教育内容

先端・展開科目

現代法務特殊講義

本講義では、理論と実務の架橋が課題となる、その時々の最先端の問題で、かつ、先端・展開科目の個別科目に含まれないテーマを取り扱う。

外国法務演習Ⅰ/外国法務演習Ⅱ

米国アメリカン大学ロー・スクールとの提携・協定により、夏期休暇を利用し、現地で3週間程度の集中的な学習・研修を行う。期間中に、同ロー・スクールにおける講義・演習を受講したうえで、連邦議会、連邦最高裁判所、連邦行政機関、郡刑事施設、大型法律事務所などを訪問して、法実務の実際についてフィールドワークを行い、米国の法制度・法律事情に関する理解を深める。

中国法

現代中国法(中華人民共和国法)の中でも、特に私法分野に重点をおき、その基礎的知識・理解の修得を目標とする。授業では、できる限り、比較法的素養、豊かな国際感覚と広い視野を身につけさせることにも留意する。

英文契約実務

本授業では、英文契約書を読み力、簡単な英文契約書を作成する力をつけることを目的とする。まず、売主所定の契約書と買主所定の契約書を並行して読むことによって、売主・買主双方の立場から当該条項に持つ意味・立場の違いについて検討する。そして、売買だけでなくあらゆる契約書にも使われることが多いボイラープレート(一般条項)について重点的に解説することにより、応用力を養う。売買契約書に加え、秘密保持契約、ライセンス契約、代理店契約等も読み込み、企業法務にかかせない英文契約の基礎力を身に付ける。

渉外弁護士実務

本授業においては、法曹としての英語による基本的なコミュニケーション能力を養成することを主眼とし、いろいろな教材を取り上げて英語に親しむことを基本的な目的とする。英文契約書、英文定款、入国管理に関する英文による説明、ビザに関連する問題、刑事手続きにおける被疑者・被告人の基本的権利の告知など、できるだけ種々の場面における英語でのコミュニケーション能力の養成を行う。

現代社会と犯罪

広範多様な犯罪現象を対象として、その科学的な認識、その原因あるいは促進要因、その防止と犯罪者の矯正および再社会化に有効な手段について検討を行なう。その際、犯罪学における世界的な理論状況に留意するとともに、犯罪要因としては犯罪者の個人的特質よりは社会的諸過程に注目し、また刑罰および保安処分といった法的な犯罪者への対処手段だけでなく犯罪予防に向けた各段階での取り組みを重視する。刑事法学の学習とあいまって、犯罪に関する具体的で総合的な理解を形成することが目標とされる。

国際人権法務

「国際人権法務」では、まず国際人権法の特徴と歴史を考えた上で、国際人権法における国の義務の性質を検討し、ついで国際人権法の国際的および国内的な実施手続について考察する。国際人権規約など国連の人権文書を主な素材とするが、地域的な人権文書にも言及する。さらに、これを踏まえて日本の裁判所における国際人権法に関する判例と、人権条約実施機関の先例とを比較検討することにより、(1)日本の国際人権法に関する判例を批判的に読む(2)日本の裁判実務において国際的な経験をどのように応用することができるかを考える、ということを2本の柱とする。

執行・保全法

本講義は、法学未修者2年生と法学既修者1年生を対象とする講義であり、判決が確定するまでを学修する民事訴訟法 Ⅰ・Ⅱの、その後の、具体的な権利救済手続をめぐる諸問題を扱う。
具体的には、民事保全手続の概要および基本的諸問題、また、強制執行手続の概要、担保権実行手続の概要、強制執行に対する救済手続、などを学修する。

金融法

金融法に関する基本的知識や実務の取扱いを習得することを目標とする。現代的金融取引については、その軸を金融商品取引法に据え、金融商品取引法の基礎を習得していく。その際、新たな金融商品の登場とそれに伴う紛争の処理にも対処できるように、単なる投資者保護に終始することなく、規制の理論的側面に解説の重点を置く。また、銀行・証券・保険の垣根解消に向かうこれまでの取り組みと現在の到達点を検討するとともに、資金調達・資産運用の具体例を取り上げていく。

