研究科長挨拶

研究科長 荒木 穗積
#03 クラスター・ゼミ 発達・福祉臨床クラスター 荒木 穗積

立命館大学大学院応用人間科学研究科は、21世紀の幕開けとともに開設され、2015年度には15周年を迎えました。本研究科は、対人援助(ヒューマンサービス)という社会的営為について、従来の学問領域を超えて融合し、対人援助に携わる人たちが連携のできる新しい学問領域を、教員と院生が協力して追求していこうとする大学院です。心理学、教育学、社会福祉学など諸科学の「連携と融合」による対人援助の研究・教育分野を創造し、この分野の高度専門職の養成をめざしています。この15年間に、600名をこえる修了生を社会に送りだし、地域に根ざしつつ対人援助の領域で大きなネットワークの形成にとりくんでいます。

次の15年の歩みをすすめるにあたって、このたび次のようなアドミッション・ポリシーをさだめました。

(1)対人援助を諸科学の融合と連携の観点から総合的にとらえようとする人
(2)対人援助を人間性と科学性を統一させてとらえようとする人
(3)対人援助の実践と理論を相互還流させてとらえようとする人
(4)人びとのニーズを社会へ向けての権利擁護の姿勢をもってとらえようとする人
(5)対人援助の新しい科学の創造に高いこころざしと意欲をもって挑戦しようとする人

このようなこころざしに賛同する人びとが集う研究科にしていきたいと思っています。

本研究科では、アドミッション・ポリシーを現実化するためのとりくみとして、グループ学習およびチームティーチングを重視しています。お互いに切磋琢磨し合える学びの環境をととのえ、教育・研究の場でも互いに支え合い、励まし合う人間関係の醸成に努めています。本研究科には、心理学・教育学・福祉学などの従来の学問領域にとどまらず、さまざまな学部から進学してくる院生がいます。また、すでに対人援助に関わる職業的経験をもつ社会人院生がいます。お互いの背景のちがいをこえて協働し、新しい対人援助の高度な専門的技能と対応力の習得にとりくんでいます。

"Think Globally, Act Locally" 「理想は大きく、とりくみは足もとから」

この言葉は本研究科の特徴をよく表しています。対人援助の領域を見すえていくには大きな理想と広い視野が必要です。そして、対人援助の営為は身近でつねに具体的で実践的なかたちとなってあらわれます。対人援助に関する研究・教育分野の創造には人間性と科学性の統一が求められます。理論と実践の発展のためには「実践から理論へ、理論から実践へ」その絶え間ない相互環流が必要です。そして人びとのニーズを社会のニーズとつなげる権利擁護の姿勢や態度が求められます。

立命館学園は全学園の人材育成の目標として「人類の未来を切り拓くために、『未来を信じ、未来に生きる』の精神をもって、確かな学力の上に、豊かな個性を花開かせ、正義と倫理をもった地球市民として活躍できる人間の育成に努める。」(立命館憲章より)ことをめざしています。本研究科は学園の理念を大学院教学において対人援助の領域で開花させるべくとりくんでいます。