法科大学院

FD活動

2022年度 第1回

  • 日時 2022年7月12日(火)15:15~16:15
  • 場所 205教室
  • 出席者 14名
テーマ 授業内課題に対するフィードバックについて
報告者 ①趣旨説明  渕野 貴生 教授・FD委員長
②中山 布紗 教授 (民法)
③湊 二郎 教授 (行政法)
④山口 直也 教授 (刑事訴訟法)

 2022年度の第1回FDフォーラムでは、「授業内課題に対するフィードバックについて」をテーマとして取り上げた。授業の進行・進展に応じて、受講生の理解度及び到達度を確認し、理解が不十分な点や誤っている点をフィードバックして、受講生がその後の学修に活かすことができるようにすることは、法科大学院の教育として必須不可欠である。法務研究科では、従来、科目の特性を踏まえながら、各教員が、各々の授業において、小テストや中間到達度検証、さらには任意の提出課題などを課すなどの工夫を積み重ねてきた。しかしながら、近年、1クラス当たりの受講者数が増加しつつあり、さらに、法学部の法曹コース科目の担当が求められるなか、授業内課題に対するフィードバックの方法にはさらなる工夫が必要となってきているといえる。そこで、今回は、法律基本科目の授業担当者から、どのような目的でどのような授業内課題を課し、提出された課題に対してどのような方法でフィードバックを行っているかについて報告してもらい、教員間で意見交換とグッドプラクティスの共有を図ることとした。

 まず、中山布紗教授から民法Ⅰ、民法演習Ⅰ・Ⅱの事例を中心に紹介があった。民法Ⅰでは、中間到達度確認試験を行い、事例問題を手書きで起案した答案を提出させ、添削して返却しているとのことであったが、事前に起案プロセスのシミュレーションができる資料を配布してそれに沿って起案させたうえで、採点・添削済答案を返却する際に、上記資料を見ながらレポートとして作成した場合と、試験中許可六法のみを頼りに答案を作成した場合との違いを考えるように促しているとのことであった。また、民法演習Ⅰ・Ⅱでは、その日の授業で取り扱う内容に関連する簡単な事例問題を板書し、即時に答案構成の作成をさせ、受講生を指名し答えさせているとのことであった。また、中間到達度確認試験を実施したうえで、添削答案返却後に、手書きでの再起案を提出させ、再起案の提出と引き換えに解説を配布するという多段階でのフィードバックを行っているとのことであった。

 次に、湊二郎教授から行政法A、行政法演習Ⅱを事例に紹介があった。行政法Aでは、当日の授業で扱う内容を出題範囲とする小テストを、授業の始めの5分間で実施し、小テスト直後に簡単な解説が行われている。解説の際に、受講生を指名して答えさせ、理解度を確認することも行っているとのことであった。行政法演習Ⅱでは、授業で扱う問題について、予め受講生を指名して、事前に答案を提出させている。提出答案は締め切り日当日に、添削前答案を受講生全体にmanabaを通じて共有したうえで、授業においては、添削した答案をスクリーンおよびZOOMの画面共有機能を使用して、受講生全体に共有しながら解説し、授業後に答案提出者に添削答案を返却しているとのことであった。なお、添削答案は、受講生の要望により、提出者でない受講生も事後的にもWeb上で閲覧できるようにしているが、活用例は少ないとのことであった。

 最後に、山口直也教授から刑事訴訟法Ⅰ、刑事法実務総合演習を事例に紹介があった。刑事訴訟法Ⅰでは、各回の授業で予め質問事項を提示しておき、授業でアトランダムに指名して答えさせたうえで、授業内で解説するとともに、授業後に解説部分をmanabaに掲示している。また、中間到達度検証を実施し、基本論点に関する事例問題について解答させたうえで、添削・採点して返却しているとのことであった。さらに、任意提出課題として、各回のレジュメに当該回の理解を深めるための1000字程度の文章問題を掲示し、授業後に解説をmanabaに掲示するとともに、受講生が起案を提出した場合には添削したうえで返却し、さらにメールなどで質問にも対応しているとのことであった。ただし、任意課題を提出する受講生は少数とのことであった。刑事法実務総合演習では、授業で扱う事例問題について、予め受講生を指名して事前に答案を提出させ、授業前に添削したうえで、manabaに掲示して受講生全体に共有し、授業で添削答案を参照しながら解説を加えているとのことであった。また、問題文3000字程度のオリジナルの発展的事例問題を中間レポートとして課し、提出された答案を添削して返却するとともに、出題趣旨及び講評をmanabaに掲載しているとのことであった。

 以上の報告を受けた質疑・議論では、フィードバック後に受講生が問題点を修正できているかどうかをさらに個別にフォローすることが効果的であり、かつその必要性も高いが、他方で、受講生数が増加するにつれて、個別の指導に多くの時間を割かなければならなくなるので、費用対効果を考えながらフィードバックの方法を模索する必要がある、多くの受講生が同じ問題点を持っていたり、同じ間違いをしているので、添削内容をある程度共通化することで、フィードバックを効率化することが可能であるなどの意見が出された。

 以上のように、本フォーラムにおける各報告と質疑応答・意見交換を通じて、授業内課題に対するフィードバックの方法についてのノウハウが共有されたといえる。共有された課題とグッドプラクティスについて、2022年度秋学期以降の授業運営において、各教員が活用していく旨が確認された。

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