保険法

保険契約法を中心に保険業法も含めて講義の対象とする。保険取引は、射倖契約性を有するため、契約当事者および関係者に善意性ないし誠実性が要求され、一般の契約法とは異なる独特の制度が存在し、これを理解しなければ、適切な紛争の解決ができない。本講義では、保険法の体系的理解とともに、損害保険と生命保険を中心に、それぞれの法的特色を抽出し、それに基づき実際の判決例を検討する。保険法上の最近の問題点や今後増加するであろう紛争事例を取り上げることとする。

倒産処理法務

民事の実務家は、管財人または申立代理人、倒産者の相手方代理人として、あるいは、倒産裁判所の裁判官または倒産者が関係する事件の担当裁判官として、倒産法の関係する事件を扱わなければならない。破産手続を中心として各倒産制度に共通する制度や諸問題について検討し、倒産制度全体に対する基礎的理解を図りたい。

倒産処理法務演習

今日、年間17万件を超える倒産法の新受件数があるので、法律実務家になると直ちに、申立代理人・管財人・相手方代理人・倒産担当裁判官等として、多方面にわたり実務上の倒産処理業務を余儀なくされる。そこで、本演習では、倒産制度全体に対する基礎的理解を前提にして、破産法・民事再生法(企業倒産ばかりでなく個人倒産も含む)を中心に、実務上の問題や事例を扱うことによって、現実的な事例分析力や応用力の涵養を目指す。

企業法務

企業を取り巻く法務業務のうち主に組識に関連するものを扱う。会社の設立、株主総会や取締役等の会社の機関、コンプライアンス、 コーポレート・ガバナンス、ディスクロージャー、会社の再編、会社の清算・解散等をその主な内容とする。近年の改正により、会社法の実務も急変していることを踏まえ、会社の誕生から消滅までに発生する種々のケースを具体的に説明・討議する事により実務的能力を養成する。

企業法務演習

企業を取り巻く法務のうち主に第三者との取引行為に係わる事項を主に扱う。売買・貸借等の契約に関するもの、債権の管理・回収に関するもの、クレーム等の紛争に関するもの等をその内容とする。時間の許す限り、渉外取引関係に関する事項を加えていく。企業における取引全般の概要を掴むとともに、実務的能力を養成する。

税法務Ⅰ

この講義では、税法と憲法との関係から、税法の基本原則や解釈の考え方を学んだうえで、所得税法を中心に税法上の基本問題について過去の判例や裁判例など具体的な事例を素材に学修していく。あわせて、租税の賦課徴収や争訟手続について、行政法や訴訟法との接点に留意しつつ、その基本的な考え方や仕組みを理解する。

税法務Ⅱ

この講義では、税法務Ⅰで学んだ税法の基本原則や基本問題に関する知識をふまえ、所得税法と法人税法の応用問題について、具体的な事例を素材に学修を進めていく。とくに税法と民商法との関係から、課税要件の考え方や解釈のあり方についての理解を深める。

税法務演習

法曹は租税法と無縁でいられない。課税問題を考慮しない事件処理は適切な解決とは言えない。課税処分に対する税務争訟は行政事件のなかでも特殊性が顕著である。
このような認識を基本にして、課税問題にも対応した事件処理能力の養成と税務争訟を遂行するための基本的実務知識の習得を目的とする。私法と税法の双方向からのアプローチが求められる事例問題を演習の素材に選ぶ。税務争訟の書面や税務書面を実際に起案する演習を行う。

知的財産法務Ⅰ

科学技術、ビジネス、マーケティングの手法などの進歩(ないし変化)が急速な現代にあって、新たな知的財産問題が登場することは珍しくない。現場の実務家には、既存の法の解釈をもってこのような未知の問題に対する妥当な解決を探ることが求められる。本授業は、知的財産法のうち、特許法、実用新案法、意匠法、商標法を主として扱う。また本授業は、これら法分野に関する基礎的な知識の習得を目標とするものであるが、同時に、未解決の問題や未知の問題に対処するための思考力の基礎を養うことも目指す。

知的財産法務Ⅱ

本授業目では、知的財産法のうち、知的財産法務Ⅰでは取り上げていない問題、不正競争防止法、著作権法、国際的な知的財産権侵害紛争等を扱う。

知的財産法務演習

本演習では、特許法と著作権法を中心に、課題を巡って受講生が議論を行い、基礎的な知識を整理して理解を深めるとともに、適切な文書化、書面化も視野に入れながら、知財リーガルマインドの醸成を図ることを目的とする。

