法科大学院

FD活動

2022年度 第3回

  • 日時 2023年2月28日(火)15:45~16:45
  • 場所 601東
  • 出席者 16名
テーマ 立命館大学法科大学院での教育活動について
報告者 松宮 孝明 教授
村田 敏一 教授

 本年度の第3回FDフォーラムでは、長年にわたって立命館大学法科大学院における教育活動ならびにFD活動をリードしていただき、今年度末でご定年を迎えられる松宮孝明教授と村田敏一教授に「立命館大学法科大学院での教育活動について」をテーマにご報告いただいた。これまでの本研究科での教育・FD活動を振り返っていただき、今後の課題について教員間で意見交換と情報共有を図ることとした。

 松宮教授からは、第1回現行司法試験前後の法科大学院の取り組みと刑法教育におけるFDという2つの点についてご報告いただいた。前者については、法科大学院発足当初は、教授会を中心とする「新司法試験研究会」を通じた論文模試とエクステンション主催の短答模試・弁護士ゼミとの両輪で、院生に対して法的文章を書く力の涵養と各法分野の基本的知識の修得を目指した。ところが、2007年の第1回認証評価において「新司法試験研究会」が受験偏重と指摘され、模試・答練、弁護士ゼミを全面的にエクステンションセンターに委託する体制に変更した。しかし、その後、全国の法科大学院の司法試験合格率の低下が問題視されるに至り、現在は、正課授業の中で司法試験の過去問を扱うなど、起案能力の涵養を重視した指導が認められるに至っている。また、後者については、正課で開講できる単位数が厳しく限定されているため、授業で重点的に取り扱う項目・論点を絞らざるを得ない。刑事法展開演習において刑法領域の担当回を増やすなど、カリキュラム上、一定の対応は行ったが、なお限界があり、基本的判例知識の底上げなど、正課で足りない部分は、自主ゼミでの取り組みで補充せざるを得ない。しかし、既修入学者については刑法演習以外は必須科目ではないので、刑事法展開演習等を選択しない院生、自主ゼミにも参加しない院生に対してはフォローできないという問題点がある。

 村田教授からは、FD活動の目的・目標をしっかりと定めることの重要性と商法教育についてという2つの点についてご報告いただいた。前者については、法科大学院におけるFD活動の目的は、司法試験の合格水準を修得させることにある。FD活動の自己目的化に陥らないように常に意識する必要がある。とくにFD活動を長くやっていると、テーマが尽きてきて、どんどんと細かい論点に入り込み、司法試験対策の基本を見失うおそれがあるので、本末転倒を避けるということを肝に銘じなければならない。また、後者については、院生に正課で合格できる力を身に付けさせるために、答案を書かせることにこだわってきた。具体的には、中間到達度確認も最終試験も120分試験を実施してきた。90分試験と120分試験とは全く別物であり、本番と同じ条件に体と頭を慣らすことがぜひとも必要である。併せて、ロースクール既修入学の最初から司法試験問題を意識させることも必要である。要は、司法試験から逃げない姿勢を醸成すべきである。また、基本書と重要判例の反復学習を促し、「暗記」させることも大事である。基礎知識を定着させるためには、暗記をおろそかにしてはならない。

 報告後の意見交換では、基本判例の規範や基本概念の定義など最低限の基礎知識を早い段階で定着させて、学力の底上げを図る必要があるが、そのためには、学部教育との接続ならびに法学部との共同FD活動を一層強化する必要があるのではないか、書く力を身に付けさせるために試験の機会を増やすことは有効と思われるが、時間割上の余裕がない状況では土曜日等の活用も検討する必要があるといった意見が出された。

 以上のように、本フォーラムにおける報告と質疑応答、意見交換を通じて、FD活動の課題点が共有され、今後のFD活動において活用していく旨も確認された。

FD活動に戻る
  1. Home
  2. FD活動
  3. 2022年度 第3回