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応用人間科学研究科の教員紹介

家族機能・社会臨床クラスター

中村 正教授

Tadashi Nakamura

 

社会学、社会病理学、臨床社会学、社会臨床学、 男性学

 
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研究テーマ

社会臨床学、臨床社会学、社会病理学、男性性研究

コメント

大学は立命館大学の法学部でした。大学院で社会学(社会病理学)を専攻し、現在はこの応用人間科学研究科という臨床心理や対人援助に関する専門職を養成する大学院で教えています。文字通り、「あいだ」にいます。さらに、逸脱行動に関わる臨床だけではなくて、ボランティアやNPOなど社会のなかでの仕事もたくさんしています。社会臨床という関心からすると、1995年の阪神淡路大震災とオウム真理教事件のインパクトが強く、ある種の「災害ユートピア」のような社会の空気があり、社会連帯のエネルギーが湧き上がってきました。そこで組織したのが「きょうとNPOセンター」でした。その開設に携わり、その後、多様なNPOの創出に関与してきました。とくにNPO法人では本邦初のFMラジオ局を実現しました。現在、「NPO法人・京都三条ラジオカフェ」は三条寺町に放送局があります。3年程そこでパーソナリティをしていました。次のサイトからそのデジタル版が視聴できます。自己紹介です。聞いてみてください。
→FM797 KYOTO HAPPY NPO!

研究では、暴力と虐待の、主に加害についての臨床を行いながら研究をしています。現場は、少年刑務所での性犯罪者処遇、児童相談所での虐待親面談と家族再統合実践、男性問題相談にかかわる民間団体でのDV加害男性向けグループワークです。これらのテーマは問題解決型の関心です。「法と心理」、「トラウマと文化・歴史」、「被害者学・加害者研究」、「男性性研究と臨床ジェンダー論」、「脳科学と暴力」等という異分野融合的なテーマが多く、世界的には研究も活発です。さらに行為連関としても複雑で、たとえばモラルハラスメントと暴力、トラウマの事後性(物語り性)、被害-加害の前法的領域と責任論、ケアと暴力等のユニークな課題が含まれています。社会の領域を扱う社会病理学と精神・心理の領域を扱う臨床諸学はいかにして交錯しうるのか、等と自問自答が続きます。くわえて、こうした諸課題を解決しようとする「制度構築」が、たとえば修復的司法restorative justiceや治療的司法therapeutic jurisprudence、治療共同体therapeutic communityの議論として盛り上がっています。「越境する知」です。「問題解決の現場」が私を鍛えてくれています。

応用人間科学研究科の関係者が多い「対人援助学会」のデジタルマガジンに「社会臨床の視界」と題した文章を連載しています。ご覧いただければと思います。
→「対人援助学デジタルマガジン」誌の連載「社会臨床の視界」


 
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書を持って街にでよう。

推薦図書

・中村正『「男らしさ」からの自由』かもがわ出版(1996)

・中村正『家族のゆくえ』人文書院(1998)

・中村正『ドメスティック・バイオレンスと家族の病理』作品社(2001)

・中村正『家族の暴力をのりこえる‐当事者の視点による非暴力援助論』かもがわ出版(2001)

・鷲田清一他編『身体をめぐるレッスン 第4巻 交錯する身体』岩波書店(中村正「殴る男-親密性の変成にむけて」、2007)

・望月昭・サトウタツヤ・中村正・武藤崇編『対人援助学の可能性』福村出版(中村正「逸脱行動と社会臨床」、2010)

・中村正訳・ドナルド.ダットン著『なぜ夫は、愛する妻を殴るのか-バタラーの心理学-』作品社(2001)

・中村正訳・ドナルド.ダットン著『虐待的パーソナリティの研究』明石書店(2011)

 


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