国際民事訴訟法

国際取引や国際家族法上の渉外紛争事例が生じた場合の法的紛争解決に伴う典型的な問題を理解させ、それに対する対応と留意すべき問題を考え、検討し、対処できる基礎的な能力を取得させることを目的とする。各回毎に下記に掲げた問題点を中心とした具体的な判例又は設例を設け、それをレジメとして予め配布し、質疑応答の方法で授業を進め、説明を加える。適宜設例についての対応若しくは検討をレポートとして提出させ、事例分析、外国法制の調査等についても基礎知識を修得させたい。

少年法

少年法の歴史、理念、構造、手続などについて理解したうえで、捜査手続、調査・審判手続、処分執行手続において弁護士(付添人)がどのような活動をなしうるか、またなすべきなのかを刑事手続との対比において理解する。あわせて、少年事件における被害者の関わり方、救済の在り方についても考察する。

公共法務Ⅰ

(憲法訴訟)
憲法訴訟(憲法上の争点が争われる訴訟)において弁護士は憲法上の争点をどのような訴訟の中でどのように主張するか、裁判所はどのような憲法判断の手法をとることができるか、最高裁の憲法判断はどのような法的な意味を有するか、といった憲法訴訟に特有の法的問題について検討を加え、さらに、憲法訴訟の意義と限界につき分析を加えることを通じて、法曹として訴訟において憲法問題に出会った場合に問題の所在を正確に把握することができるために必要な素養を身につける。

公共法務Ⅱ

(行政訴訟)
本講義では、行政法や憲法などの公法分野についての基本的な知識を既に獲得していることを前提に、具体的な行政訴訟に関する事例を中心として、訴訟手続的な問題や個別の重要な訴訟類型などの各論的な領域を取り上げる。これによって、受講生が行政訴訟の実務的な知識を身につけ、将来法曹として活躍する際に。それらを適切に運用することができるようにすることを目的とする。
行政事件訴訟法は、現在、実務及び学会で改革論議が行われているが、本講義では立法論的な検討も取り上げるものとする。

公共法務演習

憲法上の緒論点が議論された実際の行政訴訟事例を素材に、ケースメソッドの方式により、憲法上、行政法上の論点、実務家として必要とされる事実調査、検討、解釈のありかた、書面作成、尋問の方法などについて、議論、発表を通じて、理解し、習得できるようにする。

経済刑法

経済犯罪や薬物犯罪、脱税等、実務で重要な特別刑法・行政刑法および経済刑法で問題となる詐欺罪などの財産犯や文書偽造罪等を扱う。判例を中心に、具体例に即した双方向型の講義である。受講生が、すでに習得した刑法および刑事訴訟法に関する技能を、これらの刑事事件に応用できる素養を養うことを目標とする。

刑事弁護論

具体的設例を素材にして、刑事弁護の実務に関するケーススタディを行なう。あらかじめ用意された具体的な事例に基づく設問に対して、どのような法的問題点があるのかを前提にしつつ、実務的な対応策や解決策があるのかを考えさせる。受講生が、刑事事件の弁護人として、これまでに学んだ刑事法の素養を生かして、局面に応じた柔軟かつ適切な対応ができるようになることが、本講義の目標である。

刑事法務演習

刑事裁判における尋問、接見、取調、弁論、判決起案等の実務的に重要な技術を養う演習である。模擬尋問、模擬接見、模擬取調、模擬裁判等でのロールプレイのほか、フィールドワークでの体験とレポートを通じて、刑事手続の技術を実地に即して磨いていくことが目標である。

環境法務Ⅰ

(総論)
わが国の環境法は1960~70年代の公害法から始まり、今日では、公法、私法、国際法等に関連する広い分野に関連し、同時に、独自の法理念や手法を確立するにいたっている。この講義では、環境法が発展してきた歴史・独自の法理念や手法といった環境法の総論部分を学ぶとともに、地球環境問題に代表されるグローバルな広がりを持った環境問題にどのように法的に対応するかを検討する。
この科目の履修により、今日の社会で多くの紛争が存在する公害・環境問題に法実務家としてどのように対処していけば良いかを学ぶことができると同時に、行政法・民法・国際法といった関連する法応用力を養成することも可能となる。

