卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2021

サービス

部活動を経て“当たり前”の尊さを実感。 新幹線乗務員でもその思いを大切に。

現代東アジア言語・文化専攻 2018年卒業

東海旅客鉄道株式会社 新幹線鉄道事業本部 東京第二運輸所

東海道新幹線は多いときで1日あたり約45万人のお客様にご利用いただく、日本を代表する高速鉄道です。私の仕事は、東京-新大阪の新幹線の乗務員として、列車を安全に時間通り運行させること。同時に、走行中の車内での切符の変更や、鉄道利用に関するご案内も行います。ドアの開閉時には人命にかかわる判断を担い非常に緊張感を伴う仕事ですが、だからこそ大きなやりがいもあり、また何事もなく無事に到着したときには心から安堵します。

就職活動ではインフラ業を中心に据えて応募しました。インフラは“当たり前にある”ことを続ける職務です。日々の業務では華やかな功績を残すことも賞賛を浴びることも少ないですが、日本の鉄道が今日も“当たり前”に運行されていることに誇りを持って働いています。
graduate/graduate42_sub01 乗務員として働かれている様子

“当たり前を作り続ける”ことを社会人としての軸にしたのは、大学で取り組んだ部活が大きく影響しています。 立命館大学はアメリカンフットボール部の強豪校として知られ、部員も180名強在籍する一大組織です。私はその中で、チーム運営を担う学生スタッフとして奮闘しました。選手がより良いパフォーマンスを発揮するための土台づくりを担うことで、縁の下の力持ちがいかに重要な存在かを思い知らされたのです。

また、立命館大学の全体育会クラブの代表となる体育会本部の役員や代表にも就任。この活動を通し、当たり前があるからこそ組織や社会が活性化するのだと実感し、当たり前を維持するためには、挑戦し続けることこそ必要だと強く感じるに至りました。
graduate/graduate42_sub03 部活や体育会本部での様子

大学4回生では、非常に大きな規模で動く部活や体育会本部の代表に加え、卒業論文の制作も行わなければなりません。その上、就職活動が本格的にスタートすると、やることがとても多くなってきます。このままなし崩し的にあれこれ進めていけば、大学生活を終えたときに「やり残した」と感じることは明白でした。

そこで、4回生では部活動と体育会本部の運営に専念しようと決意。就職活動と卒業論文は5年目でしっかり取り組もうと決め、縁の下の力持ちに没頭する1年を過ごしました。
graduate/graduate42_sub02 卒業論文制作時の様子

卒業論文のテーマに取り上げたのは、中国の高等教育がどのような変遷を辿って今に至っているのか、これらが中国の経済成長にどのような影響を与えたのかです。日本では理解しにくいことが中国では常態化しているーー。最初はそんな事実に困惑しましたが、論文を紐解いたり、現地の方のインタビューや新聞を読んだりと調べ尽くす中で、こうなるに至った歴史や背景に納得ができ、理解できるようになっていきました。

この経験は現在の業務でも役立っています。新幹線の乗務員は、さまざまな価値観を持ったお客様と接する機会が多くあります。一人ひとりの価値観を理解して背景を推察する、そんな力が養えたのではないかと感じています。

人間を見つめ、人と人とのつながりを大切にする。これは文学部や部活を通して得た、シンプルで大きな学びのひとつです。身近な人間関係はもちろん、世界の未来をよりよくする力にもなり得るこの学びが、今後の自分にも生かされるのではないかと思っています。

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