医療×海外の2軸で歩んできたこれまでのキャリア。海外で活躍するために国際関係学部の学生には世界のことはもちろん、「日本」についてもしっかり学んでほしいと思います。

佐々木 智尋 さん
日本ベクトン・ディキンソン株式会社(2008年度卒業)

2009年3月大学卒業後、富士フイルム株式会社に入社し、医療事業部に配属。主に、海外営業・マーケティングに従事し、米国で約2年、UAEで約5年の駐在などを経験。富士フイルムに12年間在籍後、2021年4月に米国の大手医療機器メーカーであるベクトン・ディッキンソン社(以下BD社)の日本法人の医薬品事業部にマーケティング責任者として中途入社。2023年10月より同事業部の事業部長に就任し、事業立案・組織運営等を担う。

これまでのキャリアと現在のお仕事を選んだ理由を教えてください。

佐々木高校1年生の頃に母をガンで亡くしたこともあり、社会人になったら何かしら医療に携わる仕事がしたいと漠然と思っていました。また、海外で働くことにも興味が強かったので、就活中は、医療×海外という2軸で会社を探していました。そんな中で、富士フイルムがグローバルに事業を展開している企業で、かつ、医療事業にも積極的に投資して様々な医療事業を抱えていることを知り、富士フイルムへの入社を希望しようと思いました。

運よく、富士フイルムに入社し、しかも医療事業部の海外部門に配属され、そこからビジネスパーソンとしてのキャリアが始まりました。幸運なことに、米国やUAEでの駐在も経験させてもらい、現地の社員の方々や代理店とも仕事をすることができ非常に充実した20代、30代前半を過ごせた記憶があります。また、UAE駐在時には、中東・アフリカの医療事業全般を統括していたこともあり、経営的なことをしっかりと学びたいという思いが強くなり、INSEAD(インシアード)というフランスのビジネススクールに通い、MBAを修了しました。

UAE駐在時の2020年初頭からコロナ感染症が世界に蔓延し、出張も全くできなくなり、そこで今後のキャリアを考えていた時に、縁があり現在の会社であるBD社の日本法人にマーケティング責任者として2021年4月に転職しました。今の会社を選んだ理由は、やはり医療には携わっていきたいという想いがあったのと、外資系企業で自分の力を試したかったというのがありました。会社が変わるとカルチャーも全然違いますし、仕事の進め方なども違ったりと、これはこれで非常に面白い経験、勉強になりました。今のところは、非常に楽しく仕事をさせてもらっています。

現在のお仕事について教えてください。

佐々木現在は、医薬品事業部で患者さんが使う自己注射器や、医療機関で医療従事者が使うワクチン用シリンジなどを製薬会社に販売しています。事業部長として、損益管理、中長期の戦略立案、組織戦略などを主に担っています。製薬会社と一緒にお薬に最適なシリンジの開発・検討を行いながら、そのお薬が実際に承認され、世の中に出た時は非常に達成感・やりがいを感じます。

また、同じ事業部のアジアや欧米のチームとの情報交換や、うまくいった施策の共有、海外出張など頻繁にあり、日本にいながらグローバルな環境で仕事もでき、そういった意味でも今の仕事に非常にやりがいを感じています。

一方で、医薬品開発では、患者様の安全性などを踏まえて、開発や臨床の段階で非常に多くのクリアすべきステップがあり、承認まで数年単位の時間を要するところは難しさを感じているところです(お薬自体の開発も臨床途中で中止するケースも多いです)。様々なリスクをできる限り洗い出し、製薬会社、医療機関、そして患者様にとって最適な注射デバイスの開発・供給を日々チームで行っています。

仕事で役立っていると感じられる学生時代の学びや経験を教えてください。

佐々木英語力を在学中につけようと思っており、四条河原町の語学学校に通っていました。アルバイトで稼いだなけなしのお金から授業料を払っていたので、その分、何か吸収してやろうという想いは強かった記憶があります。

3回生の春に、フットサルアジア選手権大会が日本(大阪)で開催され、大会参加国(10数か国)の通訳を募集していることを聞きつけました。これは英語力も鍛えられるし、お金ももらえて一石二鳥だということで、無謀にもすぐに応募したのを覚えています。通訳会社の面接が複数回あり、奇跡的にOKが出て、私はウズベキスタン代表団の専属通訳として大会期間中の約1か月を選手・スタッフと共に過ごすことができました。最終的にウズベキスタン代表は3位になり、今でも非常にいい思い出です。 

学生の皆さんには在学中に日本の歴史や文化についてもぜひ色々と知ってほしいなと思っています。国際関係学部なので、当然、海外の政治や文化などの授業が多いのですが、社会人になって海外駐在したり、駐在でなくとも旅行したりすると、ありがたいことに本当に多くの海外の方が日本という国に興味を持っていることに気づかされ、時には驚かされます。例えば、日本の文化、歴史、食事、などから「なんで電車は1分も遅れずに完璧に運行されているの!?」、「なんで道路にゴミがほとんど落ちてないの?」等、いろんな質問を受けます。京都という土地の利を生かし、在学中にぜひ色々なお寺を訪れたりすると引き出しが増えると思いますし、留学生ともぜひ交流して、彼らが日本のどんなところに興味、関心、疑問を持っているか知っておくと、海外で働く際に使える意外な発見があるかもしれません。

卒業されて感じる国際関係学部の魅力は何だと思われますか。

佐々木国際関係学部には、グローバル志向が高い方や、具体的に自分のやりたいことが明確に決まっている方など、志が高い人が多かったなと今振り返ると思います。また、留学生の方も卒業後に日本で何とか就職したいという方が多く、通常の勉強以外にも日本語の勉強や、就職活動を積極的に行っていたりと、非常に刺激になったのを覚えています。そのような仲間が多くいる環境は非常に重要だと思いますし、自分も頑張ろうと背中を押してくれる、成長を促してくれる学部なのかなと思っています。

後輩学生、国際関係学部を目指す受験生へメッセージをお願いします。

佐々木とにかく思いっきり学生生活を楽しんで、色々と挑戦してほしいと思います。それが勉強でもいいですし、アルバイトでも、旅行でも、サークルでも何でもいいと思います。4年間は本当にあっという間です。仮に挑戦が失敗しても、必ずそこから得られるものはあるはずです。何か学生時代にこれはやりきったというもの(達成感)が1つあると、その後の人生でも何かしらのご自身の指針や、苦しい時の頑張る源泉(動機)になるかもしれません。

また、いろんなことに挑戦する過程で、自分はどういうことに興味があるのか、どんなことにワクワクするのか、これが少しでも見えてくると自分が将来どういうことを仕事にしたいかや、どんなことに携わっていきたいかというヒントになるかもしれません。そういう意味でも、恐れず色々と興味をもったものは挑戦してみて欲しいと思います。上述の私の通訳の経験も、「どうせ失敗したら、その時はしょうがない。死にはしない」くらいに考えていました。でも、挑戦したからこそ、人生でも忘れられない思い出・経験になりました。

最後に、ぜひいい仲間も見つけて欲しいなと思います。卒業後に悩んだり、苦しんだりした時に助け合える仲間や、刺激しあえる仲間はかけがえのない財産になると思います。社会人になって思うのですが、多くの場面で結局、人とのつながりや何気ない会話でビジネスがうまれたり、商談がうまくいったりすることが多くあります。学生生活、頑張ってください、陰ながら応援しています。

2024年2月更新

MORE INTERVIEWS