法科大学院

FD活動

2022年度 第2回

  • 日時 2022年11月22日(火)15:20~16:15
  • 場所 205教室
  • 出席者 12名
テーマ 在学中受験に向けた受講のあり方について

 2022年度の第2回FDフォーラムでは、「在学中受験に向けた受講のあり方について」をテーマとして取り上げた。司法試験制度改革の一環として、2023年度より、司法試験の実施時期が7月に変更になるとともに、法科大学院在学中に司法試験を受験することができる制度がスタートする。本学法科大学院においても、院生の在学中受験に対する関心は非常に高く、当初の予想よりも多くの院生が受験を希望しているとの情報が得られている。在学中受験を行うためには、司法試験直前期にあたる未修3年次・既修2年次春学期に、司法試験受験に向けた学修時間を集中的に確保することが有効であると考えられることから、法曹コース出身入学者および訴訟法の履修免除を受けた者を対象に、一部の科目について、正規の受講セメスターよりも前のセメスターでの受講を推奨するという対応(前倒し受講)を取った。一方で、前倒し受講をしている院生の学修の様子を見ると、負担が加重になっているのではないかと懸念される状況も見られるところであり、さらに、前倒し受講を辞退する院生も複数名見られる状況にある。 

 そこで、今回は、前倒し受講対象科目の授業担当者から、前倒し受講をしている院生の学修の進捗度や達成度、あるいは正規受講生との相対比較などについて報告してもらい、前倒し受講のメリット・デメリットや在学中受験に向けた指導のあり方等について教員間で意見交換とグッドプラクティスの共有を図ることとした。

 趣旨説明ののち、まず、北村和生教授から行政法演習Ⅰ・Ⅱについて紹介があった。行政法演習では、前倒し受講生が参加していることで授業運営に変化はないが、前倒し受講者のなかに辞退者が複数いることが報告された。また、前倒し受講生の方が、再履修受講生と比べて学力は相対的には高いという印象があるが、当初の予想よりは差は小さく、前倒し受講生が在学中合格を確実にするためには、もう一段の学力の引き上げが必要となるとの指摘がなされた。他方で、在学中受験自体には、司法試験を実地で経験するという点でも十分に意味があるので、在学中受験の受験資格を得るために前倒し受講が必要不可欠な科目以外の科目については、必ずしも前倒し受講を推奨する必要性は低いのではないかという問題提起がなされた。

 次に、渕野貴生教授から、刑事訴訟法演習について紹介があった。刑事訴訟法演習でも、前倒し受講者のなかに辞退者が複数おり、受講生にとって前倒し受講がかなりの負担になっている様子がうかがえるとの報告がなされた。一方で、前倒し受講生も、基本的事項は十分に理解できており、さらに、応用的論点についてもある程度まとまった答案を書くことができているとの指摘がなされた。ただし、やはり在学中合格を確実にするためには、もう一段のステップアップが必要との認識も示された。さらに、前倒し受講をしている院生も、履修科目数の多さに起因する負担感は相当大きく、余裕をもって前倒し受講をしているわけでは必ずしもないという指摘もなされた。その結果、渕野貴生教授からも、在学中受験の受験資格を得るために前倒し受講が必要不可欠な科目以外の科目については、必ずしも前倒し受講を推奨する必要性は低いのではないかという問題提起がなされた。

 以上の報告を受けた質疑・議論では、法学部の法曹コースにおいて基礎学力を身に付けることが重要であり、法学部との一層の連携強化が必要ではないか、一般的に学部のときの成績と比べて法科大学院の成績は下振れするので、過剰に深刻に受け止めないように助言していくべき、前倒し受講対象科目だけでなく法律基本科目全体の学修状況を構造的に把握したうえで指導していくべき、入学時のガイダンスにおいて法曹コース出身者等に前倒し受講を推奨するという方針について再検討すべきではないか、などの意見が出された。

 以上のように、本フォーラムにおける各報告と質疑応答・意見交換を通じて、前倒し受講を含めた在学中受験に向けた授業方法や指導方針についてのノウハウが共有されたといえる。共有された課題とグッドプラクティスについて、今後の授業運営ならびに院生に対する指導において、各教員が活用していく旨が確認された。

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