心理プラスな人(修了生メッセージ)

2023

親子の課題に寄り添って、解決へと導くために。

饗庭 桃子 さん
人間科学研究科 博士課程前期課程修了

刈谷児童相談センター 勤務(愛知県職員)

饗庭さんが人間科学研究科に入った経緯を教えてください。

心理学を学びたくて立命館大学に入学しました。当時はまだ総合心理学部の創設前で、文学部心理学科に入学し、心理学を基礎から学んでいました。発達障害を持つ知り合いがいたことから関心を持つようになり、「周囲の理解」をキーワードにADHDについて研究していました。

学部卒業後は就職か、大学院進学かで悩みましたが、昔から憧れていた心理の専門職に就きたいと考え、大学院人間科学研究科に進学しました。


どんなことを研究したのですか?

学部時代のテーマを継続し、特に成人女性の発達障害にフォーカスして研究していました。発達障害の女性の中には、子どもの頃に気づかれず、大学生、社会人と自由度が高まった生活の中で初めて気づく人もいます。発達障害の特性には、計画的に行動するのが苦手、不注意などがあるので、料理や片付けができない、運転免許の取得に苦労するなど、日常生活に支障をきたすものもあるので周囲の理解が必要です。実際に発達障害を持つ成人女性にインタビューをして、何に困っているのか、どうすれば解決するのかなどについて探っていました。

また、人間科学研究科では学外実習が充実しているので、私は積極的に参加するようにしていました。海外実習ではベトナムを訪問し、現地の発達障害の子どもの療育プログラムについて学びましたし、国内では福島県の震災復興支援プロジェクトの一環で、老人ホームや知的障害者施設を訪問しました。アルバイトでも心療内科科クリニックで精神疾患を持つ方や一時保護所で虐待を受けた子ども達と関わるなど、生活のほとんどが心理に関わる活動で埋め尽くされていました。


現在のお仕事について教えてください。

学部、大学院での経験から、心理専門職として子どもに関わる仕事に就きたいと考え、心理系公務員として愛知県に就職しました。児童相談センターで、虐待などの親子の課題を抱える人たちの支援をしています。虐待をしてしまう親は改善意識が低いケースもありますし、虐待を受ける子どもに発達障害や知的障害があることも少なくないため、出来事や気持ちをうまく語れず把握が難しいこともあります。しかし、虐待が起こっているという状況を改善するため、私たち児童心理司が当事者と向き合い、虐待が起こるメカニズムを明らかにし問題解決につながるよう支援をしています。

簡単に問題を解決できるわけではありませんが、最初は反発していた親、あるいは表情が暗かった子どもが、少しずつ笑顔になっていくなど、変化を目の当たりにできるところにやりがいを感じています。


(Profile)

立命館大学文学部で心理学を学び、大学院人間科学研究科に進学。ADHDなどの発達障害などについて研究し、修了後は児童心理司として児童相談センターに勤務し、児童や保護者の相談、助言などを行なっている。

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