教員紹介

Yuanhong JI

吉 沅洪

大石 衡聴
所属領域
臨床心理学領域(博士前期・後期担当)
職位
教授
専門
臨床心理学、文化心理学
主な担当科目
臨床心理面接特論Ⅰ、学校臨床心理学研究、臨床心理実習、臨床心理学演習、人間科学プロジェクト演習

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

私の専門分野は臨床心理学、文化心理学です。2001年研究者海外研修派遣によってアメリカのカンザス大学に滞在し、現地での心理臨床活動を行ったことがあります。人々の悩みや問題行動などは、国や文化によって著しい違いが存在していることが分かりました。例えば、引きこもりは日本文化特有のものであり、中国人には直接身体に症状として現れる重症の心身症が多く、アメリカ人には薬物依存や、暴力行動などが目立つと言われています。つまり、人々の悩みにはそれぞれの文化の違いを背景とした構造があると感じています。

また、は2008年に起きた四川大地震の被災者の心のケアを行う活動に今まで携わっています。東日本大震災の被災地にも同じ「被爆県」の広島県から福島県に派遣された医療救護班の支援に臨床心理士として訪問しました。この経験から災害後のこころのケアと文化との関連性についてより深く理解したいと考えるようになっています。

研究の社会的意義について、教えてください。

諸領域の連携と融合による対人援助に関する新しい研究・教育分野を創造するという理念には大いに共感するものがあります。それは、私がこの理念がまさに存在する場所、つまり対人援助と臨床心理の中間の領域で、研究者・臨床家としての活動をこれまで行ってきているという実感があるからですし、今後の日本社会を考えればこのような理念はますます重要になってくるのではないかと考えるからです。

私の研究者としてのキャリアは援助者としてのキャリアでもあります。私は中国出身で日本の大学の教官であるという、いささかユニークな立場にあります。そのため外国人学生を助ける機会がたいへん多かったわけですが、一対一の心理臨床だけではなくて、場合によっては大使館・領事館や、入国管理局や、ハローワークなどと連携を取りながら援助を行ってきました。またスクールカウンセラーとして活動するうえで、校内の中学校教諭や、養護教諭など、地域の民生委員などと役割分担しながら、生徒たちを支援していくというスタイルで活動しています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

国際化が進み、異なった文化を背景とする人たちと、否が応でも深い関わりを持たざるをえない時代に入りつつあることは間違いありません。私は日本で臨床心理士としての養成、研修を受けてきましたが、海外出身であるというバックグラウンドがあります。これまでの日本の臨床心理学の教育現場では文化を重視するような視点からのアプローチが十分行われているとは言えないと考えます。グローバル化が進んでいる現在、日本で生活する人たちも、同じ文化を持った日本人とだけ関わりを持っていれば良い時代ではなくなってきています。文化の違いを配慮するということは、心理臨床の実践に必要なだけでなく、社会性を持った人間として成長する上でも大事なことであることは言うまでもありません。私は自分のキャリアを生かして異文化を充分に尊重して理解し、国際人としての感覚をしっかりと身につけた人間、臨床家、及び研究者を育てていきたいと考えています。

著書等

  • 日中比較による異文化適応の実際 (溪水社、2004年)

  • No cover

    バウムテスト (中国重慶出版社、2007年)

  • トラウマ治療技法解析 (重慶出版社、2016年)

論文

経歴・業績について