環境法務Ⅱ

(各論)
高度に発達した技術社会は、私たちの生活を豊かにする反面、公害・環境汚染という大きな問題をももたらし、今や地球環境の危機という問題にも直面するにいたった。ここでは、私たちの生活スタイル、社会・産業構造の変容まで迫られている。このような課題に直面した環境法制はどのようになっているのか。そこでの市民の権利と責務はどうなっているのか。環境法務は、これらを明らかにしつつ、環境問題の法的側面からの解決への取り組みの手がかりを得ることを目的とするものであるが、本講義は、環境法務・に引き続き、具体的な国内法制を対象として検討する。

環境法務演習

法律実務家として、公害・環境紛争事例に直面した際に、その解決方法を見いだすための力量を養成することが目的である。したがって、環境法務Ⅰ、 II の受講により環境法の基本的知識を身につけているとともに、行政法、民法等の実定法、訴訟法についての知識が必要となる。同時に、公害・環境紛争は、既存の実定法によってだけでは適切な解決が難しい場合が少なくないので、法政策的な視点からの検討も重要である。さらに、公害・環境問題の実態に触れる機会も重要である。
以上のような目的を達成するために、この授業では、後述するような具体的事例を受講生に提示し、それらを演習形式で様々の角度から検討することになる。

家事法務

家族法の基礎知識があることを前提に、現実の家族紛争例の解決方法を検討する。重要な判例の事案をモデルに、紛争の背景、当事者の意思、関係者の利害を探り、民法の規定との関係、考えられる解釈、派生する論点などを追求する。比較法的観点もふまえた先端的な法理論、法実務、行政や各種専門家との連携などについても配慮しつつ、これらの検討を通して、家族紛争の特徴とあるべき解決方法を考える。

消費者法務

現代社会で重要となっている消費者問題と法のかかわりにつき、前半は消費者取引の問題を中心に、後半はとくに欠陥商品事故などの安全問題との関連で検討する。民法の基礎知識とその応用をふまえつつ、消費者契約法や特定商取引法、製造物責任法、住宅品質確保促進法などの特別法も含めて多角的な視点から検討を行う。

都市・住宅法務 Ⅰ

今、高度経済成長時代からの負の遺産に加えて、高齢化・少子化の急速な進展、バブル経済の崩壊と産業構造の変化、グローバリゼーションの中での産業空洞化など社会構造の変化に伴い、都市法制は再編を迫られている。ここ10年の頻繁な法改正はそれに対応しようとするものであるが、しかし、基本的な従来の構成はなお維持されており、そのほころびの中で種々の紛争も生じてきている。
本講義は、基本的には都市計画法をベースとしながら、それと関連する諸法制をも視野に入れて、法制の中心的な骨組みと、そこでの紛争の主要な場面を軸に学んでいこうとするものである。

都市・住宅法務 Ⅱ

都市・住宅法務の私法面、殊に不動産取引(売買、賃貸借、仲介、等)を素材に、取引紛争がどのような形で生じるか、学生がこれまで体系的に学んできた民法(契約法、不法行為法)に立ち返ってこれが不動産取引紛争にどのように応用されるのか、不動産取引をめぐる特別法(不動産登記法、借地借家法、宅建業法、住宅の品質確保促進法、建築基準法等)について、理論と実務の両視点から検討する。

労働法務

労働関係は、使用者と労働者との間の労働契約を基礎に、労働基準法を始めとする実定法、さらには労働組合ないし従業員代表を通じて成立する集団的規範によって規制される。同時に、人事管理システムの在り方も労働関係に強く影響する。この科目では、このような複雑な規制関係の中で発生する法的問題を的確に把握し、それを労使の利害の対立とその調整の観点から適切に解決するため、特有の法理念、法概念、法理論を適用して法的構成を行う能力の獲得を目標とする。対象とする分野は、個々の労使間の労働条件をめぐる個別的労働関係ならびに労働組合と使用者との間の集団的労使関係を中心とするが、このような区分に合致しない先端的問題、たとえば職務発明や企業の組織変動と労働者との関係なども扱う。

