鈴木 啓介(すずき けいすけ)さん

卒業年月2017年3月

卒業論文香港2047〜若者の対中国意識から考察する香港の未来〜

所属ゼミ宇野木洋廣澤裕介ゼミナール

卒業後進路自動車部品メーカー



私は、立命館の学部時代から毎年香港に渡航しておりました。香港人の“外向きな考え方・姿勢”に惹かれ、毎年刺激を貰いに渡航していましたが、香港移住の夢が捨てきれず、2019年8月より本格的に香港に移住しております。

2014年に広州・深圳・香港を巡る専攻のプログラムで初めて香港に渡航しましたが、当時は夜景やネオン街等、表面的な香港を感じるに留まり帰国しました。私が最も香港に興味を持ったきっかけは深圳大学への交換留学で、毎週末香港へ赴き、香港人との交流を通して、近い将来香港に長期間定住する夢を持つに至りました。

帰国後卒論にて、実際に香港で路上インタビューをした内容を元に、「香港2047〜若者の対中国意識から考察する香港の未来〜」と題し、香港の若者の生の声や民間の現地世論調査機関のデータから、2047年以降の香港が如何に変貌するかを考察して纏めました。現在の香港情勢を鑑みると、卒論の結論とは程遠い現状となりましたが。

卒業後は、最短で香港移住が可能な大学院進学を目指しました。就活は香港移住を念頭に置き、英語力向上と対海外ビジネスの職歴を積む事を就活の軸にしました。最終的に大手自動車部品メーカーへ就職し、2年間海外営業部にて、主に中国とインドの地場系企業を担当していました。長期連休の際は、必ず毎年香港を訪れ、観光と並行して香港移住への準備を行い、香港中文大学から正式にオファーを頂いたのち、2年間勤務した企業を退職して香港移住への第一歩を踏み出しました。進学の際、現代東アジア専攻の恩師の方々にご協力頂いた事、誠に感謝しております。

香港中文大学では主に、中国の経済・政治・ビジネスを、国際的視野を以て学ぶ事に注力しました。今後、香港で働く上で中国本土を客観的に知ることは将来的にプラスになると考えた為です。ただ、2019年度は皆様ご存知の通り、香港史に残る激動の1年で、各国の対中政策並びに中国の国内政治を学ぶ上で、情報が追い切れないほど日常そのものが研究対象でした。私自身は香港デモに参加したことはありませんが、1年を通して、激動の香港情勢に巻き込まれていくこととなり、学校が戦場と化し、買い物途中に催涙弾を浴びる等、歴史の大きな転換期を、身を以て体感しました。

 

【香港中文大学が戦場と化し、現場を視察した際の写真】

加えて、2020年初から中国では新型コロナウイルスが流行し始めました。武漢市が閉鎖した当日武漢にいた私は、1日かけて当局の封鎖網を潜り抜け、無事香港へ帰還したのち、邦人第1号の新型肺炎感染疑惑の隔離病棟入院者となりました。結果として香港での学生生活は、研究に集中するよりは寧ろ激動の社会情勢と共に過ごした1年となりました。大学の教室で勉強できたのは、結局2ヶ月のみとなり、半年以上家で過ごした私は、広東語の勉強に時間を費やし、現在香港初の広東語系日本人Youtuberとして活動しております。最近は有難いことに現地紙の取材も頂く事があり、激動の1年を経て漸く香港生活が充実してきております。

現在、香港へ来て約1年が経過しましたが、立命館で学んだ中国語力(北京語)、異文化理解、中国の文化・歴史、香港情勢の基礎知識等が、日々情勢が移り変わる香港でサバイバルするのに大きく役立っているのは間違いありません。立命館での経験に感謝すると共に、今後は香港で就職し、最終的には永住権取得を目標に日々邁進していく所存です。

(2020年9月寄稿)