この頃の大学評価・IR室

AIR Forum Virtualに参加しました

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天狗先生

 昨年に続き、Association for Institutional Research (AIR) Forumに参加しました。残念ながら、今年はCOVID-19の感染拡大の影響を受け、当初予定されていたルイジアナ州ニューオーリンズでの開催は中止となり、オンラインによるAIR Forum Virtualになりました(米国東部時間2020629日〜71日)。筆者は、他大学でIRの開発・実践に携わっている仲間(東京都立大学・近藤 伸彦先生、明治大学・山本 幸一氏)との共同研究の成果として、オンデマンドのポスター発表を行いました。タイトルは、「A Holistic Approach to Successful IR/IE: The necessary conditions for creating a bridge between IR and IE」です。大学の継続的改善(IE)とIRとの架け橋をいかに創るかという課題について、日本の大学のIR担当者を対象としたアンケート調査結果をもとに、グッド・プラクティスを抽出しながらティップスにまとめたものです。ご回答いただいたみなさまに感謝いたします。

AIR Forum Virtualポスター

  もともと、20195月のAIR Forum Impact Sessionに登壇して日本の状況をお話しした際に(昨年のブログ記事)、フロアの方から「日本の大学はどうしてIRIEの間がそんなに近いの?」という質問を受け、共同研究の着想を得ました。大学における職務が専門分化しているアメリカから眺めれば、教学とIRが比較的近い距離(「教学IR」という言葉もあるように)で動いている日本の実態は、長所の一つに見えるようでした。また、大学職員のキャリア形成の過程も、複数部署を異動するゼネラリスト養成型が一般的であるため、結果として、部門横断的な視点を獲得しネットワークを形成しやすいという利点があるのかもしれません。

 

 Microsoft Corporationの全面的なバックアップにより、非常に洗練されたバーチャル空間を楽しみました。

AIR Forum Virtualイメージ

 短時間でオンライン開催への切り替えを決定し、準備を進めた関係者に敬意を表します。どんな時であっても、研究発表や交流を前に進めるのだという気迫を感じた次第です。あいにく、時差の関係でライブ配信のセッションには参加が難しかったのですが、都合の良い時間に日本の自宅で60近いオンデマンド・セッションをじっくりと視聴できることは最大のメリットでした。COVID-19が猛威を振るう中、いかにデータを用いてキャンパスや学生寮の再開時期を判断するか等のタイムリーな議論もありました。また、筆者自身もオンライン授業の試行錯誤を重ねている最中でしたので、受講生の視点に立てたことも得難い経験でした。

 

 次回のAIR Forumは、20215月下旬にワシントンDCでの開催が予定されています。実現への希望を抱きながら、いまは出来る限り自分たちの取り組みを進め、大学や国を超えたコラボレーションを少しでも生み出せればと思っています。

 

共同発表者のお二人から本ブログ記事へコメントをお寄せいただきました。お礼申し上げます。

 

近藤 伸彦先生:

今回の発表は、日本式のIRIEの関係を具体的事例から考察する、貴重な機会でした。今後さらに分析や可視化を進め、研究成果を広く還元できればと考えています。

 

山本 幸一氏:

IRIEをいかに支援しているのか、10カ月以上になった私たちのチーム作業は楽しいものでした。また、13時間の時差のため、明け方から始まるAIRのオンラインフォーラムも新鮮な経験でした。今回の発表を支えてくれた全国の仲間のためにも、この研究成果の活用を考えてまいります。


(報告者:鳥居 朋子)