労働法務演習

本演習は、裁判例などの紛争の具体的事例を素材として、法律や判例についての理解を深め、具体的事件に対する問題解決能力を身につけていくことを目標とする。受講生は、事前に提供される事例について、法的問題点を抽出し、具体的事案の解決について検討しておく必要がある。演習では、担当者の解説とともに、担当者と受講者あるいは受講者同士の議論を通じて理解を深めていくことにする。

経済法

本講義では、経済法の中核である独占禁止法の解釈・運用をめぐる諸論点を扱う。規制緩和が進展する中、企業活動の基本的ルールとしての独占禁止法の重要性が認識されつつある。独占禁止法を正確に理解し使いこなすためには、その背景にある経済政策や経済学理論を知った上で、独占禁止法特有の事案分析の手法を具体的に体験しなければならない。この授業は、事例分析を中心にすえて、具体的に独占禁止法に特有の解釈論、事案分析の手法を理解することを目標とする。授業の進め方としては、教員による講義の後、テキストに掲載されている事例をテーマに則して取り上げ、教員との双方向的やり取りの中で論点について理解を深める方式をとりたい。

経済法務演習Ⅰ

経済法では、独占禁止法の概要と基本論点の理解に重点を置いているのに対して、経済法務演習(Ⅰ)では、ケース・スタディに重点を置き、重要先例に関する報告と討議を通じて応用力を身につけることが獲得目標となる。独占禁止法においては、重要先例をいかに深く、かつ、数多く読みこなせるかが、応用力向上の決め手となる。経済法務演習では、重要先例の概要を掲載した教材を用いて、そこに事例ごとに掲げられた設問を手がかりとして各先例のポイントについて議論を深めたいと考えている。

経済法務演習Ⅱ

独占禁止法は、他の法分野に比べ相対的に、いわゆる「判例法」(判審決例などの先例の蓄積によって形成される「法」)の重要度が高いとされている。そこで、個別の事案についての理解が求められることになるが、その場合に注意を要する事柄として、各事案によって示された命題(「法」)の「射程距離」がある。ある命題をどこまで一般的に通用させることができるかについては、その命題がどういった背景事情と手続的な経緯の中で生み出されたかに依るところが大きい。独占禁止法における実体法を形成する個別の事案について、その「射程距離」を探る手段を理解し、それにより実体法に関する理解をより深めるための素地とするべく、「手続法との相関関係の中での実体法としての独占禁止法」について学ぶ。

国際関係公法Ⅰ

「国際関係公法Ⅰ」は国際法の総論にあたり、その構造を中心に講義する。国際法について初めて学ぶ学生もいることから、「国際関係公法Ⅰ」では、国際法の内容について国際法規則の基本を理解できるうようにする。具体的には、国際法の成立形式、国際法と国内法の関係、国際法の主体、国際経済の国際法的規制、国際法上の空間秩序、国際紛争の平和的処理、国際の平和と安全などについて学ぶ。

国際関係公法Ⅱ

「国際関係公法Ⅰ」が国際法の総論にあたり、その構造を中心に講義されるのに対して、「国際関係公法Ⅱ」は国際法の解釈および適用を中心にその動態を扱う。とくに、日本の国内裁判所と国際裁判所の双方における法曹実務において必要となる、国際法の解釈と適用に必要な知識とその実際の操作の習得を目的とする。国内法の諸分野の学習に専心してきた法科大学院生にとっては、国内法とは異なる国際法の特徴のポイントを理解することができれば、この科目の目的は達成されたといえよう。なお、科目の性格からして、体系的・理論的な考察というよりは、判例、国家実行などの資料を用いた実践的な検討を中心とし、可能な限り受講者に報告を分担してもらうなど、双方向的な授業を心がける。

国際関係公法演習

本演習は、国際法全般にかかわる重要な判例(国際司法裁判所を中心とする)の研究を行うこととする。最初の数回は、薬師寺が国際法判例の読み方および国際司法裁判所の仕組みについて講義を行い、これをもとに討論を行う。それ以後は各分野ごとに重要な判例に関して受講者に報告してもらい、議論を行うという形を予定している。具体的には、国際司法裁判所の仕組みと働き、慣習法の成立要件、条約と条約法、国家と政府、国家免除、国家領域、海洋法、国内問題と個人の地位、国家責任、国籍、国内的救済の完了、武力行使と自衛権、武力紛争法のテーマにちなんだ事件を取り上げる。

