教員紹介

SATO Yosuke

佐藤 洋輔

佐藤 洋輔
所属領域
臨床心理学領域
職位
准教授
専門
臨床心理学、ポジティブ心理学、性の多様性
主な担当科目
臨床心理学特論Ⅱ、臨床心理面接特論Ⅱ
おすすめの書籍
『それでも人生にイエスと言う』ヴィクトール・エミール・フランクル (著)、山田 邦男・松田 美佳 (翻訳) 春秋社

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

LGBTQや性的マイノリティ当事者のメンタルヘルスについて、ポジティブ心理学の視点から研究を行っています。特に、当事者の人々が現代社会の中でどのような生きづらさや社会的障壁を経験し、またその困難に対してどのように立ち向かっているのかについて関心があります。社会の中に存在する偏見や差別をなくしていくことももちろん大切ですが、当事者一人一人がより健康に、「自分らしい」人生を送ることができるように、臨床現場だけでなく、教育、福祉、産業など多くの現場で役立つ支援のあり方について、様々な立場の人々と協力しながら検討しています。

研究の社会的意義について、教えてください。

LGBTQという言葉が広く知られ、多様性が尊重されるようになった背景には、多くの当事者が社会の偏見や差別と戦ってきた長い歴史があります。多様性の実現に向けて社会は一歩ずつ前進していますが、差別や偏見は様々に姿を変え、今もなお私たちの生活に影響をおよぼしていると考えられています。こうした姿を変えた差別や偏見は非常に目に見えづらい形で行われるので、被害を受けている当事者自身でさえ気づかないこともあります。ですから、差別や偏見を社会からなくしていくためには、無意識に行われている差別や偏見を可視化し、議論していくことが必要です。そしてこの構造は、LGBTQだけに限定されるものではありません。無意識的・非意図的な差別について理解を深めていくことは、女性、子ども、高齢者、障害者、人種や民族の問題など、社会的に少数あるいは弱い立場にあるとされる様々な人々に対する抑圧を解消し、ウェルビーイングの向上に役立つと考えています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

「多様性」という言葉を聞いた時に、特定の人々や集団をイメージする人は多いかも知れません。しかし、私はカウンセリングをはじめとした他者と関わる場面において、多様性は誰にとっても大切なものであると考えています。その人のニーズや価値観、好み、生きてきた歴史など、誰一人として全く同じ背景を持っている人は存在しません。そうした一人一人のユニークさに耳を傾け、「一人の人間」として相手を理解することが多様性の目指すべき場所ではないでしょうか。
大学院での学びは、自分とは違う様々な人や文化、価値観、知識と触れあう絶好の機会です。皆さんとの交流を重ねながら、立場や属性、枠組みにとらわれることなく「自分を知り、相手を知る」機会を提供することで、皆さんが新たな知の扉を開くお手伝いをしたいと思います。

経歴・業績について