えないから、なんとか会えるようにFacebookで連絡を取り合っていたこと。継続していく中で、離れていても個々人のライフスタイルに変容があり、それを交歓できる関係も生まれていると感じた、6年目の現地滞在だった。

支援者支援セミナー


お父さん応援セミナー


家族漫画展


院生の発表

スタッフ記念撮影






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