国際関係私法Ⅰ

国際私法の中で特に国際家族法の分野を対象とし、国際家族紛争に関わる法制度の概要の理解を目的とする。家族法は特に国によって宗教や民族的伝統に応じて制度の違いが大きい分野で、実質法と手続法との関連度が高い。実例も多く問題が理解しやすい国際離婚に重点を置いて、一般的な抵触法問題及び手続法問題も可能な限りその実例に則して説明する。抵触法理論に過度に傾かず実際の国際家族紛争に対処するための実務的な法知識も得られるように配慮している。

国際関係私法Ⅱ

この講義では国際取引に関わる国際私法の財産法部門、契約、物権・担保物権、不法行為、債権譲渡を中心に取上げるが、同時に国際売買に関する統一法、国際的な物品輸送に関わる条約体制、銀行信用状に関するICC規則等についても説明する。国際取引に関わる基本的な私法適用に関して理解ができるようになることを目的としている。

国際関係私法Ⅲ

国際私法の中で特に国際取引法の分野を対象とし、国際取引に関わる法制度の概要の理解を目的とする。具体的は国際間の物品の輸送(インコタームス)、国際間決済(信用状統一規則)を前半は説明し、後半は『ウィーン売買条約(CISG:「国際物品売買契約に関する国際連合条約」)』について勉強していく。実際の国際取引に対処するための実務的な法知識を得られるように配慮している。

国際関係私法演習

国際関係私法Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、国際民事訴訟法の各講義で習得した国際家族法、国際取引法及び国際民事訴訟法の知識を実際に生じている具体的問題に即して、適切に処理することができるように、分析と関係法規の適用処理の実務的な能力を習得することを目的とする演習形式の授業。

コーポレート・ロー先端演習

商法演習Ⅰ・Ⅱの履修をベースとしつつ、さらに発展的・実践的なコーポレート法分野における法的問題解決力の錬成を目的とする演習である。毎回、テキスト中の指示する箇所の問題を全員に解いてきてもらい、発表担当による発表と、それを踏まえた双方向演習の形で授業を展開する。要は、法律家として、企業(クライアント)から、法的問題解決を求められた時の対応力を鍛えるための予備的訓練を行うものである。

商取引法先端演習

商法演習Ⅰ・Ⅱの履修を前提に、さらに商取引法分野における法的諸問題の解決力を錬成することを目的とする。運送法に見られるように、商取引法の分野は実務的な領域であり、また、手形・小切手法は、重要な企業金融の道具として、中小企業の法実務に欠かせない領域である。この演習では、これらの分野における紛争事例を取扱いながら、法律家として、企業から法的問題解決を求められた時の対応力を鍛練していく。

英米私法

英米法圏(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア等)における私法学の基本概念と主な法制度について学ぶ。具体的には、英米私法の歴史、大陸法との異同、契約法、財産法、不法行為法、会社法、信託法といった内容を取り扱う。英米私法学の理論的基礎から、それぞれの法体系の特質、各法制度の特色を理解し、英米私法の実務の基盤となる知識を身につける。

特定研究

法曹資格を持つ、実定法領域における将来の研究者の育成を目的とし、研究者を志す者について、希望する研究分野の教員より研究指導を受けながら、1万字ないし2万字のリサーチ・ペーパー(研究論文)を完成させるものである。

現代法務特殊講義(京都セミナー)

京都セミナーは、オーストラリア国立大学、シドニー大学の法科大学院生等とともに、日本法の基礎を英語で学ぶ授業である。日本人教師と外国人教師が一緒に講義する授業内容を理解したうえで、受講生同士が討論を行い、各法領域の諸問題について国際的観点から理解を深めることを目標としている。

司法臨床研究

「司法と心理の交差」をテーマに、主として女性、子どもの被害に関する司法と心理の基礎知識の修得とともに、心理的カウンセリングとリーガル・カウンセリングの面談技法の基礎を、その相違にも着目してロールプレイなどを通じて体得する。臨床心理士としての実践も積んでいる本学応用人間科学研究科教員と、弁護士としてDV事件等にも数多く携わってきた法務研究科教員とが共同で授業を担当する。

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