これからの講座・イベント

2021年4月読書会「結婚十年」蘇青を読む

永井 英美 氏(立命館孔子学院中国語講師)

時間:12:30~14:30

場所:立命館孔子学院図書室

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読書会は原則、隔月で偶数月に開催します。中国の短編小説を日本語訳で読んで感想を語り合い、また作者について学び合います。
中国の小説に興味がある方、本を読むのが好きな方、読書会を通して中国の文化や歴史についての興味や知識を深めるとともに、
楽しみながら勉強を続ける仲間を見つけてみませんか?

※感想を話し合いますので、なるべく事前に作品を読んでご参加ください。
前日まで、もしくは当日の開始1時間以上前にお越しくだされば、事務局で作品のコピーをお渡しできます。


作品紹介(冒頭)

第15章 投稿を始める

 しばらくして、賢(シエン)の大学の授業が始まった。彼が学んでいるのは法律で、夜間のみ、毎日午後六時から九時までだった。昼間は中学校の教師をしていたが、給料は安く、そのうえ行ったり来たり慌ただしくしていて、私と一緒にいる時間は少なかった。林媽(リンマー)は利口な女性で、すぐに上海のことはすべて覚えてしまったので、私はもう家事のことを気にかける必要はなくなり、お金の計算を少しするだけで済むようになった。私は賢にお金を入れてくれとは切り出しにくく、賢もまた実家に言うのを恐れているようだった。人の情としては分かるけれども、彼には一つよくないところがあった。辛いのは自分だけだと思い、他人の辛いことなど気にしないのである。


作者紹介

蘇青 (1914 – 1982)
 浙江省寧波に生まれる。本名は馮允庄。南京中央大学外文系中退。33年、かねてからの婚約者であった裕福な地主の息子、李欽后と結婚。代表作となった自伝小説『結婚十年』は、フィクションを含むが、李との結婚から離婚にいたる十年間のできごとが彼女自身の体験に基づいてほぼ忠実に綴られている。雑誌『風雨談』の連載として始まった本作品は、1章ごとに周到に用意された「見せ場」によって、連載中から読者の心をつかんだ。
 離婚後、親戚の家に身を寄せて原稿料で生活を維持し、44年、散文集『浣錦集』と『結婚十年』を刊行。以後、散文集『濤』、『飲食男女』(45)、『続結婚十年』(47)などを出し、自ら雑誌の出版も手がけたが、人民共和国が成立すると、胡風事件に連座して投獄され、文筆活動を停止した。蘇青は日本軍占領下の上海で、張愛玲と並ぶ売れっ子作家で、女性たちの日常生活を女性の視点から率直に語ったところに、これまでの文学になかった新しさがある。また女性の性に関する大胆な発言や描写は、蘇青が作品を通して伝えようとしたメッセ―ジには今日のジェンダーやセクシュアリティの問題と重なる部分が多く、近年、再び注目を集めている。


テキストについて

現在、二玄社『中国現代文学珠玉選[小説3]』所収の作品を順に読んでいます。
テキスト購入費は参加者負担ですが、現在絶版となっておりますので、前日まで、もしくは当日の開始1時間以上前にお越しくだされば、事務局で作品のコピーをお渡しできます。図書館や古書をご利用いただいても結構です。


定員

10名程度(要事前申込)


参加費用

無料


お申し込み方法

電話、FAX、メール(宛先:koza@st.ritsumei.ac.jp)にて前日までにご予約ください。
※お申込の際は、①お名前(氏名・フリガナ)、②連絡先(電話番号、メールアドレス)、③参加ご希望の講座名・日程を明記ください。

※画像をクリックすると詳細(PDF)が表示されます。
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