教員紹介

Kenji KAWANO

川野 健治

川野 健治
所属領域
心理学領域(博士前期・後期担当)
職位
教授
専門
心の健康とコミュニティ・文化の関係について
主な担当科目
健康心理学特論、心理学演習、人間科学プロジェクト演習
おすすめの書籍
こんな夜更けにバナナかよ渡辺 一史 (著) 北海道新聞社 コミュニティデザイン山崎 亮 (著) 学芸出版社

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

人(ミクロ)-環境(マクロ)の両方を視野にいれる研究は私の基本スタイルです。大学院を休学して研究所の研究員をしていた時に、介護におけるコミュニケーションのビデオ解析をしました。ことばを使わずとも意思疎通できる。認知症の方を巡るコミュニケーションを支えるのは背景の多様な資源でした。あるいは直近の10年間は別の研究所で自殺予防に関わっていましたが、たとえば「日本はハラキリの文化があるから自殺が多いんだ」という(主に海外からの)コメントに、文化研究の成果で反論できるようになりました。現在は、辛い人が回復する領域(介護、自殺)だけでなく、より幸福に感じられる社会の研究(中核市における社会実験の縦断観察等)を準備しています。それから、人の表現(言説やアート)の背景を探るディスコース分析の研究会をスタートさせます。そしてこれらの応用編として、コミュニティでの問題解決型アプローチを展開しようと、2017年の夏に島根県雲南市で研修を受けてきました。茨木市の更生保護についての共同研究も始めていますが、コミュニティは奥が深くて面白い研究領域です。

研究の社会的意義について、教えてください。

コミュニケーション研究、とくに「通じたつもり」になっているディスコミュニケーションの研究は、応用範囲が広い基礎研究です。文化的な軋轢やコミュニケーションチャンネルの相違、あるいは被災地支援やケアなどの非対称な構造において力を発揮します。一方、自殺予防は今日的な社会課題であって、私が関わった各種の研究成果物や予防プログラム、また効果検証の方法については、科学的な検証を加えつつ実践、発信している応用研究です。全国の自治体で報告させていただく機会もありますが、自殺に限らず、コミュニティ単位での心理学は社会的意義の高いアプローチです。ディスコース分析は、多様な問題状況を脱構築していくための方法といえますが、私(たち)は主たるターゲットに社会病理を置くつもりです。今後は、病理の診断=分析にとどまらず、それを越えた「処方」や「予防」へとつなげていきたいと模索しているところです。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

個人とコミュニティや文化を対にした心理学的な検討のために適切な方法論を確立し、その可能性を明らかにしたいと考えています。また、研究成果を学会に向けて発信し仲間作りをすることと同時に、実際にコミュニティとも共有していくための実践的なツール、たとえばゲーミフィケーションやいろいろなメディアを使っての交流ができると楽しいかなと考えています。キーワードは、コミュニケーション、メンタルヘルスと幸福感、文化的産物、そしてコミュニティです。ちょうど2018年はいくつかの新しい研究課題をスタートさせるタイミングとなったので、研究科の内外に提案しながら、研究を楽しみたいと考えています。そこでもちろん、大学院生の参加を熱烈歓迎します。ぜひ気軽に声をかけてください。多様な領域での議論も楽しみたいし、フィールドワークや調査研究、ディスコースの分析などで、フレッシュな頭脳とアイデアに出会えることを楽しみにしています。

著書等

  • No cover

    身体から発達を問う (新曜社、2003年)

  • No cover

    物語りと共約幻想 (新曜社、2014年)

論文

経歴・業績について